異常気象から住まいを守る ワンランク上の防水対策
多様なニーズに対応した
改質アス下葺材を拡充
メーカー各社は、多様なニーズに対応した改質アスファルトルーフィングのラインアップを充実させ、更なる販売拡大を目指す。
田島ルーフィングが約30年前から販売する「ニューライナールーフィング」は、改質アスファルトルーフィングの先駆けとなった、防水性・耐久性ともに最高級の品質を誇る下葺材だ。改質アスファルト層を不織布と原紙で挟むことで、改質アスファルト本来の性能を発揮する。約30年前にニューライナールーフィングを採用した住宅から、下葺材のサンプリングを取り、その性能を確認したところ、十分な防水性能が維持されていることも分かっている。
また、より高い耐久性を求める声に対応して開発したハイエンドモデルが「マスタールーフィング」だ。防水性、寸法安定性、強度、防滑性など、下葺材に求められる全ての機能を完備する。表面の劣化防止層がアスファルトと外気の接触をシャットアウトし、アスファルトの柔軟性を長期にわたって保ち、これにより、釘穴シール性も長期にわたり維持。一般的に耐久性が高いとされる製品と比較しても2倍以上の寿命が期待できる。
同社の住建営業部 住建宣伝課の吉川浩一課長は、「毎年と言っていいほど、豪雨や大型台風による住宅の屋根被害が広がる中で、屋根の下葺材を含めて屋根全体の耐久性向上に関心を持つ住宅事業者は増えてきている。以前は、ルーフィングについて「ARK04S」規格品を使用するといったことだけ指定し、屋根の工事事業者に任せるというところも多かったが、規格品の使用を指示するだけでなく、田島ルーフィングのマスタールーフィングといったように、メーカー、商品名、品番まで指定する動きが、大手のハウスメーカーだけでなく、準大手といわれる住宅事業者の中でも増えてきている」と話す。
「ミズ太郎」というカッパのキャラクターが目印の防水材料で知られる日新工業は、改質アスファルトルーフィングのスタンダード品として「カッパ23」の販売を強化する。改質アスファルトが釘軸まわりの止水性を高め、かつ良質なアスファルト含浸紙、合成繊維不織布を採用することで、寸法安定性を高めた。
改質アスファルトルーフィングの中で最高グレードに位置づけるのが「カッパ100」だ。高品質の厚手合成繊維不織布に、改質アスファルトを含浸・被覆し、裏面に薄手合成不織布を貼り合わせることで、さらなる耐久性の向上を図った。
改質アスファルトを2枚の合成不織布で挟み一体化した「カッパルーフ2号」もラインアップする。最大の強みは軽さで、カッパ23の一巻きあたりの製品重量が21.5kgであるのに対して、カッパルーフ2号の一巻きあたりの製品重量は16kgと5kg軽く、作業負担を軽減できる。また、表面に鉱物質粉粒仕上げを施し、さらに特殊合成樹脂によるカラー層を設けることで、防滑性も高めている。カッターによる裁断のしやすさ、入隅施工時の折曲げのしやすさにも定評がある。
また、豪雨や大型台風が頻発化する中、より高い防水性、耐久性を求めるニーズに合致して、粘着層付きの改質アスファルトルーフィング「カスタムライト」の引き合いが、住宅、非住宅を問わず増えている。ルーフィングを屋根下地に釘で留め付ける必要がないため、より高い防水性能が期待できる。
「こうしたさまざまな改質アスファルトルーフィングのラインアップを充実させ、販売を強化した結果、現在では、当社が出荷する全体のルーフィングに占める改質アスファルトルーフィングの割合は5割を上回っている」(同社 営業統括部 佐藤隆英 執行役員副部長)。
また、瓦屋根のガイドライン工法の義務化もアスファルトルーフィングに追い風となりそうだ。台風による屋根瓦への多くの被害を受け、国土交通省は、2022年1月から、「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」に準拠した「ガイドライン工法」を建築基準法の告示基準に位置付け、新築時の全ての建築物に義務付けることを決めた。釘で全ての瓦を緊結することを求める、ガイドライン工法の義務化により、使用する釘の本数が増えるため、釘穴からの漏水リスクを抑えるために、釘穴シール性に優れたアスファルトルーフィングの需要が増える、とメーカー各社は予測する。
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