“価値がない”は本当か? ストック時代に脚光集める個人間売買
水面下の空き家を動かす切り札になるか
社会的課題である空き家の流通が動き始めた。
国の取り組み、さまざま事業者の参入などにより、中古住宅流通に乗り、買取再販が行われている。
とはいうものの、価値がないと判断され水面下で眠る空き家を中心とした不動産はまだまだ多いのも事実。
これらの物件は、手間がかかる、価格が低すぎるなどの理由でビジネスにならず、既存の流通事業者から見放された物件だ。
こうした物件を掘り起こし市場に乗せる動きが活発化し始めた。
「個人間売買」が、ストック時代の新たなビジネスモデルとして注目を集めそうだ。
空き家の増加が社会問題としてクローズアップされるなか国が対策を強化、住宅・不動産業界でもさまざまな業種が乗り出し、その活用を進めている。こうしたなか空き家の取引が広がりつつある。
代表的なものが買取再販だろう。空き家が買い取られリフォーム・リノベーションされ流通に乗っている。また、物件の特徴などを踏まえ住宅としての活用だけでなく宿泊施設や店舗、シェアハウスなどさまざまな用途への転用も広がっている。
ただ、こうした動きはまだ途についたばかりであり、全国には流通に乗らずに眠っている住宅・不動産が数多く存在する。空き家の増加を抑えるだけでなく、中古流通市場の拡大、ストック市場の活性化を図る意味からも、こうした物件を世に出していくことが重要となる。
空き家が従来の不動産流通市場に乗りづらいのは、仲介という手間がかかる事業であるにも関わらず、一件当たりの売買価格が低い、つまり十分な手数料が見込めないことが大きな要因の一つとして指摘される。仲介事業者にとってビジネスの旨味が小さいゆえに取り扱いが敬遠されてきたのである。こうした状況を踏まえ、国土交通省は宅地建物取引業法を改定、24年に低価格物件に関する仲介手数料の上限を引き上げた。不動産事業者の空き家仲介への参入を促すことが目的だ。
とはいうものの、特に地方において空き家の流通は厳しい状況にある。もちろん、物件ごとの立地や築年数、管理状態などの差は大きいが、大きくエリア別に分けてみると、都市部では地価の高騰もあり放っておいても利活用は進む。郊外は住宅価格高騰を背景に大都市中心部からの移転や周辺・地方からの流入のニーズがあり、中古住宅として売買され、また買取再販として流通に乗る。しかし、地方部、しかも過疎地となると、物件も土地も値が付きにくい。
空き家などの買取再販事業を展開するポルティでは、「特に地方において所有者の持ち出しによる物件が非常に多くなっている」(平揺平 代表取締役)と指摘する。価値が付かず、所有者がお金を支払って買い取ってもらうわけだ。その背景にはオーナーチェンジの再販価格、つまり戸建再生投資家が空き家を購入してリフォーム、賃貸で入居した状態での物件の売却価格の下落がある。供給量の増加によりリスクが高まり、利回りをより厳しく見られている。そのため買取業者が一定の粗利を得るためには引き取り額をマイナスにする必要があるわけだ。
空き家の活用、流通が広がり始めたとはいえ、依然として流通されにくい物件は取り残されている。こうした流通に乗らない“訳あり物件”を流通させるビジネスモデルとして「個人間売買」が注目を集め始めた。
空き家の流通量拡大に注目高まる
群雄割拠のプラットフォーム
今年8月、空き家解決サービス「アキサポ」を展開するジェクトワン(東京都渋谷区、大河幹男代表取締役)が、27年3月を目途に「セルフ売買支援」をリリースすると発表した。空き家の流通について、DXにより「可視化→流通→再生」の3段階でエコシステムを構築するとし、今年1月に第一弾として査定AI「空き家のコタエ」を始動した。
その第2弾に位置付けられているのが「セルフ売買支援」だ。可視化された空き家と買手が直接つながる“場”を提供することで、これまで仲介経済の外側にあった物件に出口を作ることが目的である。
描いているスキームは、空き家所有者は「空き家のコタエ」による査定値を見て、同社に賃貸するか売却するか、またはセルフ売買サービスの“場”に出品するかを選択する。この“場”には同社が再生した収益物件や、同社が買取再販事業で買い取った物件も出品される。実需層の個人や投資家は、この“場”で物件を選ぶというものだ。
これまで流通に乗らなかった物件の流通量そのものを増やすことを目的とし、同社は仲介会社として取引には介在しない。サービスの詳細は詰めている段階だが、収益は定額のシステム利用料を想定、一般的な仲介手数料の1/4程度を描いている。また、希望者にはプロのサポートを受けることができるようにもする考えだ。
これまでの空き家解決実績700件超(26年3月末)と多くの実績を持つジェクトワンのセルフ売買の展開は大きなインパクトがある。
仲介事業者を介さずに個人間で不動産を取引する個人間売買は、2010年台半ば頃から本格化したようだ。空き家の増加などから従来の流通市場に乗りにくい物件取引の受け皿が求められたこと、また、地方移住・二拠点居住や古民家リノベなどのニーズの高まり、ウェブ上で物品を売買するCto Cの個人間取引の一般化、手続きサービスのデジタル化などが背景として指摘される。以降、空き家や空き地、耕作放棄地や山林などを主な対象とした個人間売買のプラットフォームが相次いで登場してきた。
一方で、空き家活用という視点からは、地方自治体の「空き家バンク」の動きも見逃せない。自治体で空き家バンクの整備が本格的に始まったのは2005年頃、過疎地や離島を持つ自治体が都市部からの移住者を受け入れるための事業がルーツとみられる。その後、認知の広がりとともに全国各地の自治体が導入を進めた。国土交通省の資料によると15年4月時点の全市町村の約4割が空き家バンクを設置していたという。そして15年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が全面施行されたことをきっかけに設置が急拡大した。
国土交通省は、17年に「全国空き家・空き地バンク」の本格運用を開始した際、自治体の登録フォーマットを共通化・標準化するために「全国版空き家・空き地バンクの運用等に関するマニュアル」を作成、それまで自治体ごとにバラバラであった「間取り」「設備」「老朽度」などの項目を標準化するとともに、自治体向けに空き家バンク構築手順や協定の結び方を標準化した「空き家・空き地バンク未設置の自治体向け 空き家・空き地バンク構築ノウハウ集」と、宅建業者が空き家を取扱いしやすくするための「空き家所有者情報の外部提供等に関するガイドライン」も示した。これらの整備により「空き家バンク」という制度が全国共通のフォーマットとして整備されたと言える。
個人間売買のプラットフォームは、どのようなビジネスモデルなのか、実際、どのような物件がどのように売買されているのだろうか。
この記事はプレミアム会員限定記事です
プレミアム会員になると続きをお読みいただけます。
料金・詳細はこちら
新規会員登録
無料会員登録後にプレミアム会員へのアップグレードが可能になります
アカウントをお持ちの方
ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。
住まいの最新ニュース
リンク先は各社のサイトです。内容・URLは掲載時のものであり、変更されている場合があります。
イベント
内容・URLは掲載時のものであり、変更されている場合があります。
-
ジャパンホームシールド、住宅の資産価値維持と顧客接点づくりのウェビナーを開催
2026.10.19
-
eBASE、住設・家具メーカー向けに商品情報DBを活用したDX勉強会を開催
2026.10.16
-
住宅保証機構、行政動向と耐久性を高める外装設計を解説する無料セミナーを開催
2026.10.08







