国土交通省「観光白書」 インバウンド急増、観光施策は“量から質”へ
地方分散で地域づくり、まちづくりにも大きな影響
コロナ禍で大きく減少したインバウンド需要は、この2年間で目を見張る増加を続けている。24年にコロナ流行前を上回る3687万人、25年も4268万人と2年連続の過去最高を更新した。
インバウンド需要拡大のなかでの大きな変化が、訪日外国人旅行者の国・地域の多様化だ。25年はアジア主要国からの旅行者が全体の4分3と最も多いことに変わりはないが、欧米豪の9カ国が増加、全体に占める割合を13.0%から16.9%へと高めた。
もう一つの大きな変化がリピーターの増加だ。25年のリピーター数は2768万人と前年から346万人増。国・地域別にその割合をみると、アジア各国でその割合が高く、特に香港と台湾は約9割。その他、タイやシンガポールといった東南アジアも7割以上が訪日リピーターだ。
観光白書では「リピーター(2回以上訪日した者)は日本文化や習慣への理解が深い傾向にあり、適切なマナーでの滞在も期待できる」と指摘している。
観光白書では「訪日外国人旅行者の更なる地方誘客を進めるためには、訪日外国人旅行者に繰り返し日本を訪れてもらうことが重要」としている。リピーターはさまざまな地域を訪れる傾向が強いためだ。一回目の訪日外国人旅行者に比べ、リピーターは「地方部のみ訪問」の割合が大きく高まる。「三大都市圏のみ訪問」の割合は変わらないが、「三大都市圏及び地方部訪問」が半減し、その分「地方部のみ訪問」が増えるものだ。
観光公害防止に注力
農泊など地方の魅力を発信
インバウンド施策は量から質へと変化している。オーバーツーリズムに代表されるように、インバウンドの急激な拡大は地域社会に混乱を生み、地域住民の生活にも影響するようになっている。こうしたなかで東京や大阪、京都などから地方への分散などの取り組みが進められている。これは地方創生の取り組みとも結びつき、ひいては各地域の土地利用、まちづくりにも大きく影響を与える。
「観光白書」で、令和8年度に講じようとする施策の筆頭にあげられているのが「インバウンドの戦略的な誘客と住民生活の質の確保との両立」だ。過度の混雑やマナー違反対策など、さまざまなオーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策を強化していく。
例えば、「各種民泊の適切な運営確保」では、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)の見直し検討などに取り組む。また、地方誘客の推進による需要分散については、アジア市場などのリピーター層の再訪日意欲の喚起や、歴史的建造物など多様な地域資源を活用しインバウンドの「コト消費」につなげる観光コンテンツの造成・高付加価値化、エコツーリズムの推進の一環として農泊の推進を通じた滞在型農山漁村の確立・発展などに取り組むとしている。
インバウンドを対象とする観光政策は、これからの地域づくり・まちづくりに大きな影響を及ぼしそうだ。
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