「森が好き」な人はたくさんいるのか? 暮らしに役立つ機能ばかりに注目

北欧には「森に入る権利」がある

 

2000年というと、もう30年近くも前になるが、木材の取材で北欧のノルウェーを訪れたときに現地の建築専門雑誌の記者から「日本では森に入る権利が誰にでも認められているのか」と尋ねられた。

ヨーロッパ、特に北欧ではそうした権利意識が強く、「自然享受権」として古くから慣習法になっているらしい。法律として明文化されている国もあるようだ。では日本はどうなのかと、その記者は関心を抱いたらしい。

日本では所有者ではない人が森に入ることが「権利」として認められていることはない。実際には森を散歩するくらいで咎められることはないだろうが、山菜やキノコのシーズンに所有者に無断でそれらを採取すると罰せられることもある。山間地の住民にとって山の恵みは重要な収入源になる。誰でも採っていいというわけにはいかない。

その記者は日本にはそうした権利はないと聞いていて、それを確かめるために質問してきたのかもしれない。私の答えにさほど驚いた様子もなく、ノルウェーでは市民の誰もが森に入り、木の実やキノコを採取して楽しむことが認められているのだと説明した。その少し誇らしげな様子は強く印象に残っていて、今も折に触れて思い出している。

森への期待は温暖化防止だけ?

手つかずの原生林を散策する人たち。森には人を惹きつけてやまない魅力がある

8月25日に放送されたNHKのクローズアップ現代では、「木材ルネサンス」というテーマで木造の高層ビルが建設可能になっていること、セルロースナノファイバー(CNF)や改質リグニンといった木材由来の新素材を利用して車や人工衛星もつくれるようになっていることなどが紹介された。

その中で出演者のひとりである京大教授がスギやヒノキの人工林について、20~30年で品質が安定して使えるようになるが、今の人工林は50~60年生に育っていて「老齢化」しているのだと説明していた。スギもヒノキも数百年から千年以上も生きる生命体である。それを50~60年生程度で「老齢」と決めつけるとは、呆れるほかはなかった。


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