大手ハウスメーカー 2017年度中間決算
事業の多様化がさらに鮮明に
ミサワホーム
新築戸建住宅が牽引し増益にボリュームゾーン攻略を推進
2017年度上期の業績が減収増益だったのがミサワホーム。売上高は1907億円で前年同期比0.8%の減少だったが、営業利益は36億円となり同18.6%増えた。
主力の戸建住宅事業では注文住宅は売上高が同0.7%増えたが、分譲住宅が同0.4%減少するなどし、全体では1154億円と同0.9%の減少となった。注文住宅も販売戸数は減少したが、1棟あたりの単価が高まり売上高は増えた。
「注文住宅では収益性の向上に力を入れてきた効果が出てきている」(磯貝匡志社長)という。
ZEHなどの付加価値性の高い商品の割合を増やした。4月には木質系工業化住宅の最上位ブランド、センチュリーにおいて新構法「センチュリーモノコック」を採用し大開口を実現しながらもZEH基準を大幅に上回る断熱性能を発揮する「センチュリー プリモア」も発売。人気の宅配ボックスを内蔵した玄関ドアなど付加価値を高める新規部品も投入し、棟単価アップを図った。同時にコストダウンも進め、戸建住宅事業の利益率が改善。増益に貢献した。注文住宅では今後も付加価値性の高い住宅の提案を進めていく。
賃貸住宅も売上高が増えた。とくに戸数の多い共同建が増加した。今後はシェアハウスでも一括借上システムを土地オーナーに対し提案し、管理運営も含めシェアハウス事業を拡大していく。加えて、グループホームやペット共生型など地域の条件やニーズなどに合わせた多様な提案により、共同住宅の受注拡大を図っていく。
前年並みとなったリフォーム事業では、下期に向け「健康リフォーム」を打ち出していく。「快適性能」と「暮らし豊かデザイン」を切り口に温熱環境、空気質、安全性、インテリア、音・光、プランニングにおいてリフォームメニューを提案。既存住宅を新築同様にするだけでなく、住環境に対する不安・不満を解消し、心身とも心地よい暮らしの創造を目指す。
「技術部の人材も投入し、具体的なメニューの開発を進めている」(同)という。
一方、成長事業として期待しているのがまちづくり事業だ。今上期はマンション分譲の減少により売上高は144億円と同0.6%減少したが、今後は「コンパクトシティ型不動産開発」などに注力していく。介護や医療、保育、賃貸住宅などが複合する施設で、国の施策もあり、地域の再開発事業としても需要が見込まれる。2月に千葉県浦安市で浦安市や医療法人、銀行と連携し開発を進めていた複合商業施設が着工した。また、神奈川県藤沢市でもPFI事業に参画し、公共施設再整備事業に地元企業とともに参画する。多様な世代が交流し、安心して健康に暮らせるスマートウェルネスを実現する拠点づくりを進める。
「他の自治体などからも相談が寄せられており、事業化を目指したい」(同)としている。
同社ではまちづくり事業において「ASMACI」というブランドも創造し、積極展開を図る。
海外事業も加速したい考えで、とくに戸建住宅の販売を目指す豪州では、パートナーとなる現地法人との資本業務提携を急いでいる。また、新たな取り組みとしてトヨタホームと他の国・地域へ進出することも検討を始めた。
戸建住宅事業の規模を維持しつつも、まちづくり事業や海外事業を積極的に展開し成長軌道を描きたい考えだ。
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