住まいの弱点に“効く” 隙間をカバーし住宅性能を高める防水副資材

住宅の品質を高め、長く大切に使うことが強く求められている。住宅の資産価値の向上だけでなくカーボンニュートラルの視点からも住宅の長寿命化は重要な課題だ。住宅トラブルの代表格ともいえるのが雨漏りだが、異常気象による豪雨や住宅の高気密化による構造の変化、さらには時代とともに変化する住宅形状など新たな対策が求められる。特に被害の多いのが“取り合い部”の防水。その最先端で、今、何が起こっているのか──。

住まいのトラブルの多くは雨漏りに起因する。日本住宅保証検査機構が発刊している防水施工マニュアルによると、住宅瑕疵担保履行法の施行後2008年12月~2020年6月末までに保険契約した約120万件のうち、新築住宅の保険事故では、94.5%が雨水の浸入を防止する部分で発生している。

木造住宅の雨水浸入箇所として一番多いのは「サッシ周り」(25.8%)だ。その後に「笠木と外壁の取合い(バルコニーおよび陸屋根)」(4.9%)、「外壁の平部」(4.6%)と続く。開口部や壁面、取り合い部などからの浸入が多く、その対策が必須といえる。

住宅の変化も漏水による被害を深刻化する。例えば、シャープな外観で人気の「軒ゼロ住宅」と呼ばれる住宅は、建物に雨がかかることを防止するための軒がないため、防水対策を怠ってしまうと、漏水リスクを高めることになる。また、住宅の省エネ化により気密性が向上したことで、漏水した際に建物の腐食や腐朽が進みやすくなっている。

こうした住宅の変化に対応した取り合い部の防水商品の提案が進んでいる。

[田島ルーフィング]
改質アスファルトの強みを生かした副資材
ビルダーに説明会で必要性を提起

田島ルーフィングは屋根と壁の取り合い部などの雨仕舞提案を強化。画像は屋根と壁の取り合い部の「壁止まりシート」とルーフィングの施工事例

田島ルーフィングは、改質アスファルトの防水性を生かした外壁防水の副資材を展開している。

サッシ下端に差し込み、開口部周りの雨水を切ることができる納まりを可能にする「水切シート」は、約30年前にハウスメーカーの声から誕生した。それまでは紙製のフェルトを挟み込むのが主流であったが、より高い防水性能を求めて要望があり、製品開発に至ったという。2021年3月には、(一社)日本防水材料協会(JWMA)がアスファルト系の先張り防水シート(先張り防水シート及び鞍掛けシート)について、JWMA規格(JWMA‐A01)を策定機に、更なる雨仕舞仕様の提案強化を進めている。「水切シート」の普及品である「先張り防水シート」も含め、開口部、バルコニー笠木部の雨仕舞仕様を中心に提案を進めている。タッカーで簡単に取り付けが可能で、改質アスファルトの優れた釘穴シーリング性により雨水の浸入を長期にわたりブロックする。アスファルトルーフィングの老舗メーカーでもある同社は、シーリング性の高さは屋根で実証済みと胸を張る。

同社はこうした改質アスファルト系の防水商品に加え、「ブチルテープ」、「ノービルテープ」などの副資材をパッケージ化した「田島ウォーターブロックシステム」の提案を強化。「ノービルテープ」は、ブチルゴム系の三次元テープで、窓台やパイプ周りに生まれがちな隙間(ピンホール)をテープに切り込みを入れることなく塞ぐことができる。また、防水テープは圧着していなければ水密性が確保されない。同社は、独自に「圧着プレート」という施工工具を販売。ヘラ型の工具でテープにできる空気の隙間を潰し接着力を高める。

さらに、21年10月には、軒ゼロ住宅の屋根と外壁の取り合い部に対して「とりあいルーフィングF」の販売を開始。屋根下葺材の上に一部を重ね、野地板の先端を巻き込む形で外壁に張り下げることで、屋根・壁の防水紙の連続性を確保する。壁止まりと呼ばれる屋根と壁が軒先部で接する点などに使いやすくした「壁止まりシート」、「ノービルテープ」と3つまとめて「とりあいシリーズ」として訴求する。「住宅の取り合い部は、施工業者の取り合い部とも言える。途中で作業する業者が変わるため、ビルダーが指示をしないと防水の連続性が取れず不十分になってしまう」(住建営業部住建宣伝課第2グループ 髙山岳グループリーダー)というように、防水対策にはビルダーの意識も重要となってくる。例えば、開口部周りであれば、サッシを差し込むまでは大工の仕事、防水テープや透湿防水シートはサイディング施工者の仕事というように分担されていることが多い。そういった部分でビルダーが各職人に施工の納まりを指示する必要性について、説明会などを行い啓発している。「木造住宅の漏水補修は1棟当たり約1000万円かかることもある。あらかじめ対策しておくことはビルダーリスク回避に不可欠」(髙山グループリーダー)。最近では、展示場に先張り防水シートを展示し、細かいところまで手を抜かずに住宅づくりに取り組んでいることをアピールするビルダーも出てきたそうだ。

[日本住環境]
スマートホームで増加する電線管に施工性抜群のゴム製資材を訴求

CD管・PF管用の防水成形品「ゴームパッキンCD/PF」。今後の需要増加を見込み、認知度向上を図る

日本住環境は、2007年に配管まわりの成型品として「ドームパッキン」を発売。2015年には、電気配線を束ねるCD管やPF管まわりに使える「ゴームパッキンCD/PF」を市場投入した。

「ドームパッキン」は、伸縮性のあるポリエチレン素材でできており、パイプや配管まわりにかぶせることでパイプに密着して防水ができる。広範囲のパイプ径に対応しており、密着力が高いのでシーリングやテープの処理を必要としない。

配管まわりの防水処理には、防水テープなどが用いられることも多いが、防水テープによる施工は、施工品質にばらつきが生じやすい。テープに皺などができてしまうと、そこから毛細管現象によって雨水が浸入する。そのため、施工不備の防止や施工時間短縮を図れる成型品への切り替えが進んでおり、「体感として配管周りの防水処理の3割ほどで成形品が使われるようになっているように感じる」(マーケティング部 小林輝久部長)とみている。

また、CD管、PF管用の「ゴームパッキンCD/PF」の販売数量は毎年2桁%増のペースで伸びているという。ただ、まだまだ認知度が低く、電線管の防水は防水テープでの処理になっている現場が多い。スマートホームの広がりや太陽光発電設備、EV充電用設備の導入などで住宅に設置する電気配線の数は増えていると見られ、認知度アップに力を入れる。軒天にダウンライトをつける住宅も増えており、ニーズは高いとみている。

そのほか、窓まわりに使う「ウィンドウ・シールド」、「シールドコーナーS」などもラインアップしている。ウィンドウ・シールドは、両面テープや独自形状のEPDMパッキンを使用した水切りシート。止水パッキンが一体化しており、雨水の浸入を防ぐ。サッシコーナー部にはサッシのピンホールをブロックする一体成型コーナー材「シールドコーナーS」を併用することで、スムーズに窓まわりの防水処理ができる。「シールドコーナーS」は、一昨年リニューアル。厚みを薄くし、両面テープをつけて施工性と釘穴シーリング性も向上した。

同社は防水関連商品だけでなく、通気や気密に関する商品も利用しながら漏水リスクの最小化に努める。

[一村産業]
ハウスメーカーとの共同開発で現場の声を製品づくりに反映

一村産業の「フィットガード」は、コーナー部の三面交点をカバーする防水伸張シート。誰でも施工しやすいよう、角にフィットさせやすくする切込みやガイド線を入れた

透湿防水シート市場では4割のシェアでトップを走る一村産業は、透湿防水シートと合わせて副資材も展開。防水テープから、成型品のプレート、粘着シートと多岐に渡った商品を揃える。「販売スタンスとしては、自社でつくったものを売るだけではなくハウスメーカーなどと共同でオリジナル製品をつくる体制を持っている」(塩地晃志化成品技術・開発課長)と、現場の声を反映した製品作りが強みだ。

コーナー部の三面交点をカバーする防水伸張シート「フィットガード」は、角にフィットさせやすくする切り込みや、ガイド線を入れて施工性を向上した。ダクトまわりやサッシ部分にも使える成型品の「防水プレート」も用意する。10種類を部位別に使い分けることで、簡単に防水施工を行える。職人不足や、それに伴う外国人労働者の登用により、省力化でき、ベテランの施工者でなくても一定の施工精度を実現できる商品が求められているという。

また、開口部周りなどの防水を行う「防水水切りシート」に加え、透湿性が欲しいとの意見を受けてつくった「透湿水切りシート」も販売している。カタログに載っていない商品でも、メーカーの要望に合わせて製法を変えるなど柔軟に対応する。

防水テープは、ハウスメーカーの好みに合わせて購入できるよう、ブチル系とアクリル系を扱う。2019年7月には住宅用両面粘着防水テープのJIS規格「JIS A6112」が制定され、業界全体で粗悪品を排除し、良質なものを普及させていく動きが強まったそうで、同社でも性能確認品であることをアピールしている。

商社機能を持ち合わせたメーカーである点も同社の特徴のひとつだ。仕入れ販売もしているため、オリジナル製品を切り口として、要望に合わせて、足りないものは仕入れを行うなど幅の広い提案ができる。

[光洋化学]
機能性の高いアクリル系防水テープ 建築用に注力しシェアを高める

様々な防水副資材が登場しているが、副資材を使う上でも欠かせないのが、気密防水テープの存在だ。

光洋化学は、約20年前、業界で初めてアクリル系の気密防水テープ「エースクロス」の製品化に成功した。それまでは厚みがあり、凹凸に馴染みやすいブチルテープが主流であったが、経年劣化に弱く、べたつくため夏場の暑い時期には使いにくいといった課題があった。その対抗策として生まれたのがアクリル系の気密防水テープだ。

光洋化学が業界で初めて製品化したアクリル系気密防水テープ「エースクロス」。剥離紙付きで粘着力に優れたタイプ、コーキング材の上からでも貼り付けやすいタイプなど、バリエーション豊富に用意

アクリル系の気密防水テープは、優れた耐久性能を備えており、耐久性に関する試験において50年後も新品同様の粘着力、伸縮性、強度を維持できることが明らかとなった。アクリル素材は透湿防水シートと相性が良く、薄いため、重ね貼りをしたり、簡単に手で切ることができる点も強みだ。その特性から、コーキング材が劣化した際の応急処置として使用されることもあるという。

扱う気密防水テープのバリエーションも豊富で、定番人気商品の「エースクロス011」のほかに、剥離紙付きで粘着力に優れた「エースクロス031」や、コーキング材の上からでも貼り付けやすい「エースクロス071」などを用意している。地域によるニーズの違いもあり、東京以北の地域ではより気密を取れる片面のテープが使用されることが多く、それより南の地域では、両面のテープが好まれる傾向にあるという。北條雅村常務取締役総務部長は「気密防水テープを扱う会社は多いが、建築用として力を入れている企業は少ない」と、長年住宅向けのテープ販売に力を入れてきた同社だからこそ、市場でシェアを獲得できたとする。

近年は異常気象が増え、防水対策の重要性も増してきている。気象庁の観測データを見ても、1時間降水量50㎜以上の大雨の年間発生回数は増加しており、1時間降水量が80㎜以上、100㎜以上などのより強度の強い雨ほど増加率が高くなっている。気象条件を見ても漏水の危険性が高まるなか、適切な防水対策を行うことが長寿命住宅への一歩となる。