行動変容型DRの普及拡大に向けて「便利・快適・お得」で目指す脱炭素社会の実現
環境省 地球環境局 デコ活応援隊(脱炭素ライフスタイル推進室)隊長補佐(室長補佐)堀越 直樹 氏
――デコ活応援隊の取組の中で、デマンドレスポンス(DR)はどのように位置付けられているのですか。
「デコ活」は、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを実現するための国民運動であり、国民の行動変容を促すことを目的としています。これは2050年ネット・ゼロや、2030年度の温室効果ガス46%削減(2013年度比)の実現に向けた取り組みの一つです。
DRに関しては、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入が拡大する一方、出力抑制が全国的に発生する傾向にあります。DRに対応する機器やサービスの開発は進められてはいますが、現時点では段階的な普及が必要な状況です。機器を自動で制御する「機器制御型DR」ではなく、生活者の自発的な動きを促す「行動変容型DR」に着目しました。私たちの立ち位置は「無理して脱炭素をする」、「我慢して脱炭素をする」ことではありません。便利・快適・お得な暮らしを実現するためにDR、特に電気が余っている時間帯に需要をシフトする「上げDR」に焦点を当てています。その普及に向けて「実証事業」と「キャンペーン」の2つの取り組みを行っています。
――実証事業についての取り組みと、そこから見えてきた課題を教えてください。
2024年度にLooop社、Nature社と関西電力の2つの事業を、2025年度はLooop社と「昼の電力需要創出に向けたモデル実証」を行いました。2024年度は「金銭的インセンティブ」に焦点を当て「昼に電気を使うと電気代が0円、またはマイナスになる」という施策を実施しました。続く2025年度は「参加するとランクアップする」という「非金銭的インセンティブ」の要素を導入し、アプリでの告知や可視化にトライしました。具体的には、市場連動型の料金などを確認できるアプリ内で、DRクイズに答えたりDRの記事を読んだりするとポイントが貯まる仕組みです。クイズや記事閲覧といった参加率は向上しましたが、実際の行動変容には課題が残る結果となりました。さらにモニターからは「自分に合わせたパーソナライズが弱い」との指摘もありました。
2026年度は、実証事業の最終年度となるため、これまでの結果も踏まえて「金銭的インセンティブと非金銭的インセンティブの融合による行動変容の最大化」を大きなテーマとしています。具体的には、ポイント換算ではなくスマートメーターと連携して「30分単位で昼の電力使用量が過去と比べてどう変わったか」を可視化することを想定しています。また、モニターをグループ分けし、個人のDRだけでなく、参加者の中で自分が相対的にどのくらいDR行動を起こせているかを分かるようにしたグループを設け、行動がどう変わるかを比較検証する考えです。また、レコメンドについては、当日・前日という設定ではなく、時間設定などユーザーの希望にあわせたより細かなパーソナライズも行う考えです。
こうした実証の成果については次年度以降に、特定の電力会社だけではなく、各電力会社などに横展開できるようにしていきたいと考えています。
――もう一つのキャンペーンについて、これまでの取り組みや成果などについて教えてください。
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