大手ハウスメーカー 2017年度中間決算
事業の多様化がさらに鮮明に
大和ハウス工業
戸建が大幅増益、好業績に貢献 各セグメントでトップシェア狙う
大和ハウス工業は今年11月に前任の大野直竹氏に代わって芳井敬一氏が社長に就任した。
芳井新社長は「期の途中で大野前社長からバトンを受けた形だが、現在の第5次中期経営計画をしっかり達成していきたい」と語っている。
2017年度上期の業績は売上高が1兆8097億3900万円で前年同期と比べ6.5%増加。営業利益も1804億6700万円で同23.9%の大幅な増加となるなど、売上高、営業利益、経常利益、純利益とも過去最高を更新した。
セグメント別では、戸建住宅事業は売上高が1924億円で同0.1%減少した。ただし、営業利益は118億円で同59.0%と大幅に増えた。中・高級住宅として付加価値を高めた「xevo Σ(ジーヴォ シグマ)」の販売が好調で利益率が向上した。今や戸建住宅全体の約4割(受注ベース)を占めるまでになっている。
このため、戸建住宅の平均販売単価も2016年度上期の3440万円から2 0 1 7 年度上期は3480万円まで上昇した。「xevo Σ」では部品点数を減らすなどコストダウンも進めており、利益率アップに寄与している。
今後は戸建住宅市場でのシェアアップを図っていく方針だ。そのためにも商品力だけでなく、営業体制も強化する。
「とくに需要増が見込める東京では、200人の営業担当者を投入している企業もあるが、当社は100人程度。人員を増やして他社との差を埋めたい」(芳井社長)としている。新築の戸建住宅市場は今後、人口・世帯数の減少で全体のパイは間違いなく減っていく。ただ、同社のシェアはまだ低く、その分伸びしろは十分あるとみているようだ。戸建住宅でトップシェアを狙う。
賃貸住宅事業は売上高が同9.9%増加し5150億円となった。営業利益も同32.6%と大幅に増え587億円。通期では賃貸住宅事業単独で売上高1兆円の突破がいよいよ実現しそうだ。
ただ、市場環境は厳しく受注金額は減少した。
「金融機関の融資が厳しくなっており土地オーナーの資金調達に時間がかかっている」(同)という。
昨年度まで需要が増えていた賃貸住宅も今年度は減少に転じ「市場は飽和状態」という指摘がある。ただ、同社の賃貸住宅の入居率は今上期でも95.7%と高水準を維持しており、拡大の余地はあるという。市場が縮小していくなかでも、高い入居率などを背景にシェアアップを図っていく。
既存のセグメントでシェアアップを図るとともに、今後、コア事業となり得る事業の拡大にも注力していく。例えば、その他事業は前期の売上高2440億円から今上期は3046億円と24.9%増加した。このなかで970億円の売上高をあげたのがホームセンター事業、さらにメガソーラーの建設請負や電力小売りなどを手掛けるエネルギー関連事業も578億円の売上高をあげており、急成長している。海外事業も通期の売上高が2000億円に達しそうだ。
既存のセグメントでトップシェアを狙うと同時、新たな事業を育て次のコア事業にしていく。そんな成長戦略が垣間見える。
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