[2023年の重大ニュース]スギ花粉対策が本格化
花粉対策に国産材活用を推進
木材利用促進に向けた法改正などが進む
花粉症対策に国が本腰を入れはじめ、利用適齢期を迎えた植林木の積極的な利用が促されている。また、脱炭素などの観点から、法改正や制度整備が進み、非住宅分野の「ウッド・チェンジ」が加速している。
近年、戦後に植えられた植林木が利用適齢期を迎えている。こうした植林木の多くはスギであり、毎年大量の花粉を飛散させることから、花粉症の原因となっている。
これに対し、政府は花粉症対策を喫緊の課題とし、2023年4月に「花粉症に関する関係閣僚会議」を設置。同年5月に今後10年を視野に入れた施策を含めた花粉症解決のための道筋を示す「花粉症対策の全体像」を明らかにした。さらに、10月には、この全体像のなかで政府一丸となって速やかに取り組むとしていた対策の3本柱である「発生源対策」、「飛散対策」、「発症・曝露対策」についての具体案として、「花粉症対策初期集中対応パッケージ」を公表した。
同パッケージにおいて、住宅関連分野に大きく関わる内容が「発生源対策」のうち「スギ材需要の拡大」だ。このなかでは、①木材利用をしやすくする改正建築基準法の円滑な施行、②国産材を活用した住宅に係る表示制度の構築(23年内を目処)、③住宅生産者の国産材使用状況等の公表(23年内を目処)、④建築物へのスギ材利用の機運の醸成と住宅分野における国産材(特にスギ材)への転換促進、⑤大規模・高効率の集成材工場、保管施設等の整備支援―の5つを掲げている。
例えば、②では消費者にも分かりやすい表示として、「建築物省エネ法に基づく『省エネ性能ラベル』」のようなものを検討している。住宅に使用されている国産材の量に応じて☆表示などを行い、消費者がひと目で分かるようにすることで、国産材を使用した住宅を住宅選びの際の選択肢として意識してもらえるようにしたい考えだ。
また、③では、住宅生産者が自社事業にどれだけ国産材を使用しているのかに加え、国産材のなかでもスギの伐採やその後の広葉樹などへの植え替え、花粉を室内に持ち込まないための住宅設計といった花粉症対策への取り組み全般を住宅業界団体のホームページなどで公表していく方針。これにより、企業同士の競争を促し、住宅業界全体の対策を加速させていくとした。
脱炭素効果への期待から「ウッド・チェンジ」が加速
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