大手ハウスメーカー 2017年度中間決算
事業の多様化がさらに鮮明に
三井ホーム
新築の減少で減収に中大規模木造など施設系は伸長
三井ホームの2017年度上期の業績は、売上高が1050億5300万円となり前年同期比1.7%の減収となった。営業損失も31億7200万円の損失で、前年同期から損失が拡大した。
主力の新築事業は販売棟数が同10.0%減ったことなどから売上高が649億9600万円と同3.3% 減少した。営業損失も27億7200万円で同2億円の損失拡大となった。
「新築についてはモデルハウスを減らし、当社にフィットするエリアに人員もシフトさせており、販売棟数が減った。ただ、収益性は高まっており、売上高は減少しても利益を確保できる体制の構築を図っている」(市川俊英社長)という。
そのため、「プレミアム・モノコック構法」の耐震性と高気密・高断熱の建物性能の高さを訴求し、デザイン力を活かしたプレミアム感のあるオーダーメードの家づくりを推進。住まいに対するこだわりの強い層に向けたフラッグシップブランド「三井ホームプレミアム」を軸に営業戦略を徹底した。
下期に向け受注も増えており、期末受注残高も同3.3%増えている。「株価の上昇もあり、富裕層の住宅取得に向けた動きが活発化しており、下期で巻き返したい」(同)としている。
同時に収益性の向上にも努める。工事の平準化とともに建築現場での工数の削減や工法の改善、部資材の共通化を進め無駄を減らし、コストダウンを図る。2017年度通期では新築事業の売上高は同0.5%増の1720億円、営業利益も同0.5%増の51億円を見込む。
2016年度は好調だったリフォーム・リニューアル事業も今上期は売上高が185億800万円と4.8%減少した。ただ、住宅リフォームに関しては104億9400万円と同1.2%増加している。オフィス・商業施設リニューアルが11.5%減少したことが響いた。現在、オフィスの空室率が低下しており、テナントの動きが鈍い分リニューアル工事が減った。
住宅リフォームは、住宅オーナーとのリレーションを強化しており、受注も増えている。確実な成長に向け、営業の効率化やリフォーム技術の開発を進め、収益性を高めていきたい考えだ。
一方、今後の成長を期待している介護や医療、保育などの施設系事業は、大型物件の竣工もあり好調に拡大している。2×4工法による中大規模木造を推進しており、グループ会社の三井ホームコンポーネントではコネックトラスを利用した大規模木造倉庫なども手掛けている。順調に拡大しており、通期の売上高で前年度の約50億円から2017年度は約60億円を見込んでいる。これまでの実績を背景に、施設系事業のさらなる拡大を図っていく。
海外事業も好調だ。カナダや米国・カルフォルニア州など北米で展開しているパネル販売は、前年度から戸数で3 2 9 戸、取扱量で18万8758平方フィート増えた。北米ではパネルの供給だけでなく、施工も手掛けており、2017年はカナダのブリティッシュコロンビア州で2×4工法による6階建の学生・従業員用賃貸住宅(一部商業施設)も手掛けた。この結果、住宅関連部資材販売事業は売上高が同10.2%増加し93億円となった。新築やリフォーム・リニューアル事業で収益性を高めるとともに、成長事業である施設系事業や海外事業で売上高の拡大を目指す。
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