New   2026.10.27

国土交通省が「住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」開始

既存住宅の適正評価システム構築へ

国土交通省が10月、「住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」の初会合を開いた。質の高い既存住宅が適正に評価され、安心して取引・継承される市場環境の構築を目指す。2027年3月に最終的な提言のとりまとめを行い、法制度や施策への反映を図る方針だ。

検討会は、一定の品質や性能が確保された住宅ストックを将来にわたり長く継承させるため、維持保全を促す市場の枠組みと、既存住宅の買主が安心して取引できる環境整備に向けた方策を検討する目的で立ち上げられた。

不動産、建築、金融、消費者問題などの有識者で構成され、専門的な見地から制度設計を進める。日常的な点検や適切な修繕を行ってきた住宅が市場で正当に評価される取引慣行の定着や、維持保全記録を住宅履歴として一元的に残し、次世代へ確実に引き継ぐ仕組みの構築を議論する。

新たな制度が求められる背景には、住宅市場を取り巻く急激な環境変化がある。建設資材の価格高騰や人手不足を背景に新築建築費の上昇が続き、住宅着工戸数の減少が進む中、国民が過度な金銭的負担を負わずに希望の住まいを確保するためには、既存住宅の活用が不可欠となっている。

しかし、従来の日本の住宅市場では築年数の経過に伴い一律に資産価値が低下するという商慣行が根強く、所有者が適切な点検や修繕、リフォームを行っても市場価格に反映されにくい課題がある。加えて、買主側にとっても構造の劣化状況や隠れた欠陥(瑕疵)、将来発生する維持修繕費に対する不透明感が強く、維持保全状況を客観的に可視化・評価して安心して売買できる市場インフラが強く求められている。

検討会では、主に3つの柱を軸に具体的な制度設計を深める方針だ。①「維持保全状況が市場で適切に評価され、安心して取引できる仕組み」として、建物状況調査(インスペクション)や既存住宅瑕疵保険の活用、維持保全の状況が正当に売買価格や金融商品(住宅ローン等)の評価に反映される取引環境の整備。②「住宅の品質・性能の維持保全状況を継続的に評価する仕組み」として、点検・補修の基準を明確化し、適切な維持管理が継続されているかを客観的に評価・認証する枠組みの構築。③「住宅の品質・性能の維持保全等に係る情報を保存・活用する仕組み」として、設計図書や点検記録、リフォーム履歴などの「住宅履歴情報」を確実に蓄積し、流通時にスムーズに引き継ぐためのデータ連携や管理ルールの整備をそれぞれ検討していく。

今後は、関係業界団体からのヒアリングと論点整理、並行してワーキンググループでの専門的な検証を進め、2027年3月に案を取りまとめる予定だ。

検討会メンバーでもある(一社)住宅生産団体連合会は、8月に発表した中長期的指針「住生活産業ビジョンVer.2026」において、重点施策として「住宅版の車検制度」と位置づける「住宅検査登録制度(仮称)」の創設に注力し、適切な建物評価が定着する市場環境の創出を目指す方針を明らかにしている。

国土交通省の佐々木俊一住宅局長は、「日本の既存住宅流通は市場全体の4割近くまで拡大しており、消費者側の意識やニーズにも確実な変化が見られる。こうした消費者ニーズの変化を市場環境整備に反映させる必要がある。マンションは規格が比較的共通しているため流通しやすい一方、戸建て住宅は個別性が高く、構造・性能、改修履歴、維持管理状況が分かりにくいことが課題。インスペクションや瑕疵担保などの仕組みを活用しながら、住宅情報を見える化することが重要」と、環境整備の重要性を強調している。