内閣府「男女共同参画白書」 家事・育児・介護と金銭的課題が「学び直し」のハードルに
オンライン講座や託児サービスなどで解消へ
内閣府の「男女共同参画白書」では、日本の高齢化と長寿化を背景に重要性を増す「学び直し(リスキリング)」に焦点を当てている。
学び直しが必要とされる背景には、長寿化に加え、就業構造や世帯構成の変化がある。2025年時点で、女性の15~64歳の4分の3が就業し、共働き世帯数は専業主婦世帯の3.5倍となっている。雇用の場に女性が進出する一方で、出産や育児を機にキャリアが遮断されるほか、男女間の賃金格差はまだ根強く残る。現役時代の働き方の違いや賃金格差は、老後の厚生年金受給額にまで影響を及ぼす。女性の所得向上と経済的自立を阻む構造的な課題を解決するためには、キャリアを支える専門スキルの習得が不可欠である。
一方、男性側の課題も見過ごせない。同白書では、男性が退職後に社会的孤立に陥りやすい現状を指摘している。内閣府の調査によれば、困った時に頼れる人がいないと回答した人の割合は、男性が女性の2倍以上で、特に50代男性では5人に1人が「いない」と回答している。仕事一筋から脱却し、暮らしや地域活動を充実させるための「学び直し」は、男性のつながりと「居場所」を再構築する上でも極めて重要な意味を持つ。
内閣府が実施した意識調査では、人生をより良くするための学び直しに対して、男女ともに約7割が「意欲がある」と回答している。しかし、仕事やキャリアに関する学び直しについて「学ぶ意欲がある」と答えた人のうち、過去1年以内に実際に学んだ割合は、男性で15%、女性ではわずか9.6%にとどまる。
学び直しへの障壁としては、男女ともに「金銭的な余裕がない」、「時間的な余裕がない」、「何を学んでいいか分からない」といった回答が多い。女性は男性に比べ「金銭的な余裕がない」、「家事等が忙しくて時間がない」といった回答が、男性は女性に比べ「仕事が忙しくて時間がない」、「学んでも会社から評価されない」といった回答が多かった。
「学び直し」を後押しするためには、企業や社会のサポートが必要であるとし、様々な例も挙げられている。経済的問題を解消するための無料または低額で利用できる公的な学習プログラムの提供、育児や仕事と両立しやすいオンライン講義の拡充、託児サービスの併設などの充実。企業側が率先して長時間労働を是正し、多様で柔軟な働き方を推進するとともに、男性の家事・育児参画を促すことで、男女双方が学びの時間を創出する「ゆとり」の確保も必要としている。
さらに、「何を学べばいいか分からない」という漠然とした不安を抱える層に向けては、文部科学省の「マナパス」といったポータルサイトの周知を進め、初心者向けの間口を広げることも示されている。
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