[2023年の重大ニュース]空き家対策特措法が成立、施行へ

空き家の除却・利活用を柱とした対策が加速

支援策で放置から流動化へ、民間の取り組みにも広がりが

社会的に大きな課題となっている空き家問題に対し、空家対策特措法が改正され管理の強化や利活用の合理化が打ち出された。民間でも取り組みが広がり、空き家対策に拍車がかかる。

2023年6月、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が可決・設立し、12月13日に施行となった。

総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は849万戸(前回調査比3・5%増)、総戸数に占める割合である空家率は13・6%(同0・1ポイント増)と増加、特に賃貸用でも売却用でもない「その他空き家」は349万戸(同9・7%増)と大きく増加した。全国で急増する空き家は倒壊など物理的な危険性が高まり、周辺の治安悪化などにもつながりかねないことから大きな社会問題であり、その対策の加速が求められている。

その活用拡大、管理の確保、特定空家等の除却などに総合的に取り組むことを目的に、空家特措法が改正された。今回の改正では「空家等の管理の確保」が強化され、放置することで特定空家(周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家)となるおそれがある空家を「管理不全空家」として位置付けた。市区町村長は管理指針に即して除去や修繕といった措置を指導・勧告でき、勧告を受けた管理不全空家は固定資産税の住宅用地特例を解除される。空き家が放置される大きな要因として指摘される「固定資産税の住宅用地特例」(200㎡以下の住宅用地について固定資産税額6分の1)について、特定空家だけではなく管理不全空家についても特例解除が可能になることで放置することのデメリットが周知され、所有者が利活用に動くことが期待される。

もう一つの改正ポイントが「空家等活用促進区域」の設定である。市区町村が区域や活用指針などを定めて空き家の用途変更や建替えを促進するもの。空き家活用の課題の一つにさまざまな規制がある。例えば、第一種低層住宅専用地域の空き家を店舗やカフェに用途変更することは難しい。空家等活用促進地域においては指針に沿った用途変更する場合、用途規制や接道に係る前面道路の幅員規制などを合理化することができる。空き家利活用の幅を広げることで地域活性化につなげることも可能だろう。

このほか、特定空家の除去などの対応を強化し、「緊急代執行」制度の創設や、所有者不明の代執行・緊急代執行の費用を確定判決なしに徴収できるようにするなど、自治体が代執行しやすい環境を整えた。また、管理不全空家と特定空家について市区町村長に「財産管理人」の選任請求権を認め、相続放棄された空き家などに対応できるようになった。


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