三菱地所レジデンス 1000坪超の中大規模木造の現場見学会を開催
4つの課題をクリア、有料老人ホームを木造で実現
今年11月に竣工予定の木造3階建て有料老人ホームの施工現場見学会を実施した。
延床面積1000坪超の物件で、さまざまな課題をクリアした同社初の木造有料老人ホームとなる。
三菱地所レジデンスがチャーム・ケア・コーポレーション、三菱UFJ信託銀行と協働で進めている木造の介護付有料老人ホーム「チャームプレミア桜新町」(東京都世田谷区)の構造見学会を実施した。耐火被覆や内装材などを施工する前段階の見学会では、柱の位置、強固な梁など、このプロジェクトの特徴である大開口・大空間を実現した木構造の特徴を見ることができた。
「チャームプレミア桜新町」は、建築面積1208.48㎡、延床面積3368.27㎡の枠組み壁工法による純木造3階建て。入居室数は62室(定員72人)で、25年9月に着工し26年10月に竣工、11月に引き渡し予定だ。
木造ならではの特徴として、炭素の長期間固定や製造・施工時のCO2の排出抑制はもとより、調湿機能や断熱性による入居者などのウェルビーイングの向上が期待できる。三菱地所レジデンスは、9年前から有料老人ホームの開発に取り組み、これまで約50棟を手掛けてきた。「有料老人ホームは面的に横に広がる物件が多く、いつかは木造にトライしたいと考えていた」(執行役員 投資アセット企画開発部長・渡辺昌之氏)といい、同物件が同社初の木造による有料老人ホームとなる。

中大規模木造に4つの課題
コストや投資家の評価も
同施設を木造で建設するにあたり、大きく4つの検討課題があった。一つが建物計画。開放感あふれる大開口・大空間、グレード感を持つ建物をいかに木造で実現するかがテーマとなった。実際、当初の計画ではエントランスやラウンジなど大空間を必要とする共用空間では柱や壁が多く入り、構造的な工夫が必要となった。また、大開口を実現するためにも構造的な検証が求められた。二つ目が運営事業者、入居者の理解・評価を得ること。竣工前の段階で入居者募集が行われるため、実績が多くはない木造に対する懸念・心配などがあり、その払しょくに向けて通常以上にコミュニケーションに留意した。
工事コストも課題となった。一般的に木造はRC造に比べて工事コストを抑えることができると言われているが、建設地が都市部の準防火地域であることから耐火構造し、遮音性や耐久性、デザイン性を高めるためにもさまざまな工夫を行ったことからコストが上昇。結果的に、工事コストはRC造で建設した場合とほぼ同等となった。
もう一つ重要な検討課題は投資家の評価である。三菱地所レジデンスのモデルは土地を仕入れて企画、運営事業者に賃貸して最終的に透視化に売却するというもの。同物件も三菱UFJ信託銀行が竣工後に三菱UFJ信託銀行を受託者とする信託受益権としての同施設の金融商品化を目指している。木造による中大規模の建築が増え、ESG投資の視点も出てきてはいるが、実績が少ないことから簡単に評価ができないという声も聞く。こうしたなかで「チャームプレミア桜新町」は経済耐用年数をRC造と同等以上とする鑑定評価を得ることができ、「RC造と同等の収益性、資産評価を前提とした「民間の事業として画期的と言えるモデルができた。新たな転換点となり得る」(斎藤氏)と、大きな実績となった。
木材使用量は912㎥
構造や内外装に国産材も
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