大手ハウスメーカー 2017年度中間決算
事業の多様化がさらに鮮明に
旭化成ホームズ
マンション建替え事業が好調 中高層や海外事業に注力
旭化成ホームズも上期業績は売上高が過去最高の2696億円を達成した。営業利益は1.2%減少し243億円だった。
主力の建築請負部門では他社が苦戦した戸建で昨年の受注残を確実に竣工させた結果、売上高が前年同期比2.6%増加。一方、賃貸住宅などの集合系は一昨年からの受注減の影響から抜け出せず同11.2%減少した。建築請負部門全体では1827億円で同0.4%の減少となった。受注では戸建系も苦戦しており、集合系は大型メゾンの受注があって売上高は回復してきている。
川畑文俊社長は上期を振り返って「当初は戸建は前年並み、集合は伸びると予想していたが、思っていた以上に戸建が落ち込み、集合は伸ばせなかった」と語った。
都市型住宅を特長とする同社は、戸建住宅を都市部に絞って展開しているが、他社も需要が見込める都市部で攻勢をかけており競争が激化しているという。そのため、同社は5月に戸建住宅商品の断熱性能を強化し、2階建に関しては全棟にZEH水準を上回る断熱性能を付与。競争力アップを図った。
また、住宅取得検討者の検討期間が長期化しているなか、6月に独自の偏芯寄棟屋根システムを採用し吹き抜けやロフトを巧みに配置した新商品「キュービックルーミー」を発売。「好調に受注を増やしており、新規の顧客獲得につながっている」(同)という。
5月と10月には「アウトドアリビングフェア」を開催。同社の住宅の特長である屋上を活かし、自然を取り込んだ暮らし方を訴求した。夏には「二世帯住宅フェア」も開催し、親世帯・子世帯それぞれの立場から同居の安心感を訴えた。11月にはALCコンクリート「へーベル」50周年を記念し、これまでのへーベルハウスになかった青色系の新色「メテオブルー」を導入した。
「検討中の方にマイホーム取得の動機づけ、決め手を訴求してきた」(同)としている。
商品力を高める一方で、営業担当者の教育を徹底し提案力を強化。戸建住宅の受注で巻き返す。
集合系についても大型メゾンの受注が増えるなど、建物が大型化している。そこで4月に本社に「集合住宅推進室」と「テナント企画」を新設し、社内教育を強化している。さらに同社の特長であるコミュニティを核とした賃貸住宅などを中心に土地オーナーへのコンサルティングを推進する。コミュニティを核に賃貸管理事業でも同社独自の賃貸ブランドを確立し、他社との差別化を図っていきたい考えだ。
マンション建替事業が好調だったのが不動産部門。2017年度上期の売上高は前年同期から7.8%増え、過去最高の590億円を達成した。9月にはマンション建替事業で着工累積29件目となる「四谷コーポラス」(東京都新宿区)が建替え解体着工した。再開発事業でも東京都品川区の老朽木造住宅密集地域の防災整備事業に参画。大規模分譲マンション「アトラス品川中延」を着工するなど、街づくり事業も進展している。
下期に向け、事業領域の拡大も加速していく。中高層事業では昨年発表した中高層用ビルディングシステム「へーベルビルズシステム」について今年5月に東京・錦糸町に展示場をオープンした。
「すでに6階建、8階建の受注を獲得した」(同)という。
展示場を起点に首都圏など都市部で受注拡大を目指す。2020年度には4 階建以上の受注全体で500億円を目標に据えている。
海外事業も推進する。台湾で進めるマンション建替え・再開発事業を進展させるほか、7月にはオーストラリアで戸建住宅の建設・販売を行うMcDonald Jones Homes PtyLtd(以下、McDonald Jones 社)の株式40%を取得。豪州の戸建住宅の建築請負事業に参入した。McDonald Jones社は鉄骨構造(スチールフレーム住宅)を主力商品としており、へーベルハウスで培ったALC外壁などのノウハウを活かすなどシナジーを生み出したい考えだ。
このほか、シニア事業でも現在展開している高齢者向け賃貸住宅「へーベルヴィレッジ」の普及に加え、要介護期の高齢者ビジネスへの参入も検討。運営事業者との提携を検討している。新たな領域・ビジネスモデルの確立を図る。
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