産総研に聞いた「ロボットは作り手不足を解消できるのか」
人型ロボットの実力は如何に!?
住宅業界の作り手不足はますます深刻化している。
人手に頼らずに生産性を向上する手段として、オフサイト建築や3Dプリンターなどの可能性が注目されている。
また、大きな期待を感じさせるものが人型ロボットの活用。
人型ロボットが優秀な多能工のように建築現場で活躍する日は訪れるのか―。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)で話を聞いてみた。
建設現場で人型ロボットが
活躍するのはまだまだ先の話!?

2018年9月、産総研は人間の重労働作業や危険な環境での作業を自律的に代替する人間型ロボットの試作機HRP‐5Pを開発したと発表。この人間型ロボットは、石膏ボードを施工場所にまで運び、工具を使いながら取り付け作業を行うことができ、住宅業界の注目度も高かった。それから6年以上が経過し、HRP‐5Pはどのような進化を遂げたのか―。そう思い産総研のロボット工学連携研究室を訪問した。この研究室は産総研とフランス国立科学研究センターにより設立された国際共同組織だ。
同研究室の金広文男室長に話を聞くと、HRP‐5P開発の背景には、「ロボットが人型である必要はあるのか」という根源的な問いかけがあったそうだ。例えば、工場などにある産業用ロボットは、特定の作業を行うために開発されており、人型である必要性はない。一般家庭で普及が進んだお掃除ロボットも人型ではない。
ある特定のタスクをこなすロボットであれば、人型である必要性は少ない。では、なぜ、人型である必要があるのか―。そこで、特定の作業ではなく、人間に代わって柔軟に複数のタスクを人間型ロボットに託すことを考えた。とくに重労働を強いられる建設現場に着目し、石膏ボードの施工作業を行うロボットの開発を目指したそうだ。

産総研が開発したHRP-5Pは―
周辺環境の3次元地図生成と物体検出を行い、作業台に近づく。
作業台に寄りかかりながら平積みされた石膏ボードを1枚ずらし、持ち上げる。
周辺環境を認識しながら石膏ボードを壁まで搬送する。
石膏ボードを降ろし、壁に立てかける。
高精度ARマーカーを用いて工具を認識し、拾い上げる。
胴縁を握って安定性を確保しながら壁に石膏ボードをビスで固定する。
―という作業を行うことができる。そう聞くと、人型ロボットが建設現場で活躍する日も近いのではなないかと期待してしまうが、課題も明らかになったという。
「作業精度を検証していくと、石膏ボードや下地の状態によっては、正確な位置にビス留めができていないケースがあったり、充分にビスを打ち込めていない場合があることが確認できました。石膏ボードを施工するという作業に特化するのであれば、人型ではないロボットの方が現実的かもしれません。しかし、そうなると様々なロボットが建設現場を占拠するといった状況になってしまいます」(金広室長)。
金広室長に「近い将来、建設現場で人型ロボットが様々な作業をこなす可能性はありますか」と単刀直入に聞いてみると、「近い将来というのは難しいでしょう。人間のように複数のタスクをこなす人型ロボットについては、まだまだ開発途上にあります」という答えが返ってきた。
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