GX ZEHで需要が高まる「断熱等級6・7」 (発泡系断熱材編)

断熱材各社が提案する上位等級成功の鍵

 

住宅の断熱性能向上が急速に進んでいる。脱炭素化の進展、省エネや健康といったニーズの高まりを背景に、住宅の断熱性能は断熱等級5(ZEH水準)が新たな「標準仕様」となりつつある。さらに、国が示す「GX志向型住宅」や、2027年度からスタートが予定されている新定義「GX ZEH」を見据え、その一歩先を行く「断熱等級6」、さらには最高水準である「断熱等級7」の住まいづくりが広がりを見せている。等級6・7へと大きくシフトする中で、繊維系断熱材に比べて熱伝導率が低く、高い剛性と耐水性を備えた発泡プラスチックボード系断熱材の需要が急増している。

中東情勢悪化の影響、高性能化に伴う販売状況

2026年春に発生した中東情勢の緊迫化に伴い、ホルムズ海峡等を経由するナフサ調達の不透明感が高まった。この「ナフサショック」が発生したことで、発泡プラスチック系断熱材の原料供給制限や原価高騰が生じた。

フクビ化学工業は、他社より遅れて受注停止措置をとったことで一時的に注文が集中したが、既存ビルダーや戸建て分譲系への優先供給を行うことで体制を再構築した。

JSPは、4月下旬に一時受注停止を行ったものの、供給正常化後は高性能ポリスチレンフォーム「ミラフォームλ(ラムダ)」の出荷量が重量ベースで前年比10%以上増加するなど好調に推移している。

アキレスは、既存顧客を優先する出荷管理を実施し、原価高止まりへの対応として価格調整を行いながら供給を維持した。

発泡スチロール協会(EPS)は、原料供給への直接的打撃は軽微であり、他素材の供給懸念に伴う代替需要や在庫確保の動きに対しても安定供給で応えた。建材・土木分野のEPS出荷量は2026年1月以降、前年比100%を下回ることなくプラスで推移。要因として、ナフサショックによる先取り・駆け込み需要の発生に加え、住宅の高断熱化需要の増加が挙げられる。

2026年9月時点で、供給体制は全体として平時に戻り安定しているが、原材料費や運送費の高止まりは継続している。
一方で、省エネ基準の引き上げに伴い、通常グレードから厚物・高機能製品へのシフトが力強く進行している。

足元の高断熱化に伴いボード系発泡断熱材の注文が急増

住宅事業者が差別化を図るために等級6・7へと大きくシフトする中で、存在感を高めているのが発泡ボード系の断熱材だ。特に高い耐荷重性や防湿性が求められる「床断熱」や「基礎断熱」の部位において、発泡ボード系断熱材は圧倒的なシェアと存在感を示している。

(独)住宅金融支援機構の調査によれば、戸建て住宅の床充填断熱においてポリスチレンフォームやポリエチレンフォームなどのボード系断熱材が5割超のシェアを占めており、床面での断熱施工における標準材として定着している。

JSPのJIS 最高ランクの「ミラフォームΛ」。上位等級対応に伴う厚物化が加速している

JSPが展開する押出法ポリスチレンフォーム(XPS)断熱材は、木造戸建て向けの出荷の8~9割を床用が占めている。主力の「ミラフォーム」(熱伝導率0.028 W/(m・K))から、JIS最高ランクの「ミラフォームΛ(ラムダ)」(熱伝導率0.022 W/(m・K))への移行が急速に進んでおり、上位等級対応に伴う厚物化(75㎜、90㎜、100㎜等)が加速している。

同社は約20年前から業界に先駆けて「床断熱材プレカットサービス」を開始したパイオニアである。従来、大工が現場で3尺×6尺(910㎜×1820㎜)の原板を丸ノコやカッターで切断していた作業は、厚手化によって電ノコでの二度切りが必要になるなど施工負担が増大していた。JSPのフルプレカットを導入することで、現場での敷設作業時間は約1日から2時間程度へ大幅に短縮される。さらに、現場端材の処分費やゴミ問題を解決できるため、職人不足が深刻化する建設現場において採用が急増している。

床断熱材のフルプレカットで先行するJSPは、新製品の開発なども進め、壁の付加断熱市場の開拓に力を入れていく

フルプレカットの出荷は件数・重量ベースともに1~2割の増加で伸長しており、厚手化の進行が重量増に反映されている。一方で繁忙期(9〜11月)には子会社との連携や設備更新で対応している。物流面では、主力工場(栃木県鹿沼市・兵庫県たつの市)からの直送に加えて、茨城・中京圏などに加工・ストック拠点を設け効率化を図る方針。中京圏は鹿沼・関西双方から等距離であり、現地加工・配送体制の構築を課題として挙げる。

カネカが展開する押出法ポリスチレンフォーム(XPS)を使用した高性能断熱材「カネライトフォーム」は、木造戸建ての床充填での用途がメインとなる。現場での加工性の高さが普及の要因だが、高性能化に伴い厚みが増すと現場加工が困難になるため、プレカットへの移行が進んでいる。厚さ20㎜から100㎜まで5㎜刻みの細かいサイズ展開も強みだ。

カネライトフォームは、樹脂の中にグラファイト系の輻射抑制剤を練り込むことで熱の輻射伝熱を強力に防ぎ、さらに熱滞留を抑える高断熱性の発泡剤を高濃度で分散させることで、優れた断熱性能を発揮する。用途や求める断熱性能に応じて、「カネライトフォームスーパーE‐Ⅲ」(基本グレード)、「カネライトフォームスーパーEX」(上位グレード)、「カネライトフォームFX」(最上位グレード)などをラインアップする。最上位の「カネライトフォームFX」は、熱伝導率 0.022 W/(m・K)を誇り、従来グレードの「E‐Ⅲ」と比較して約20%、「EX」と比較しても10%の断熱性能向上を実現。これは住宅金融支援機構の性能ランク分けにおいても、断熱材として最高レベルである「Fランク」に分類されるトップクラスの性能だ。「等級6〜7向けには熱伝導率0.022の高性能グレード(FX)の需要が増加しており、床では90〜100㎜の厚みが必要になるケースも増えている」とする。

カネカの「カネライトフォームFX」。高い断熱性能に加え、優れた圧縮強度、曲げ強度、耐久水・吸湿性を備える

同社は、等級6・7の住まいづくりに取り組む住宅事業者に対して床断熱材フルプレカットを推奨する。また、新発想の新たなサイズ構成の床断熱材新シリーズ【ハチサンマル】も開発した。より施工現場目線で“基本サイズ”を変えるという提案だ。床断熱施工の際に基準になる、土台、大引、横架材、それぞれの内々の寸法に近づけた製品サイズ(断熱材の縦横正味寸法)をラインアップし、現場での端材、残材の大幅削減を実現する。

「プレカットは20年以上前から存在するが、現在は土台伏せ図面をもとに一棟一棟全サイズを割り付けて供給する形態が主流になりつつある。この対応のためのシステム強化・加工体制強化・物流体制の整備が今後の課題」とする。

カネカは、端材、残材の大幅減を実現する床暖熱フルプレカットを推奨する

フクビ化学工業が展開する高性能フェノールフォーム断熱材「フェノバボード」(熱伝導率0.019 W/(m・K))も、床断熱において従来の45㎜厚中心から、63㎜、80㎜、90㎜といった厚物製品への移行が顕著である。

同社は床下からの冷気や熱橋(ヒートブリッジ)を徹底的に遮断する工法として、大引き間への充填施工に加え、根太間にも「フェノバボード」を追加施工する「床二重断熱工法」を推奨している。サーモグラフィ等で熱変化が顕著に表れる大引き部の熱ロスを解消することで、足元の冷え込みを防ぎ、スリッパ不要な居住快適性を提供する。

さらに、環境意識の高いビルダー向けには、製紙工場の損紙(未利用紙)とコーンスターチを原料とした床用ボード断熱材「フクフォームEco」を展開している。化石燃料由来のプラスチックに依存しない環境配慮型建材として、独自のポジションを確立している。

全館空調の普及と「基礎内断熱」の進化

近年、住宅の高性能化と同時に全館空調システムや床下エアコン、熱交換換気システムの導入が標準化しつつある。床下空間を室内と同じ温熱環境として活用するため、基礎コンクリートの内側に断熱材を敷き込む「基礎内断熱」の需要も高まっている。

アキレスの「キューワンボード」。アルミ箔面材による高い赤外線遮熱性能を備えており、夏の太陽による輻射熱の侵入を強力にカットする

カネカのXPS断熱材「カネライトフォームFX」は、高い断熱性(Fランク)とともに、優れた圧縮強さ、曲げ強さ、耐吸水・吸湿性を兼ね備えている。湿気が停滞しやすい基礎内部や床下空間においても、吸水による断熱性能の経年劣化が生じにくく、長期にわたり構造体の安全性を保持できる点が高く評価されている。

アキレスの高性能硬質ウレタンフォーム「キューワンボード」(熱伝導率0.021 W/(m・K))は、両面に赤外線を高反射するアルミ箔面材が一体成形されている。基礎内断熱においては、基礎立ち上がり部への施工だけでなく、底面(土間床)への水平折り返し施工や全面的敷き込みを行うことで、地盤面への熱逃げを徹底的に防ぐ。

特に床下エアコンや全館空調を採用する住宅では、基礎全周を「キューワンボード」で連続被覆することにより、気密層の確保と熱ロスの最小化を同時に実現する設計提案を強化している。

基礎の外側で断熱する「基礎外断熱」の決定打

床下空間の利用や床面温度の均一化、メンテナンス性向上、気密性確保において優れたメリットを持つのが、基礎コンクリートの外側を断熱材で包み込む「基礎外側断熱工法」である。特に断熱等級7レベルの超高断熱を目指す場合、床断熱のみでは断熱材の厚みが150㎜以上となり施工限界に達するため、基礎外側断熱への転換が不可避となっている。しかし、従来の基礎外断熱にはシロアリが断熱材内部を穿孔して侵入し、蟻道やコロニーを形成するリスクが大きな課題とされていた。

基礎断熱における防蟻対策を業界に先んじて行ったデュポン・スタイロの「スタイロフォームAT」。業界初となる「20年保証サービス」(10年目点検あり)も開始した

デュポン・スタイロは、この課題を解く決定打として、ポリスチレン原料の製造段階で安全性の高い防蟻薬剤を均一に混練・発泡させた防蟻断熱材「スタイロフォームAT」(熱伝導率0.028 W/(m・K)以下)を展開している。薬剤が樹脂内部に混入されているため水に溶け出さず、揮発性も極めて低いため、拡散や流出の心配がなく長期間にわたり防蟻効果を発揮する。

同社は2005年11月より、日本で最もシロアリの活性が高い過酷な環境である沖縄の琉球大学農学部試験場において、長期暴露耐久性試験を実施してきた。2025年11月に20年目の評価を行い、20年経過したサンプルの薬剤含有量が製造初期とほぼ同等に維持され、建物へのシロアリ食害被害が発生しないことを実証した。

さらに同社は2025年1月より、「スタイロフォームAT」と特定の防蟻防湿シート、防蟻接着剤AT‐02等を組み合わせた施工に対し、業界初となる「20年保証サービス」(10年目点検あり)を開始した。ハウスメーカーやビルダーが施主に対して客観的な保証の裏付けを提示できるサービスとして強い関心を集めており、防蟻保証を備えた「スタイロフォームAT」による基礎外側断熱の採用が加速している。

2026年10月から基礎断熱の評価方法変更
メーカー各社の「任意評定」取得と工務店支援

基礎断熱を採用する上で、2026年10月末に予定されている省エネ計算方式の変更(旧計算方式・旧WEBプログラムの全面廃止)は極めて重大な転換点となる。

従来のラフな計算方式と異なり、新方式(定常二次伝熱計算に基づく線熱貫流率算定)では、基礎形状、根入れ深さ、地盤面からの熱損失などが厳格かつ緻密に評価される。対策を講じずに新方式を適用した場合、外皮平均熱貫流率(UA値)の計算結果が従来より不利に出るケースが多発する。これにより、従来の計算で等級6ギリギリで設計していた住宅が「等級5」へ格下げされたり、高基礎や斜面地・半地下構造の住宅で等級が大幅に悪化するリスクが生じる。

屋根や壁の断熱材をさらに厚くして性能を補おうとすると、構造躯体や別部材の変更に伴い建築コストが跳ね上がってしまうため、ビルダー側には「屋根や壁の仕様を変えずに基礎部分の計算工夫で数値をクリアしたい」という切実なニーズが存在する。

この計算上の不利を回避し、基礎断熱を採用したまま確実に等級6・7をクリアするための鍵となるのが、建築研究所のWEBプログラムに対応した「任意評定(基礎外周部の線熱貫流率に関する個別の性能評定)」の活用だ。

デュポン・スタイロは、防蟻性能を付与した「スタイロフォームAT」で基礎外側断熱の提案を強化する

デュポン・スタイロは、「スタイロフォームAT」を用いた基礎断熱の線熱貫流率に関する任意評定を取得し、2024年6月から運用を開始している。計算結果への不利な影響を抑制できるため、基礎外側断熱を基本としつつ、室内側土間水平部への断熱追加や、寒冷地・等級7における基礎内外両面施工などの柔軟な仕様提案を行っている。また、温暖地の床断熱住宅でネックとなりやすい浴室・玄関の無断熱部に対する「局所的な基礎断熱」の採用も提案している。

アキレスは、任意評定を取得済みであり、構造計算サポートのエヌ・シー・エヌなどと共催で「基礎断熱の評価方法変更」に関する工務店向けオンライン対策セミナーを開催。500人の枠に受講申し込みが殺到するなど、混乱を未然に防ぐ周知活動を徹底している。

カネカは、任意評定の年内の運用開始に向けて手続きを完了させている。

断熱等級の引き上げが追い風
付加断熱市場に高い伸び代

省エネ地域区分の4〜7地域(温暖地)において、断熱等級6までは柱間の充填断熱のみで計算上クリアできる場合がある。しかし、柱寸法(105㎜や120㎜)の制約から厚物に限界があり、柱や間柱が熱橋となるため、実際の室内環境や結露抑制には限界が存在する。

費用対効果に優れ、「カジュアル付加断熱」とも言われる「等級6・5」や、さらに高次の「等級7」を実現するためには、柱間の充填断熱に加えて構造躯体の外側にボード系断熱材を張り重ねる「付加断熱(外張り+充填のW断熱)」が必須の施工技術となる。外張り断熱を付加することで、構造体の熱橋が完全に被覆され、壁体内結露の防止と省エネ性能の大幅な向上が可能となる。

付加断熱市場の急速な拡大に伴い、メーカー各社は製品性能の向上と提案手法の多角化を進めている。

アキレスは、断熱等級6・7の上位等級の家づくりに最適な「キューワンボード」を主軸に提案、販売を強化する

アキレスの「キューワンボード」は、アルミ箔面材による高い赤外線遮熱性能を備えており、夏の太陽による輻射熱の侵入を強力にカットする。同社は単なる断熱材の単品販売にとどまらず、サッシメーカー(YKK AP)、設備メーカー(パナソニック、リンナイ)、計算サポート(エヌ・シー・エヌ)などと連携した「GX志向型住宅・上位等級ワンストップセミナー」を全国展開している。

高断熱な躯体(キューワンボード付加断熱)に、日射遮蔽窓、高効率給湯器(ECO ONEやエコキュート)を組み合わせ、外皮計算(UA値)と一次エネルギー消費量(BEI 0.65以下)をワンパッケージで達成できるソリューションとして工務店へ提案している。

フクビ化学工業の「フェノバボード」。新規採用ビルダーの増加により販売は好調。福井県に第2工場を建設、来年度中の稼働開始を予定している

フクビ化学工業の「フェノバボード」は、熱伝導率0.019 W/(m・K)というトップクラスの性能により、外張り断熱の厚みを格段に薄く抑えることができる。外張り断熱材が厚くなると長ビスの垂れ下がりや外壁下地の施工困難が生じるが、薄型化によって現場の施工性が著しく向上する。

同社によると「昨年は等級7をフラッグシップとして提案していたのが、今年は等級6・5を標準仕様として採用するビルダーが増加している。費用対効果と施主への訴求しやすさから、等級6・5が現実的な着地点として定着しつつある」とする。特に分譲系ビルダーにおいて、外張り断熱45㎜を標準仕様とするなど、性能水準の底上げが進み、多様な間取りや開口部配置に対応できる厚物製品の採用が広がっている。

フクビ化学工業は、上位等級に取り組む住宅事業者が増えてきた中で、フェノバボードを採用した仕様の提案を強化している

屋根断熱については外張り+充填の組み合わせを推進。壁は防火認定等の制約が多く、特に金属サイディング主体の地域では切り替えが難しいのに対して、屋根断熱は壁よりも採用が通りやすいという。遮熱材付きフェノバボードも屋根断熱向けにラインアップしている。

同社は昨年の断熱事業推進室での活動が一定の成果を上げたことを受け、今期は「スペック営業部」を新設し、大手分譲ビルダーなどへの仕様提案営業を本格化させた。同部門は既存ビルダーの仕様を確認しながら等級向上のための断熱構成を提案し、UA値0・3台の実現を具体的に示す活動を行っている。

また、福井県に第2工場を建設、来年度中の稼働開始を予定している。稼働後は生産量が現状の約2倍になる見込みで、それに見合う販売量確保を目的としてスペック営業部が先行して需要を開拓している。

さらに、フォワードハウジングソリューションズや、他の建材メーカー数社と協業し高断熱住宅の体感モデルを活用した取り組みも展開する。モデルハウスでビルダーに高断熱を体感してもらいながら、その場で仕様提案を行うことで商談が進めやすくなっている。

加えて、同社が運営するパッシブ工法のVC組織「エアサイクルの家」において、従来使用していたXPSから「フェノバボード」への切り替えを推進。全国の登録工務店に対し、通気層を維持したまま全棟を断熱等級6以上へと引き上げる運動を展開している。

JSPは現行の「ミラフォームΛ」(熱伝導率0.022 W/(m・K))を軸に付加断熱市場へアプローチしているが、さらに性能を高めた熱伝導率0.020 W/(m・K)(フェノールフォーム同等水準)の新製品の開発を進めている。

この新製品が投入されることで、フェノールフォームで設計された付加断熱仕様に対し、壁の納まり寸法を変更することなく「XPS」へ置き換える提案が可能となる。既存の「ミラフォームΛ」と「0.020新製品」の2本立てにより、安定供給力と価格競争力を活かした外張り断熱提案を強化する考えだ。

カネカは、上位等級への対応として、壁の付加断熱(外張り断熱)の引き合いが増加しているとする。

デュポン・スタイロは、充填断熱に「スタイロフォームFG」(厚さ30㎜または50㎜)の外張り断熱を組み合わせた「等級6plus」モデル仕様を提案している。温暖地において充填だけで等級6をクリアする手法に対し、付加断熱と基礎外断熱を組み合わせることで床下から壁面までの温熱環境が飛躍的に改善することを定量的に示し、ビルダーの上位等級移行を後押ししている。

発泡スチロール協会は、耐水性・経年劣化の少なさに優れるEPS断熱材が付加断熱として選ばれる環境を整えるため、各種外装仕上げの「30分防火認定(法22条区域など)」取得を強力に推進している。乾式サイディング外装および木外装の防火認定を保有しているが、湿式外装(左官仕上げ)の防火認定は未取得であった。ニーズが高まる湿式外装の防火認定取得を進め、デザイン性を重視する工務店での採用基盤を強化していく考えだ。

EPS断熱材は長年にわたって性能が落ちないことが大きなポイント。性能が安定しているため長く住み続けても設計通りの暖かさ、涼しさを保ち続けられる

また、現行JIS規格ではEPS断熱材は1号から4号(熱伝導率0.034~0.041 W/m・K以下)に区分されているが、一部の成形メーカーはすでにこれを上回る高性能原料を使用した製品(例:熱伝導率0.032 W/m・K程度以下を目指す)を試験成績書ベースで販売し始めている。かつて他の断熱材メーカーが高性能品をJIS枠外で試験成績書により性能を担保、販売を開始し、後にJIS化した経緯と同様の流れがEPS業界にも起きている。協会としては、今後3〜4年で等級4から5・6・7への移行が厳格化されるタイミングに合わせ、高性能グレードを含む新たな枠組みをJIS等で整備していく方向で検討している。高性能グレードの公的評価体制を整えることで競争力を高める狙いがある。

高断熱時代の成功のカギは「万全な気密対策」にあり

住宅の断熱性能が等級6・7へと高まるにつれ、わずかな施工の隙間や気密の欠損がもたらす熱ロスや内部結露のリスクは急激に増大する。壁体内に湿気が侵入してしまうと、構造体の耐久性を損なうばかりか、断熱材そのものの性能低下を引き起こすため、現場における厳格な気密施工と隙間処理の品質管理が必須となる。

エービーシー商会が展開する「エラスティックフォーム」。低発泡で窓周りの気密施工に最適。地震の揺れや木材の経年収縮・膨張に対してもフォームが割れず追従するため、長期間にわたり気密欠損を防ぐ

断熱現場における隙間処理や気密補強の定番部材として、エービーシー商会が展開する1液型発泡ウレタンフォーム「インサルパック」シリーズの採用が急増している。

石油由来の主要原材料の高騰に伴い同社は価格改定を実施したが、現場における必須部材として需要は極めて堅調であり、例年を上回る出荷水準を維持している。需要の高まりを受け、同社は仙台・名古屋・大阪などの各営業所に営業人員を増員し、施工現場へのサポート体制を強化している。

上位等級住宅(等級6・7)では施工箇所や使用期間が多岐にわたるため、従来の使い捨てノズルタイプから、吐出量の微調整が可能で日をまたいで繰り返し使用できる「ガンタイプ」への移行が進んでいる。同社ではガンタイプと同等の価格帯でウレタン缶と洗浄用クリーナーをセットにした入門用の「スターターキット」を展開しており、ガンタイプを初めて導入する職人や現場監督から高い評価を得ている。

特に中間気密測定や最終気密検査時の補修用として、現場監督がガンタイプを常備するケースが増加している。

また、気密施工の精度向上と現場の多様な課題に対応するため、用途特化型製品の需要が大きく伸びしている。

「エラスティックフォーム」は、柔軟性や低発泡(膨らまない)の特性を持つ窓周り・気密用ウレタンフォーム。地震の揺れや木材の経年収縮・膨張に対してもフォームが割れず追従するため、長期間にわたり気密欠損を防ぐ。また、膨らまないため切断処理(カット)が不要であり、表面のスキン層(断熱・気密性能を担う膜)を傷つけずに100%の断熱性能を発揮し、施工の均質化を実現する。

「防蟻フォーム」は、シロアリ対策に特化した防蟻性能を持つウレタンフォームだ。

地盤に近い基礎立ち上がり部や床下配管貫通部など、シロアリの侵入経路となりやすい隙間の気密・防蟻処理において高い効果を発揮する。

「スプレーノズルフォーム」は、一液タイプでありながら広範囲へ吹き付けが可能な製品。低い粘性と強いガス圧力により、ユニットバス周りの基礎断熱部分など、面状にウレタンを覆いたい複雑箇所の気密・補修施工に適している。

高断熱化に伴い等級6基準を満たすために「基礎断熱」を採用する住宅が増加しているが、基礎内部に一度水や湿気が侵入すると外部へ逃げられず、内部でカビが発生するなど深刻な障害につながるリスクがある。

これに対し、同社は基礎外側の断熱ボード専用の下地処理材「キソッシュ速乾断熱材ベース」を提案し、基礎断熱特有の不具合リスクを防止する周辺部材のラインアップを拡充している。

強力な接着性を持つためコンクリート下地にももちろん使用することができる。従来品よりも速乾性が大幅にアップしたことにより、下地処理から仕上げまで1日以内の施工ができる。さらに別売りの促進剤をプラスすることで、寒冷地の冬でも効率的に施工することが可能だ。

一方で同社は、中小工務店や現場施工者において気密施工の正しいノウハウやガンの保持・使用方法が十分に普及していない実態を課題として挙げており、現場での施工指導や技術啓発活動を強化している。

将来的には、現行の一液タイプの性能を引き上げ、二液タイプ並みの高断熱性能を持つ一液発泡ウレタンの開発を目指している。

防蟻効果を持つエービーシー商会の「防蟻フォーム」。シロアリの侵入経路となりやすい隙間の気密・防蟻処理において高い効果を発揮する

アキレスが推奨している「桁上断熱工法」は、屋根・天井の断熱施工において、小屋組の桁(桁材)の上に「キューワンボード」を連続して敷き詰める工法である。

従来のグラスウールによる天井断熱では、天井下がりの配線・配管や、間仕切り壁の頂部が気密層を貫通するため、気流止めや気密処理に膨大な手間がかかっていた。

桁上断熱工法を採用すれば、断熱・気密層が室内空間と完全に分離されてフラットに施工できるため、複雑な貫通部の処理が発生せず、誰でも簡単に高い気密性能(C値の向上)を達成できる。

さらに、「キューワンボードRZ」は、表面の防滑加工に硬質ウレタンフォームとアルミ箔面材の自己接着構造により高い曲げ強度(コシ)を有しているため、垂木間隔455㎜以下であれば踏み抜き防止の野地板(合板下地)を省略して直接施工することが可能だ。同製品を採用することで、資材費と大工工数の大幅な削減に貢献する。

カネカは、高断熱・高気密住宅化に向け、断熱材と気密材の組み合わせとしてのXPSの優位性を模索中の段階であり、XPSの湿気遮断性・寸法安定性・長期性能維持などの優位性を今後の提案軸として強化していく考えだ。

高断熱化・高気密化が進む2026年現在の断熱材マーケットにおいては、製品の単なる断熱性だけでなく、プレカットや納まりを含む「施工性」、新計算方式に対応する「任意評定」、気密部材や窓や玄関ドアといった開口部と連携した「トータル設計提案」を提供できる断熱材メーカーが、工務店の上位等級化成功に向けた不可欠なパートナーとなってきている。