「ザ・成長」への道筋 プロダクトアウトで国内市場を創造 海外では北米を起点に存在感

DAIKEN 清洲 忠洋 代表取締役 社長執行役員CEO 

 

2026年4月、DAIKENの新社長に、伊藤忠商事出身の清洲忠洋専務が就任した。
国内の住宅市場が縮小する中、DAIKENをどう舵取りするのか。
清洲新社長に聞いた。

伊藤忠出身としての矜持とDAIKENへのフルコミット

── まず、伊藤忠商事出身として、現在の社長としての使命をどのようにお考えですか?

よく「伊藤忠商事から来た社長」という見られ方をしますが、私自身はすでにこちらに完全に転籍しています。報酬もDAIKENから頂戴しているわけですから、DAIKENの発展に100%集中するのは、経営者として当然のことです。

DAIKEN 清州 忠洋 代表取締役 社長執行役員CEO 

ただ、DAIKENがTOBを経て伊藤忠グループの連結子会社になったという事実は、戦略的に極めて大きな意味を持ちます。これは単に「出身がどこか」という話ではなく、グループ全体としてどう最適化を図るかという視点です。伊藤忠が持つグローバルなネットワーク、情報量、商流は計り知れません。DAIKENというメーカーが持つ「つくる力」と、商社の「つなぐ力」を掛け合わせることで、これまでリーチできなかった市場や、新しいビジネスの形が見えてきます。このグループシナジーを最大限に引き出し、グループ内でのDAIKENの存在感を高めることが、私の大きな使命の一つだと考えています。

私自身のキャリアを振り返れば、営業に約15年、管理部門に3〜4年、そしてシンガポールでの現地法人社長も経験してきました。国内・海外、攻めと守りの両面を見てきたこの「多角的な視点」は、今の不透明な経営環境において、非常に役立っていると実感しています。木材そのものに関する専門知識はこれからさらに深める必要がありますが、経営という舵取りにおいては、この多彩な経験が大きな拠り所になっています。

国内市場の課題と「縦割り」の打破

──新社長から見たDAIKENの現状、強みと弱みをどう分析されていますか?

強みは、何と言っても「ものづくり」に対する真摯な姿勢と、長年培ってきた技術の蓄積です。木質系の技術はもちろん、音響や調湿といった「機能性素材」の分野では、他社の追随を許さない独自のポジションを築いています。現場の社員たちが自分たちの技術に誇りを持って仕事をしている姿は、非常に頼もしい限りです。

一方で、弱みというか課題は、多くの大企業が陥りがちな「組織の縦割り」です。伊藤忠の時もそうでしたが、「サイロ化」が進みやすく、横連携がなかなかうまくいかない。メーカーは商社とは違うのかなと思っていましたが、実際に来てみると、営業、製造、開発、管理。それぞれのプロフェッショナルは揃っていますが、部署間の壁、つまり「見えない境界線」がどうしても存在する。「サイロ化」が進むことを打破するために「横串を通す」ことを徹底していきたい。部署を越えた連携、情報の共有ができれば、DAIKENの総合力をさらに発揮していけると確信しています。

──国内の住宅着工戸数が減少する中、どのような成長戦略を描いていますか?

国内市場については、正直に申し上げて楽観視はできません。しかし、市場が縮小するからといって、単に指をくわえて見ているつもりはありません。私が打ち出しているのは、徹底した「プロダクトアウト」による新製品開発の強化です。

これまでのマーケットイン、つまり「市場のニーズに応える」という手法だけでは、どうしても他社と似通った商品になり、価格競争に巻き込まれてしまいます。DAIKENにしかできない技術をベースに、我々から「これまでにない価値」を提案し、新しい市場そのものを創り出していく。これが我々の生き残る道です。

そのため、組織体制も大きく変えました。CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を置き、その配下に開発機能を統合しました。これにより、市場の声を取り込みつつも、技術的なブレイクスルーを能動的に起こせる体制を整えています。2~3年というスパンで、世の中のスタンダードを塗り替えるような「破壊力のある商品」を次々と仕掛けていきます。

また、ターゲットも変えていきます。これまでの新築住宅一辺倒から、非住宅(オフィスや公共施設)やストック(リフォーム・リノベーション)分野へのシフトです。特に人手不足が深刻な建設現場において、「簡易施工(省施工)」や「軽量化」を実現する素材へのニーズは非常に高い。こうした「現場の困りごと」を技術で解決し、心地よい空間を提供する。住宅・非住宅の垣根を越えた展開を加速させていきます。

カナダでの新素材事業に注力
北米市場のゲームチェンジャーに

──海外事業、特に北米での新しい取り組みについて詳しく教えてください。


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