大手ハウスメーカーのストック戦略
積み重ねた住宅供給、顧客基盤をどう活かす 仲介・買取再販、リフォーム領域を拡大
国内住宅市場が転換期を迎えている。
人口減少に伴う新築着工戸数の減少傾向に加え、建築資材や人件費の高騰による新築価格の上昇が続く中、住まいに対する消費者の価値観は「建てては壊す」から「良質なものを手入れして長く住む」へとシフトしている。
国も既存住宅の流通促進や空き家対策、さらには脱炭素社会の実現に向けた省エネ改修支援を打ち出し、ストック重視の政策を鮮明にする。
これまで大手ハウスメーカーのストック事業といえば、安定した賃貸住宅の管理・運営業務を収益の柱として市場を牽引してきた。
しかし現在、国の施策や社会ニーズの後押しを受け、その事業構造は新たなフェーズへと進化を遂げている。
自社施工物件の定期点検や長期保証による維持管理にとどまらず、一般物件を対象とした大規模リノベーション、既存住宅の仲介・買取再販まで事業領域を拡大。
新築で培った高い施工品質やブランド力を武器に、持続的な収益基盤の確立を進めている。
特に各社が注力している仲介・買取再販とリフォームの事業戦略に迫り、ストック循環型社会に向けた今後の住産業界の方向性を探る。
ストック事業が国内の大きな柱に
国内の住宅産業が大きな転換点を迎えている。人口減少や建設資材・人件費の高騰を受け、国内の新設住宅着工戸数が年間80万戸を下回る水準で長期定着するなか、大手住宅メーカーの軸足は、新築請負から中古住宅の維持・活用へと急速にシフトしている。
その動きは各社の数字に表れている。各社の2025年度決算(住友林業、積水ハウスは2026年度中間期まで)は新築戸建市場の減少にもかかわらず、ストック事業を含む他分野の伸長により増収増益が相次ぎ、縮小する新築市場の減収を、高採算なリフォームや賃貸管理、不動産流通といったストック事業で補完する構造が鮮明となった。中長期計画においてもストック分野へ重点が置かれている。
積水ハウスの2027年1月期中間期決算では、米国の住宅需要鈍化や国内新築の落ち込みで売上高は1兆9656億円と減収となったものの、国内のストック型ビジネスの好調が増益を支え、営業利益は同16.0%増の1803億円となった。国内の「請負型」は、建設コスト増や金利上昇を背景に戸建住宅(1.1%減)や賃貸・事業用建物(1.9%減)が落ち込み、売上高は同2.3%減の6601億円だった。一方、「ストック型」は売上高が同4.9%増の4727億円、営業利益が同13.3%増の567億円と伸長した。なかでもリフォーム事業が売上高1047億円(12.8%増)、営業利益150億円(14.8%増)とけん引。賃貸住宅管理も高い入居率を背景に増収増益となり、フローからストックへの収益シフトが一段と鮮明になった。
大和ハウス工業は、2018年からスタートした既存建物の再生事業「Livness(リブネス)事業」が好調で、25年度は住宅、非住宅合わせて計画を上回る約4700億円の売上を達成した。2030年代に1兆円規模の事業へと成長させる計画だ。
パナソニック ホームズの2025年度決算では、ストック事業全体の売上高は前年比89億円増の1098億円と堅調に推移した。このうち、リフォーム事業は433億円(パナソニック リフォーム単体では過去最高の342億円)、仲介・買取再販を手がける住宅流通事業は157億円の実績を収めた。2030年度計画では、新築・ストックの垣根を超えた「循環型ビジネス」へ組織改革を進める方針で、売上高5000億円の達成に向け、ストック事業全体で1560億円を目指す方針だ。
積水化学工業 住宅カンパニーは、26年度~28年度までの中期計画において、売上高目標を2025年度実績から538億円増の5900億円、営業利益は同78億円増の450億円とし、特にレジデンシャル事業は売上高1000億円(同261億円増)、営業利益90億円(同36億円増)と最も高い成長を見込む。賃貸管理に加え、マンション・戸建て買取再販事業の売上高を25年度比でほぼ倍増となる195億円へと引き上げる計画だ。
こうしたストック事業の成長の背景には、どのような動きがあるのか。特に各社が注力する仲介・買取再販、リフォームの各分野における具体的な取り組みをみていく。
仲介・買取再販
ブランド力と保証で中古の不安を解消、新たな成長軸へ
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