約4000プランのデータベースで確度の高いファーストプランの提案を可能に 安心計画「マイホームロボ」

営業スタッフのプラン提案力をAIでアシスト

安心計画は、AIを活用した建築ロボアドバイザー「マイホームロボ」を提供している。熊本県の住宅会社であるLibWorkと共同開発したもので、AIによって営業スタッフのプラン提案力の向上をバックアップする。加えて、施主に提出するプレゼン資料一式を自動作成できるサービスだ。

AIを活用したプラン提案で
住宅営業に新しい潮流を

金融業界などでは、AIなどを活用しながら資産運用などに関する相談に対応するロボアドバイザーが注目を集めはじめている。「マイホームロボ」は、このロボアドバイザーの仕組みを住宅営業にも導入しようというものだ。

AIを活用したプラン提案という住宅営業の新しい形態を具現化し、施主とのファーストコンタクトの段階で受注に至るまでの確度を高めるツールになっている。

施主が15問の簡単なアンケートに回答すると、約5分でAIが最適なプランを複数提案してくれる。提案するプランは、4000件以上もの住宅プランを集めたデータベースから選ばれる。

それぞれのプラン情報には、平面図だけでなく、超高画質の内観・外観CGパース、室内をパノラマで360度見回せるVR画像なども用意されている。それぞれのプランには、CAD編集が可能なデータも用意されており、このデータを3D住宅プレゼンCAD「ウォークインホーム・プラス」にインポートしてプランを反転・回転すれば、実質的なプランは1万件以上。

また、「マイホームロボ」で建物の大きさや間取りなどを設定して選び出したプランを叩き台とし、実際の敷地条件に合うプランに微調整したり、細部の変更も自由なため、初期提案から一歩も二歩も進んだ、より現実的な提案も可能となる。

建築ロボアドバイザー「マイホームロボ」とは

提案プランの施主への案内文もAIで生成

さらなる機能強化を図るために、ChatGPTを活用した自動コメント作成機能も新たに追加された。

ChatGPTを利用して、プランの案内用の文章をAIが個別に自動生成してくれる機能で、アンケート結果なども考慮しながら、それぞれの顧客に合った提案ポイントを案内文にしてくれる。

営業担当者は、これにより効果的な提案文入りのプレゼン資料を簡単に作成できるというわけだ。自動生成された文章データはそのまま使えるだけでなく、自由に修正を加えることも可能。


AIが生成したプランの説明文を提案資料に活用することができる

若手社員も“売れる提案”が可能に

安心計画では、全国の工務店に「マイホームロボ」を提案しており、着実に導入企業が増えてきている。

また、住宅プランのデータベースについても、共同開発したLibWorkのプランに加え、了解を得た導入企業のプランも追加されるため、やはり増えてきている。

安心計画では、「まずは1万プランを目標にデータベースを拡充していきたい」としている。

営業担当者がファーストプランを作成・提案する工務店も増えているが、経験が浅い営業スタッフにとっては、なかなか施主の心を掴むプランの作成・提案は容易ではないだろう。「マイホームロボ」を活用すれば、ゼロからプランを作成する必要がなく、しかも若手社員でも初期段階から複数のプランをスピーディに提案でき、ChatGPTや高画質CG・パノラマVR等で施主に大きく印象付けることができる。

また、ホームページやオンラインイベントで集客した見込み客に対して、「マイホームロボ」のアンケート画面を案内し、「AIによるプラン提案を利用してみませんか」と投げかけることで、オフラインでの営業活動につながる動線をより太くできる。

AIで住宅営業を変える―。「マイホームロボ」は、その可能性を秘めたDXツールだと言えそうだ。

INTERVIEW

若手社員のクロージング率が向上
AI活用で人間はよりクリエイティブな作業に集中

Lib Work
瀬口 力 代表取締役社長

熊本県山鹿市に本社を構えるLib Workは、安心計画とともに「マイホームロボ」の開発に携わり、いち早くAIを活用したプラン提案に取り組んできた。「マイホームロボ」導入から約1年が経過した同社に、どのような効果が得られているのかを聞いた。

インサイドセールスとオフライン営業で活用
受注確度の向上に大きく貢献

―どのように「マイホームロボ」を運用しているのでしょうか。

大きく分けると、2つのやり方で「マイホームロボ」を活用しています。

ひとつ目は、インサイドセールスの段階で活用し、その後の営業活動の確度を高めるために「マイホームロボ」を使用しています。

コロナ禍以降、多くの工務店がWebやオンラインセミナーなどで集客を行うようになりました。しかし、Web経由のお客様のなかには「今すぐに住宅が欲しい」と考えていない方々も多い。その状態で営業活動を行おうとすると、非常に非効率になってしまい、営業担当者の受注率も下がっていきます。

そこで当社では、営業担当者に引き継ぐ前に、専門のスタッフが電話やメール、チャットなどを活用してお客様とのコミュニケーションを図り、お客様の意向を探るインサイドセールスを導入しています。インサイドセールスでお客様の意向を確認してから、営業担当者に情報を渡し、モデルハウスへの来場を促しながら営業活動へとつなげていくという業務フローを実践しています。

このインサイドセールスの段階で「マイホームロボ」を活用するのです。お客様に「アンケートにお答えいただくとAIが最適なプランを提案しますよ」と伝えるのです。お客様の方も「無料でプランを作成します」と伝えると遠慮をしてしまいますが、「AIが‥」と伝えると、意外と遠慮なくプラン提案を受けるようです。

AIのプラン提案を希望しているということは、具体的に住宅取得を考えている可能性が高いので、受注に至る確率も高いと考えています。

その後、インサイドセールスの担当者がモデルハウスへの来場などを促します。そこからは営業担当者が引き継いでいくのです。

2つ目の「マイホームロボ」の活用シーンは、営業担当者が引き継いだ後に、お客様の要望を聞きながらプラン提案を行う際です。「マイホームロボ」に様々な条件を入力すると、約4000プランのなかから最適なプランを提案できます。しかも1プランだけでなく、複数のプランを提案できます。

それぞれのプランには平面図だけでなく、CGパース、さらにはVR画像も用意されているので、お客様は完成後の姿をイメージしやすくなります。

初回面談後すぐに複数のプランを提案できる点もメリットのひとつです。これまでなら営業担当者が自らプランを作成したり、お客様の要望を設計担当者に伝えて提案プランを形にしていたわけですが、多くの場合は1プランしか提案できませんでした。上手く要望を理解できていないと、的外れな提案をしてしまうこともあり、商談がそこで終了してしまうことも多々ありました。

マイホームロボ」であれば、設計者にお願いすることなく、複数のプランを提案できる。複数のプランを提案すれば、多くの場合、お客様のニーズに近いものがあります。

そのプランをもとに、もう一度お客様の要望を聞き、次の設計者のプランを提案する。
ここまで来ると、ほとんどの場合は受注へとつなげることができます。

マイホームロボ」を活用した提案でクロージング率が向上
モデルハウスなどに来場した際の推進力も高まっている

懐疑的だったベテラン社員や設計者も歓迎
残業時間も減少

―導入後、どのような効果が上がっていますか。

まずは比較的経験の浅い若手社員のクロージング率が向上しています。導入前と比較すると2倍くらいになっていると思います。

若手社員の場合、なかなか自分でプランを作成することができません。提案力やヒアリング力もベテラン社員と比較すると低い。「マイホームロボ」は、こうした若手社員とベテラン社員の差を埋めてくれます。

マイホームロボ」の新機能であるAIによるプランの説明文章も重宝しています。若手社員はプランの説明分を考えるだけでも一苦労です。その部分をAIが補ってくれることで、提案力が向上するだけでなく、若手社員の勉強にもなっているようです。

ベテラン社員も最初は導入に乗り気でない様子でしたが、今では積極的に活用しています。自分でプランを作成する手間が減るので、本来の職務である営業活動に集中できるのです。

営業担当者がファーストプランを作成する工務店が増えてきていますが、やはり設計者が考えたプランと比較すると、どうしてもクオリティが劣ります。結果として受注に至らずに商談が終わってしまうケースも多いのではないでしょうか。
しかし、設計者に全てのプラン作成を依頼するとなると、設計部門の業務負荷が増大します。「マイホームロボ」はこうした問題を解決してくれるのです。

当社の設計者は、「マイホームロボ」の導入当初は少し懐疑的な部分もあったようです。自分たちの仕事をAIに奪われるという意識があったのかもしれません。今では業務負荷が減ったことで設計部門の残業時間も減少し、設計者も喜んでいます。

AIが選んだプランでCADデータを生成し、設計者が一切関与しないで住宅を提供できるのではないかという意見もありますが、当社ではさすがにそれは難しいと考えています。

やはりお客様のこだわりもあるので、既存のプランを基に設計者が最終的な設計を行っていくことが大事になります。設計者にはAI活用によって生まれた時間を、この部分に使って欲しいのです。AIで業務を効率化することで、人間はもっとクリエイティブな部分で才能を発揮していけばいいのです。それがお客様の満足度にもつながっていくでしょう。

今後はAIでの画像生成も視野に

―今後のAI活用についてどうお考えですか。

現在はテキストをAIで生成していますが、近い将来、画像の生成にもAIを使えるのではないでしょうか。

マイホームロボ」に蓄積されたプランデータをAIで解析し、例えば「もう少しヨーロピアンテイストに」といった要望に応じて自動でCGパースなどを生成していくことが近い将来、実現するでしょう。

そうなると、さらに「マイホームロボ」を利用するメリットは大きくなるはずです。

安心計画株式会社
TEL 092-475-1751
https://my-homerobo.com/