2022.11.14

(一社)電子情報技術産業協会(JEITA) CEATECが3年ぶりの対面開催

デジタル田園都市へ向けた取り組みを紹介

Society 5.0(超スマートシティ)の実現を目指す企業や団体が集まる、総合展示会「CEATEC2022」が3年ぶりにリアルで開催。デジタル田園都市を最大のテーマに多方面の技術が集結した。

CEATEC2022 会場の様子

千葉県の幕張メッセで10月18日~21日の4日間開催されたCEATEC2022。今年はオンラインと会場でのハイブリッド形式で行われ、562社・団体が参加した。

今年の目玉となるテーマが「デジタル田園都市」だ。地域の豊かさを生かしつつ、デジタルの力を使って地方にも都市のような利便性をもたらし、誰もがどこでもデジタルの恩恵を受けられる「デジタル田園都市国家構想」を政府が掲げており、その推進を進める技術が集まった。

例えば、東日本大震災の経験から防災にも力を入れる岩手のガス会社、北良は電気や水を自給自足できるトレーラーハウス「WHOLE EARTH CUBE」を展示した。WOTA社の水循環システムを採用し、98%の水を再利用できる。トイレ専用の水循環システムとそれ以外の水循環システムを搭載している。また、MUSVI社が提供するテレプレゼンスシステム「窓」はディスプレイをネットでつなぐことで、あたかも同じ空間にいるような自然なコミュニケーションを実現する。画面が大きく、演技指導などのコミュニケーションにも活用できる。遠隔地とのコミュニケーション、高齢者の見守り、エンタメ、遠隔医療などさまざまな用途に展開でき、100件程度の採用事例がある。

北良のトレーラーハウス「WHOLE EARTH CUBE」

今年8月にエコーネットコンソーシアムと共同で、新サービス創造データ連携基盤検討会(略称:サービス連携検討会)を立ち上げた(一社)電子情報技術産業協会(JEITA)は、国内の家電メーカーやサービス事業者、プラットフォーマーなどがスマートホームのデータを相互に利用・連携できるプラットフォームの構築を目指す。日々の暮らしデータを活用することで、災害発生時に在宅だったのかどうかを迅速に行政と連携し、逃げ遅れた人の救助や行方不明者の捜索活動など効率的な救助を目指すなど、データを連携するメリットや実現に向けた取り組みを記載したチラシを配布しPRに努めた。

トータルソリューションエリアでは、三菱電機が人の認知特性を活用した「進化型遠隔操作サービスプラットフォーム」の展示をした。ストレスフリーで遠隔操作が可能になる「VISUAL HAPTICS(ビジュアル ハプティクス)」などの技術を使い、より多様な場所や人の働き方を後押しする。「VISUAL HAPTICS」は力触覚情報をARで画面上に色で表現することで、専用のインターフェースを装着する必要をなくしオペレーターの負担を低減。同一画面で視覚情報・力触覚情報を同時に把握でき、直感的な操作が可能となる。

今回のCEATECは、コロナ禍以降、急速に普及したリモートワークを含め、遠隔地と繋がれる提案が目立った。パートナーズパーク内の「METAVERSE EXPO」が人気を博しており、リアルにこだわらないコミュニケーションの方法が注目を集めそうだ。遠方とのスムーズなコミュニケーションが可能になれば、高齢者の孤独死の防止や、海外居住者の労働への参入による人手不足解消など、日本が抱える様々な社会問題を解決する糸口になり得るだろう。