New   2026.9.7

ストック循環の始まり 新時代のビジネスモデル構築へ

空き家再生の多様化からAI活用、建材リユースまで

 

経済が成熟し、社会が循環へと移行しつつあるなか、世帯構造の変化に住宅価格の高騰も加わり、住宅産業の主戦場は確実にストック領域へとシフトしている。
ただ、ストックビジネスの両軸である中古売買、リフォーム市場が決して爆発的に拡大しているわけではない。
ストック領域において従来型のビジネスモデルから脱却し、蓄積された住宅ストックの価値を向上させる、新たな価値を生み出すといった新たなビジネスモデルの構築が求められているといえよう。
空き家問題、資源の循環、CO2排出量削減などの社会課題に対し、住宅産業界のプレイヤーたちはどう向きあっていくのか。
今、ストック領域において、次々と新しい新ビジネスが産声を上げている。
AIなどの技術革新も相まって、技術とアイデアの融合が可能性を広げ、ブルーオーシャンを切り拓こうとしている。
政策転換の大きな波に乗り、新たな価値を創出するストック循環型ビジネス。
12の具体事例から、住宅産業が目指すべき持続可能な未来の姿を紐解く。


今年3月、新たな「住生活基本計画」(全国計画)が閣議決定された。これまでと大きく異なるのは「2050年の未来の姿を見据え、そこからバックキャストする形で議論を行った」(国土交通省・宿本尚吾住宅局長=当時)ことである。そこで議論の核の一つとなったのが「新築からストック活用への住宅政策ターゲットのシフト」だ。

住宅政策はすでにストック分野へと舵を切っている。従来の住生活基本計画でも「ストック」は大きな重点項目であった。何がこれまでと異なるのか。新たな「住生活基本計画」では「ストック価値の最大化」を強調、今後の25年は「蓄積されたストックをどう回し、価値を維持、向上させるかに全力を注ぐ」(宿本局長)という。つまり、「ストックの有効活用」という方針をさらに深め、より実効性を持たせる次のフェーズに入ったということだろう。

同計画が掲げる主な成果指標(KPI)を見てみると、ストック領域では、「耐震性が不十分な住宅ストックの比率」(23年・10%→35年・概ね解消)、「住宅ストックの平均省エネ性能(BEI)」(23年・1.3→35年1.0)、「既存住宅取引及びリフォームの市場規模」(23年・16.9兆円→35年・20兆円)、「住宅の資産価値を評価するローンを取り扱う民間金融機関の割合」(23年・27%→35年・35%)、「腐朽・破損がある使用目的のない空き家数」(23年・90万戸→35年・100万戸程度に抑える)などが掲げられている。

ストック市場規模の拡大だけでなく、品質や性能を高めたストックを市場で回していくという姿が浮かび上がる。ストック市場の姿は、リフォーム・リノベーションと流通・利活用が両輪であり、両者は切り離せない関係にある。

住宅産業において、今後、中核となるであろうストック領域。この分野を切り拓き、拡大を推進する新たなビジネスモデルが続々と登場している。

既存住宅流通・リフォームともに市場は拡大傾向に

国土交通省の「令和6年度 政策チェックアップ評価」によると、既存住宅流通市場は、18年度の4.5兆円から23年度の4.6兆円へと増加傾向にあるが、微増にとどまっている。

ただ、コロナ禍を経てのテレワーク普及・在宅時間の増加、さらに急激な住宅価格高騰を受けて新築から中古住宅へのシフトは間違いなく進んでいる。国土交通省の「既存住宅販売量指数」(戸建住宅+マンション(区分所有))をみると26年は1月が137.6、2月が130.9、3月は128.1。20年からの年次で動きを追ってみると、107.2、111.5、112.1、116.9、125.0、129.5と着実な増加傾向が見て取れる。

資材価格や人件費の高騰などにより、現状、住宅価格が下がる見込みはなく、中古住宅購入へのシフトは加速しそうだ。加えて、今後、空き家数のさらなる増加が見込まれる。その利活用が大きな課題となる中、既存住宅市場の拡大は続きそうだ。

一方、リフォーム市場については、国土交通省の「令和6年度 政策チェックアップ評価」では、18年度の7兆円から23年度の7.7兆円とわずかな増加にとどまっている。

(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住宅リフォームの市場規模」によると、24年の同市場(増築・改築工事費及び設備等の維持修繕費の合計)は7兆円と前年から微減。13年の6.1兆円からいったんは縮小したものの、16年の5.62兆円を底に上向き拡大基調にあったが、22、23、24年はほぼ横ばいが続いている。一方、矢野経済研究所の住宅リフォーム市場に関する調査では、25年の市場を前年比2.5%増の7兆5119億円と推計、26年は中東情勢の緊迫化による資材供給の遅延や価格上昇が見込まれるものの影響は軽微とみて同1.9%増の7.7兆円を予測している。

リフォーム市場は、団塊ジュニア世代の持ち家がリフォーム適齢期を迎えている。省エネリフォームなど性能向上リフォームの推進により単価の上昇も期待できる。ただ、その一方で、資材価格の高騰などのマイナス要因があるのも事実だ。住生活基本計画のKPIでも、30年目標は前回の25年目標を維持した12兆円としている。

既存住宅を活用していくには新たな価値の創出が不可欠だ。既存住宅流通の拡大とあわせて、リフォーム市場の拡大にさらに力を入れていく必要がある。

既存住宅に新たな価値を創出
買取再販市場が活況


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