異常気象から住まいを守る ワンランク上の防水対策

近年、豪雨や大型台風など、異常気象が頻発しており、より多く、より強く、雨、風にさらされることで、住まいの漏水リスクは高まっている。
豪雨、大型台風は、何十年に一度来るものではなく、毎年、当たり前に来るものとして防水対策をしておくことが重要になってきている。
また、本格的なストック時代を迎える中で、住宅長寿命化のニーズに対応していく上でも、ワンランク上の防水対策で雨漏りのリスクを抑制していくことが求められている。


住まいに関するトラブルの多くは「雨漏り」に起因するものだ。国土交通省が公表した住宅瑕疵担保責任保険における事故率によると、2008年度から2016年度までのデータを分析した結果、1号保険及び新築2号保険の事故率(保険事故確定件数÷証券発行件数)(住棟ベース)は0.194%。平均支払額(住棟ベース)は約113万円であった。

問題は、保険金支払が完了した事故の部位は、雨水の浸入を防止する部分が大半を占めていることだ。その割合は、1号保険および新築2号保険で9割、2号保険(新築2号保険除く)で8割となっている。雨漏り事故の発生時の築年数は、築後1年未満が約20%と最も多く、2年未満から10年未満の期間で5〜10%未満範囲内で推移しており、年数が経過した後も「雨漏り」は発生している。

さらに近年、豪雨や大型台風など異常気象の影響で、より強く、より多くの雨や風にさらされることが増え、住まいの漏水リスクは、急激に高まってきている。気象庁の資料によると、1日の降水量が200㎜以上の大雨を観測した日数は、1901年以降の統計期間で、最初の30年と直近の30年とを比較すると、約1.6倍に増加している(全国51の観測地点)。また、全国約1300の観測地点があるアメダスの観測データによれば、1時間降水量50㎜以上の短時間強雨の発生頻度は、近年増加傾向にあり、1976年以降の統計期間で、最初の10年と直近の10年を比較すると、約1.4倍に増加している(全国約1300の観測地点)。

また、2019年9月に発生した「令和元年房総半島台風(台風第15号)」のような超大型台風が日本に上陸し、最大風速や最大瞬間風速を観測し、屋根瓦が飛ばされたりする住宅被害が発生することも、珍しいことではない。住宅事業者には、こうした異常気象は想定外ではなく、異常気象を前提とした、住まいの防水対策が求められている。

屋根の防水性、耐久性の要
下葺材は高グレードにシフト

住宅の屋根には、化粧スレートや瓦、金属屋根など、さまざまな仕上げ材が用いられているが、仕上げ材だけでは100%雨水を防ぐことはできない。屋根材の隙間から入り込んだ雨水を下葺材が遮断することで、雨水が建物内に浸入するのを防いでいる。住宅長寿命化のニーズが高まり、また、異常気象による漏水リスクが増大する中で、下葺材として、より止水性、耐久性に優れた改質アスファルトルーフィングへの注目度が高まっている。

2017年、アスファルトルーフィング全体に占める改質アスファルトルーフィングのシェアが初めて一般品を上回り半数以上となった。改質アスファルトルーフィングとは、アスファルトにポリマーなどを添加し機能を向上させたもの。高温でダレにくく、体温で割れにくい特性を持つほか、より高いレベルでステープルや釘穴に対するシール性、耐久性を発揮。優れた弾性も備えている。基材についても、従来の原紙ではなく、合成不織布で補強し、「高い寸法安定性を発揮する」、「建物の動きに追従する」といった特長を持つ下葺材も近年増えている。

改質アスファルトルーフィングへのシフトが進んだ背景には、住宅の品質や性能の確保を目的とした環境整備が進んだことが大きく影響している。2000年に住宅品質確保促進法(品確法)が施行され、住宅事業者に住宅瑕疵担保責任が義務付けられた。さらに2009年には、瑕疵担保履行法が施行され、住宅の品質や性能の確保に向けた、住宅事業者の取り組みに拍車がかかった。

また、2004年に、当時のアスファルトルーフィング工業会(現在は、(一社)日本防水材料協会に統合)が改質アスファルトルーフィングの工業会規格「ARK04S」を策定したことも、普及を加速させた。それ以前は、メーカー各社が、ばらばらに商品開発を進めていたが、工業会規格に対応した商品開発が進み、同じ物差しで商品を比較検討がしやすくなったためだ。

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