浮輪寮が実践する自然と共に暮らす技術

古民家再生の未来を示す環境共生型建築 地域住民や利用者が主体的に関わる仕組みも

 

浮輪寮の再生が注目される理由は、単に歴史的建築を保存したからではない。その最大の特徴は、伝統建築と環境技術を融合させた「未来型古民家」である点にある。

一般的な古民家は「夏は涼しいが冬は寒い」と言われる。しかし浮輪寮では、その常識を覆す工夫が随所に施されている。

まず特徴的なのが床下環境の活用である。従来の木造建築では床下の通気を重視する一方、冬季には冷気の侵入が課題となる。浮輪寮では基礎周辺の断熱性能を高め、地中熱を利用し、安定した温度環境をつくる仕組みを採用した。夏は外気よりも涼しい床下空気を活用し、冬は外気温より温い空気を取り入れることで室内環境を整えている。また、外気を床下空間を経由して室内へ導き、暖められた空気を天井部から排出する計画と24時間全熱交換換気システムを組み合わせることで、建物全体に緩やかな空気の流れを生み出している。

特筆すべきは空調方式である。一般的なエアコンによる送風ではなく、屋外のヒートポンプによって生み出された冷温水によって室内を調整する輻射冷暖房を採用した。風を感じさせない静かな空調方式で、室内全体を均一に包み込むような快適な温熱環境を実現している。


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