国土交通省「土地白書」 全国で「低未利用不動産」が増加 地域資源として再生し、課題解決へ
アート、農業など通じて新たなコミュニティ創出
少子高齢化や産業構造の変化に伴い、全国で日常的に利用されない「低未利用」の土地や不動産が増加している。国土交通省の土地白書は、未利用不動産が地域の活力低下や景観悪化を招くと指摘する一方、活用によってまちの活力回復や地域コミュニティの再構築に結びつけた事例を紹介し、未利用資産を地域の価値に変える様々なヒントを提示している。
国土交通省が2025年に実施したアンケート調査によると、自身や家族が所有する日常的に利用されていない土地(別荘や菜園などを除く)について、その所有者の41.8%が「管理が行き届いていない」と回答。今後さらに適切に管理されない土地や空き家が増加し、周囲の生活環境を損ねる恐れがあることが懸念されている。
特に、高度経済成長期に都市郊外を中心に整備された大規模な住宅団地では、入居開始から半世紀以上を経て急速に高齢化と人口減少が進行。空き地や空き家の発生、地域コミュニティの機能低下といった課題が重なり合い、地域経済の活力を奪う要因となっている。
こうした危機感を背景に、全国の自治体や民間事業者は、使われなくなった土地や建物のリノベーションを通じた「にぎわいの再生」に注力している。香川県三豊市では、SNSで一躍人気スポットとなった「父母ヶ浜」の観光客急増を機に、空き家を活用し、地域外の人材を呼び込むための宿泊・滞在施設を整備。古民家を改装した宿「UDON HOUSE」や、空き家を改修した会員制滞在施設「瀬戸内ワークスレジデンス“GATE”」などの施設は、関係人口の創出や地域経済の好循環を生み出している。広島県福山市では、閉店した元百貨店の活用法として、需要が見込める部分のみを部分的に改修して他の領域を閉鎖する「閉鎖リノベーション」を導入。1階部分を「iti SETOUCHI」として再生。飲食やイベントスペース、コワーキングスペースを緩やかにつなぐ構成とし、駅前の交流拠点として再始動させることに成功している。
一方、住宅地や郊外の団地では、土地・不動産の活用を「住民同士のつながり」を取り戻すきっかけとする取り組みが生まれている。茨城県取手市の取手井野団地では、市内の東京藝術大学キャンパスとの連携により、シャッター街化した団地内の旧ショッピングセンターを改修して若手芸術家のアトリエや、コミュニティカフェ兼アートスペースを開設。高齢化が進む団地にアートを通じた多様な世代の居場所を作り出している。東京都東久留米市の氷川台では、自治会が主体となって空き地で農作物を育てるプロジェクトを推進。その結果、自治会加入率が向上し、転入者が増加。高齢化率の上昇抑制にも寄与し、コミュニティの維持に大きな成果を上げている。
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