New   2026.9.8

On-Co、借り手の熱意を大家に届ける逆マッチング 「この人になら貸したい」で空き家を動かす

 

On-Co(三重県桑名市、水谷岳史代表取締役)は、大家が借り手を選ぶ従来から逆転したプラットフォーム「さかさま不動産」を展開し、空き家対策と事業者支援の新たなモデルとして注目を集めている。

同社は、2020年6月に「さかさま不動産」のサービスを開始した。通常の不動産賃貸サービスは空き家の物件情報を公開して借り手を募集するが、さかさま不動産では、借りた物件で何をしたいかという借り手の想いを発信することで大家との出会いを生み出す。借り手の情報は、チラシとしても配布することで、インターネットに不慣れな大家にも情報を届ける。また、貸主には市町村を公式LINEに登録してもらうことで、その地域で新たに掲載された借り手の情報が随時届くようにし、サイトに情報更新を確認に行く手間を省く。大家自身が「この人になら貸したい」「応援したい」と思える相手を選ぶ仕組みだ。

「さかさま不動産」を立ち上げた背景には、水谷代表自らの原体験がある。水谷代表らは、過去に名古屋駅周辺の古い空き家を改修してシェアハウスをし、飲食店の経営などを行っていた。地域に溶け込むために近所の掃除や庭木の手入れなどを積極的に行っていたところ、「君たちなら空き家を貸したい」と声がかかるようになり、最終的に家賃合計約15万円で7件の空き家を借りることができた。そして、空き家を探している人と大家の双方から相談が来るようになった。

過去に成約した物件

国土交通省の空き地所有者へのアンケートでは、約半数が「借り手や利活用方法などの条件次第で貸すことも考える」と回答している一方、「広く一般に情報提供してもよい」と答えた人は15・6%にとどまる。水谷代表は、自身の経験から「空き家も同様に物件情報を公開して募集するのではなく、誰にどのように使われるかによって貸すかどうかを決めたい大家が多いのではないか」と考え、物件情報ではなく借り手の情報を流通させるという発想に至った。

さかさま不動産は、掲載料やマッチング費用を一切取らず、完全無料で提供している。地域の不動産会社と競合するのではなく、純粋に熱意のある事業者と大家を結びつけることを優先しているため、仲介業も行っていない。さかさま不動産を通じて企画力やコミュニティ形成のノウハウを評価され、自治体や企業から伴走支援や事業企画の依頼が来るようになり、より地域に根差した取り組みが進むようになったという。


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