大手ハウスメーカー 2017年度中間決算
事業の多様化がさらに鮮明に
積水化学工業
新築戸建住宅が牽引し増収増益 ボリュームゾーン攻略を推進
積水化学工業 住宅カンパニーも2年連続の増収増益を達成した。2017年度上期の売上高は前年同期から2.8%増加し2444億円。営業利益も同3.6%増え178億円となった。
好業績を牽引したのが戸建住宅を中心とした新築住宅の受注が回復したことだ。戸建住宅では受注が同3%増えた。7月に発売した寄棟屋根でも大容量PVの搭載を可能にした鉄骨系住宅「スマートパワーステーションGR」が好調に推移していることに加え、木質系住宅が22%と大幅に伸長した。大手住宅メーカーでは中高級住宅に注力する動きが鮮明になってきているが、同社はボリュームゾーン向けの住宅の販売に力を入れており、ボリュームゾーン攻略で中心に据えているのが木質系住宅だ。10月には新2×6ユニット工法を採用した「グランツーユーⅤ」を投入し、ボリュームゾーンに向け販売を強化している。
「先行的にテスト販売を行った拠点では上期の受注が9%増加し非常に好評」(関口俊一住宅カンパニープレジデント)という。
30代前後の年収は低くても借り入れが可能な一次取得者層にアピールしていく。今後、消費税率の引き上げも見込まれるため、鉄骨系でもコストパフォーマンスに優れる商品の投入を検討する。
下期に向けて、3大都市圏での戸建住宅の受注獲得を加速するため、都市部向けの3階建新商品も発売する計画だ。
2017年度上期は分譲戸建住宅も同17%と大きく伸びた。全国で展開する大型分譲地「スマートハイムシティ」が好評。需要が堅調なため、下期も土地の仕入れを強化し、分譲戸建住宅の販売に力を入れていく。
「土地の価格は上昇しているが、施工の効率化、省力化などでコストを下げていきたい」(同)としている。
一方、苦戦が続いているのがリフォーム事業だ。売上高は前年同期から1.9%減少し474億となった。FITの買取価格の低下もあり、PVの販売が落ち込んだ。ただ、9月に新外壁「エコシャンテ」リニューアルを発売、ユニットバスを中心に商品ラインナップも拡充した結果、リフォーム戦略商材の受注が増えている。女性の営業担当者を増やすなど、営業体制の整備も進めている。
「下期には上期の減益分を取り返し、通期では前年並みを確保する」(同)としている。
成長事業に位置付けるタイでの戸建住宅事業も下期に向け販売棟数が増えそうだ。昨年国王が死去したタイでは今年10月まで喪の期間。住宅販売にも大きな影響を与えたが、喪が明けたことから住宅需要も活性化する。
「ストップしていた手持ちの物件のクロージングを進めるとともに、土地付き・分譲の展開を加速する。現地の気候などに合わせた仕様も開発しコストダウンも図りたい」(同)としている。
販売棟数も2016年度の134棟から2017年度は193棟を見込む。
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