空き家・所有者不明土地対策 特措法を改正、管理不全空家の対策に乗り出す

所有者不明土地対策では省庁横断で取り組みを推進

地域を問わず大きな課題となっている空き家、所有者不明土地問題に対し国はその対策を加速させている。空き家対策特措法を改正、政府は省庁を横断した取り組みに力を入れる。その活用は住宅産業界にとって大きなビジネスチャンスとなりそうだ。

大きな社会的課題となっている空き家問題。総務省の「住宅・土地統計調査」によると、居住目的のない空家は1998年の182万戸から2018年には349万戸と20年間で1.9倍も増加、2030年には470万戸に達すると見込まれている。防犯や防災面のリスク、周辺の資産価値低下など地域の負の資産である空家対策が急務となっている。

23年3月、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」(空家対策特措法)が閣議決定された。これまで活用と除去の二つの側面から対策が講じられてきたが、これらのさらなる強化を図るため、同法を改正する。改正のポイントは、①活用拡大、②管理の確保、③特定空家の除去の3つだ。

同法改正のなかで新たな施策として大きなものの一つが「空家等活用促進区域」の設定だ。これは中心市街地や地域の再生拠点、観光振興を図る区域などを想定しており、市長町村が区域や活用指針などを定め、用途変更や建替えなどを促進する。具体的には、接道に係る前面道路の幅員規制の合理化や、指針に沿った用途変更などを行う場合の用途規制の合理化などを行う。これまで空き家を活用したくともさまざまな規制により難しかったケースなどが指摘されており、より柔軟な対応ができるようになる。

また、空家対策特措法で設定した、周囲に著しい悪影響を及ぼす「特定空家」にならないような対策も盛り込まれた。放置することで特定空家になるおそれがある空家「管理不全空家」に対し、管理指針に即した措置を市区町村長が指導・勧告できるようになる。勧告を受けた管理不全空家は固定資産税の住宅用地特例を解除される。住宅用地特例(住宅用地に対する課税標準の特例)とは、住宅用地の固定資産税を軽減する措置で、200㎡以下の小規模住宅用地は評価額が6分の1となる。税務上、「住宅用地」とは住宅が建っている土地のこと。つまり、住宅を除去してしまっては軽減措置を受けることができない。この制度が逆に放置空家が増加する一要因として指摘されていた。

国土交通省では、こうした施策強化により、法施行後5年間で、空家等活用促進区域の指定数を100区域に増やし、市区町村の取組みにより管理、除却された管理不全空家及び特定空家数を15万件とする目標を立てている。

税制のインセンティブや相続登記義務など
所有者不明土地対策が加速


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