大手ハウスメーカー 2017年度中間決算
事業の多様化がさらに鮮明に
住友林業
海外事業が牽引し増収を確保 戸建は一次取得者層へ訴求強化
住友林業も2017年度上半期は売上高が5621億900万円と前年同期と比べ9.5%増加した。経常利益も同5.3%増の188億5200万円となった。
木材建材事業が売上高2127億円と同1.5%増加した。燃料用材や輸出も含め、国産材の取り扱いが増加した。
一方、戸建注文住宅を中心とする住宅事業は売上高が2075億円で同1.4%減少し低調だった。前期の期末の受注残の減少により完工棟数が減ったことが主な要因。こうした状況を打開するため、同社では一次取得者層へのアプローチを強化している。
「一次取得者層でも土地を持っていない層に対する取り組みが不十分だった」(市川晃社長)として、提携不動産業者との関係強化を図るなど土地施策にも力を入れた。このため、受注棟数は同0.3%増加している。
下期に向け、11月に注文住宅の新商品も投入した。「Forest SelectionBF(フォレストセレクションBF)」を発売。自由設計で培ったノウハウをもとに、仕様やプランを厳選し、1000プラン、5つのインテリアスタイル、4つの建物外観から選べるようにした。坪単価58万円〜と手頃な価格も設定した。
「高いクオリティをフルセットで提案する商品として一次取得者層を中心に提案を進め、受注拡大を図る」(同)としている。
一次取得者層に対しては分譲住宅の提案も強化していく方針。そのため、全国の支店を通じ地元の不動産業者との関係を密にし情報を収集。土地取得への投資も増やしていく。
下期に向け中大規模木造建築をはじめとする木化事業も強化していく。2017年度上期は東京都国分寺市で鉄骨造を木で耐火被覆した7階建の木質ビルを手掛けた。また、大阪府箕面市でも、木の持つ治癒力を最大限に活かしたリハビリテーション施設「千里リハビリテーション病院アネックス棟」が竣工した。同社は11月に中堅ゼネコンの熊谷組と業務資本提携を締結。熊谷組の協力も得て中大規模木造建築の設計や施工、監理体制を強化していく方針だ。
2017年上期の木化事業の売上高は14億3000万円だが、今後の収益事業のひとつとして育成していく方針だ。
2017年度上期で大きく伸長したのが海外事業だ。売上高が1496億円と前年同期と比べ37.9%増加した。米国事業においてEdge Homes とBloomfield の2 社が新規連結したことが大きく貢献した。
「米国、豪州の既存住宅会社のオーガニックグロースによる事業拡大も寄与している」(同)という。 今上期、米国事業では住宅の販売戸数が同25.1%増加。豪州事業でも同35.3%と大きく伸びた。米国と豪州合わせて4041戸の販売を達成。2 0 1 7 年度通年では9100戸の販売を見込む。
今後も米国、豪州での住宅事業を強化するとともに、新たな地域にも参入する。タイのバンコクで現地企業と提携し、高級分譲マンション開発に乗り出した。将来、戸建住宅の販売も視野にいれている。インドネシアでも現地の不動産開発会社と共同事業で戸建分譲住宅事業を開始する。ジャカルタ郊外の都市ブカシで約160戸の戸建住宅を建設・販売する。2018年7月に第一期販売開始を目指している。
国内の戸建注文住宅で巻き返しを図るとともに、今後成長が期待される木化事業や海外事業の展開を加速し、持続的な成長を目指していく。
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