New   2026.8.13

国土交通省「首都圏白書」 「日本人減少・外国人増加」で首都圏総人口、横ばいを維持

シームレスな住まいの提供が差別化の鍵

 

「首都圏白書(首都圏整備に関する年次報告)」は、昭和から令和に至る首都圏の人口推移を振り返りつつ、少子高齢化や社会インフラの老朽化が急速に進む中での「確固たる安全・安心の確保」と「持続可能な社会システムの構築」を最大の課題として位置づけている。

特集「昭和100年」では、昭和から令和までの首都圏の人口推移を詳しく分析。首都圏(1都7県)の人口は戦後一貫して増加を続け、令和6年には4436万人に達し、全国人口に占める割合は35.8%まで上昇した。

しかし、日本全体の人口が2008年をピークに減少へ転じたのに対し、首都圏の人口は近年「ほぼ横ばい」の維持にとどまっている。この総数が維持されている最大の要因こそが「外国人人口の急増」だ。首都圏における日本人人口はすでに減少傾向にある。それにもかかわらず首都圏全体の人口規模がキープされているのは、2010年代以降、全国および首都圏において在留外国人の比率が急速に高まっているためだ。

2001年以降の首都圏の人口の推移

この急増する外国人住民が地域の生活圏や労働市場、コミュニティに与える影響は大きく、多様性を前提とした居住環境の整備や多文化共生社会の実現が、今後の首都圏における極めて重要な社会課題となっている。住宅事業者にとっても、「外国籍であること」をハンデとしない、シームレスな住まいの提供が差別化の鍵になりそうだ。

人口構造の変化と並び、都市の安全性を脅かす喫緊の課題として挙げられているのが、高度経済成長期以降に集中整備された社会資本(インフラ)の老朽化だ。その象徴的な事例として、埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損に起因する大規模な道路陥没事故が挙げられている。

この重大な事故を踏まえて設置された「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」は、令和7年12月に「第3次提言」を取りまとめた。

白書では、この提言をもとにした「下水道管路マネジメントの転換」の必要性を強調。具体的な陥没対策として、「国による基準化」「技術の高度化と実用化」「重点的な財政支援」の三つの取り組みを推進していくべきとしている。

さらに、白書は首都直下地震(都心南部直下地震・M7.3を想定)などの巨大災害に対する防災力の強化を強く訴えている。首都直下地震が発生した場合、最悪のケースでは建物被害約40万棟、死者約1万8000人、経済被害は約83兆円に達すると試算されている。これに対し、白書では、政治・経済が集中する「首都中枢機能の確保」、道路やインフラの耐震化も含めた「膨大な人的・物的被害への対応強化」、被災後の「迅速かつより良い復興」への事前準備、の三つのポイントを挙げている。