住友林業/NTTコミュニケーションズ、森林由来クレジットの創出・流通を促す
プラットフォーム提供で協業、クレジット発行などをサポート
J‐クレジット制度のうち森林由来クレジットの創出・流通を促す「森林価値創造プラットフォーム」の提供に向けた協業を開始した。森林情報を一元管理することで、クレジットの発行、審査、マッチングなどを一気通貫でサポートする。
J‐クレジット制度は、省エネ・再エネ設備の導入や森林管理・経営(森林管理プロジェクト)などによる温室効果ガスの削減・吸収量をクレジットとして国が認証するもの。創出したクレジットは企業・自治体間で売買でき、資金循環を促すことで、環境と経済の両立を図る狙いがある。
昨今、2050年カーボンニュートラルの達成や森林保全の観点から森林由来クレジットの重要性が高まっている。こうしたなか、林野庁では2022年8月に主伐・再造林に関するクレジットの算定方法の改定や、伐採木材の炭素固定量をクレジットに含むこととする算定対象の追加など森林管理プロジェクトによるクレジット認証に取り組みやすくする制度の見直しを実施。その結果、2022年度の森林プロジェクトに係るJ‐クレジット制度の登録件数は27件とそれまで過去最多だった21年度の14件を大幅に更新、累計登録件数は126件となった。また、22年度の森林管理プロジェクトによる年間クレジットの認証量も5万96t‐CO2(前年度比142.7%増)と過去最多を更新するなど、昨年の制度改正は大きな効果を発揮したことがうかがえる。
住友林業 資源環境事業本部・脱炭素事業部の曽根佑太マネージャーは、「昨年8月の制度改正はかなりインパクトがあった。今まで登録をあきらめていたプロジェクトが動き出すきっかけになったのではないか」と推測する。
クレジットの発行、審査、取引を一気通貫で支援
しかし、森林由来クレジットは発行に係る申請手続きが煩雑であるほか、認証に必要な審査を紙ベースの資料で処理しており非効率なこと、クレジット販売・購入先が容易に見つからないことなど、発行者、審査機関、購入者の三者それぞれが多様な問題(表)を抱えていることからあまり普及が進んでいない。そのため、2022年度までのJ‐クレジット制度全体の累計クレジット認証量(約889万t‐CO2)に占める森林由来クレジットの累計認証量は17万7755t‐CO2と、わずか1.9%程度に過ぎないのが現状だ。
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