三井不動産、コワーキングスペースなどの共用部に従量課金制
自宅の職場化で問われるオフィスの意義
三井不動産は、コワーキングスペースをはじめとした共用部を利用した分だけ課金する、新しいオフィスの契約形態を導入する。テレワークが進む中、企業の固定賃料の費用削減対策として注目を集めそうだ。
ミーティングルームや、コワーキングスペースなどの共用部を利用した分だけ課金する「Pay per use(従量課金制)」を導入するのは、同社が公民学連携で街づくりを推進している千葉県の柏の葉スマートシティ内にあるオフィス施設「KOIL TERRACE」。新たな産業を生み出す企業が集まるインキュベーション施設「KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)」として、シリーズの2棟目となる。
KOIL TERRACEでは、「多様な働き方に対応できること」を目指し、豊富な共用部を完備している。ここの特長は執務室に会議室を設けておらず、会議室は全て共用施設としている。例えば、コワーキングスペースでは、スマホに専用のQRコードをかざすと入室が可能となり、そのまま課金される仕組み。料金は1時間300円。最近では社内で働きやすさを追及する企業も出始めており、フリーアドレスなど自由席にしたり、コワーキングスペースなどを設けたりするところもある。一方で、テレワークの普及から、オフィス以外で業務をするケースも増えている。こうしたことから、「実際に使った分だけ支払うことでオフィスの固定賃料の圧縮ができる」(同社)と話している。ミーティングルームも使った分だけ課金される仕組みだ。
1階には5層吹き抜けのアトリウムがある。通常は歓談スペースに利用されるが、1時間4万円で貸し切りも可能に。「地域の住民を招いたイベントなども開くことができる」という。
この施設のコンセプトは「Smart&Well-being」。スマートは共用部の従量課金制などを導入し、新しいオフィスの形を提案。ウェルビーイングでは「緑と水辺の豊かな環境に包まれながら、心と体が整う新しいワークスタイルを実現する」(同社)という。施設には
フィットネス施設も入居し、施設の入居企業の従業員向けのコンディショニングセミナーなどのイベントも行う。
テレワークの普及で、家が仕事場になるケースも少なくない。このため、これまで働く場だけであったオフィスに、リラックス空間を提案する動きが出始めている。この施設の周辺は水辺空間で囲まれており、館内には酸素カプセルやマッサージチェアを完備し、仕事中の休憩に最適な空間を提供する。
これまで出社するのが当たり前と考えられていたオフィス。新型コロナにより、オフィス出社の意味が問われている。
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