New   2026.6.17

(一社)プレハブ建築協会 新設の国際貢献WGで海外でのプレハブ建築支援注力へ 次期「住生活向上推進プラン2030」を7月末めどに公表

 

通常総会を開き、2025年度決算と事業報告を承認したほか、任期満了に伴う役員改選で芳井敬一会長をはじめとする理事、幹事の再任を決定。芳井会長は良質なストック形成、海外貢献、災害対策に取り組む方針を示した。

総会後に開かれた記者会見では、芳井会長が業界の持続的発展に向けた次期活動方針を表明した。芳井会長は、中東情勢のリスクなど厳しい住宅市場環境が続くなか、国の施策を積極的に活用しながら、特に3つのトピックに注力していくと説明した。

1点目は良質な住宅ストックの形成。7月末の公表をめどに次期「住生活向上推進プラン」の最終調整を進めており、低層共同住宅や既存住宅を含む高い性能を持つストック形成を加速させる方針だ。また、市場で適切に評価され円滑に流通する仕組みの検討も行う。

2点目は、災害対応の強化。能登半島地震における467戸の応急仮設住宅供給の実績を活かし、平時からの事前対策を徹底する。新たに設置される防災庁の予算・政策等も活用し、地方自治体との連携やDXによる初動体制の強化に努める。

今後の方針について語る芳井敬一会長

3点目は、国際貢献の本格化で、25年11月には協会内に「国際貢献ワーキンググループ」を設置した。国土交通省の官民協議会とも連携し、海外の自然災害や紛争後の復興において、プレハブ住宅のスピード感を活かした支援の提案準備を進めていく。

芳井会長は「我が国が災害大国であるが故に、被災地におけるこれまでの様々なノウハウが蓄積されている。災害復興においては、仮設住宅が建ち、被災者の方々が避難所生活から出ることが「復興が始まった」という感覚につながる。プレハブ住宅の経験と圧倒的なスピードを生かし、しっかり国際貢献につなげていきたい」とグループ設置の意義を語った。

既に芳井会長はウクライナの被災地を視察しており、協会として国や様々な企業と連携しながら現地の復興施設の建設計画を進めている。

また、各部会長が活動報告と今後の方針を説明した。PC建築部会の加納嘉部会長は、都市部の再開発や大型物流拠点の建設需要が堅調な一方、高齢化と慢性的な労働力不足が深刻であると指摘。27年4月開始の育成就労制度を視野に入れ、選ばれる職場環境の整備と働き方改革を推進するとした。また、国内98工場・海外2工場で稼働する「PC部材品質認定事業」や各種資格認定事業を通じて、PC工法の設計・製造・施工の品質維持と、生産性向上による省人化に取り組む方針を示した。

資材調達ルート見直しも

住宅部会の吉田匡秀会長は、25年度までの「住生活向上推進プラン2025」を振り返り、戸建・低層賃貸住宅のZEH化や長期優良化、災害対応力の強化、人材育成に確かな成果があったと述べた。現在は「住生活向上推進プラン2030」の策定を進めており、国の住生活基本計画や2050年カーボンニュートラルに対応した方向性を打ち出す。また、国内で培ったノウハウを海外へ展開し、業界の国際化を進めるとした。

中東情勢の影響については「各社連絡を取り合いながら影響が最小限になるよう協力していく」と話し、塗装材の新たなルートを検証するなど資材調達ルートの見直しを始めていることも明かした。

規格建築部会の森田俊作部会長は、災害発生時における応急仮設住宅の供給迅速化に注力してきた実績を報告。今後は、さらなる時間短縮に向けて工場の製品化、現場作業の自動化、ロボット化の研究を進める。また、南海トラフ地震等の巨大災害を見据え、都道府県への訪問や広域での意見交換会を通じ、実効性の高い備えの体制強化を進めるとした。