2017.12.4

大手ハウスメーカー 2017年度中間決算

事業の多様化がさらに鮮明に

積水ハウス

半期として初の売上高1兆円超え 高付加価値住宅、海外事業を推進

半期の業績として初めて売上高が1兆円を突破したのが積水ハウスだ。2017年度上半期の売上高は1兆94億8400万円で前年同期と比べ6.3%増加した。営業利益も903億8500万円で同14.0%増えるなど、上期として過去最高の売上高、利益を達成した。請負型、ストック型、開発型、国際事業の4つのビジネスモデルが順調に収益をあげ、業績アップに貢献した。

ただ、主力の請負型では戸建住宅事業の売上高が1855億9500万円と前年同期と比べ1.5%減少し、苦戦した。前期後半の受注減少の影響を受けたかたちだ。ZEH(グリーンファースト ゼロ)や3、4階建などの高付加価値商品の受注が好調で、1棟単価は3791万円と前期末から62万円上昇。営業利益は3.5%増えた。3月には「イズ・シリーズ」で新構法「ダイナミックフレーム・システム」を導入し、大開口・大空間への提案を強化するとともに、躯体の断熱性を高めZEHとの両立を図った。下期も快適性を追求したZEHの提案を積極化し、高付加価値商品の拡販を進める。

一方、市場環境が厳しいなか健闘したのが賃貸住宅事業。売上高が2102億6800万円と同1.6%増加した。賃貸住宅でも高付加価値化を推進し、都市部を中心に賃貸住宅のニーズの高いエリアに絞って展開。高級マンション並みの仕様の物件を提案している。このため、3・4階建の比率が上昇しており、1棟当たりの単価も9296万円と前期末から935万円増えた。11月には3・4階建の新構法「フレキシブルβシステム」も投入。設計の自由度と空間提案力を強化し、競争力を高めた。賃貸住宅事業ではインバウンド需要に対応した宿泊施設やサービス付き高齢者向け住宅などの高齢者住宅にも注力。

「工業化住宅の強みである短工期やコスト競争力の高さを活かし、多角化を推進していく」(阿部社長)としている。

伸び悩んでいたリフォーム事業も改善してきた。売上高が702億8100万円となり、前年同期比2.7%増となった。新たな生活スタイル提案や省エネリノベーションなど、目的に合わせた大規模リフォームの提案に力を入れてきた成果が出始めている。今後も大規模リフォームの提案を積極的に行い、500万円以上のリフォームの割合を現状の約20%から5割程度にまで引き上げる方針。さらに、賃貸住宅向けにも長期安定経営に寄与するリフォームの提案を強化。リフォーム事業の拡大を図る。

開発型では分譲住宅事業の売上高が前年同期比16.8%増加の799億3400万円となった。請負型では苦戦した戸建住宅の販売が分譲では好調だった。

「土地の仕入れやまちなみブランドの強化などにより受注も好調」(同)としており、今後も「まちなみ参観日」など販売促進イベントを積極化していく。

国際事業も前年同期と比べ163.6%と大きく伸長した。

3月に米国の住宅会社WoodsideHomes を買収したことが収益に貢献した。同社はカリフォルニア州など4州で事業展開しているが、カリフォルニア州は2020年までに全ての新築住宅をZEHにする方針だ。「グリーンファースト ゼロ」で培ったノウハウを活かしてZEHの普及を図っていく。

同社では事業ドメインを“住”に特化した成長戦略を描き、住まいを核に周辺分野へ事業領域の拡大を進めようとしている。

11月に投入した3・4階建の新構法「フレキシブルβシステム」は大開口・大空間を実現する