ハウスメーカーの戸建分譲住宅戦略

注文不振の時代、分譲に活路

資材価格高騰の影響により、住宅価格の上昇が続いている。特に大きな影響を受けているのがフルオーダーの注文住宅だ。
新設住宅着工によると持家(注文住宅)は18カ月連続で前年同月比マイナスという異常事態が続いている。
住宅価格が上昇し続ける中で、手が届かず住宅購入を断念する人が増えていることが伺える。
2023年度も戸建住宅全体では「ダウントレンドは続く」と見るハウスメーカートップは多い。
しかし、ただ手をこまねいているわけではない。
戸建受注数の維持、拡大に向けた取り組みの一つとして建売、売建を問わず分譲住宅のテコ入れを図る動きが活発化している。
ハウスメーカーならではのスケールメリット、高い住宅品質などを強みに、パワービルダーとは一線を画すスタンスで分譲住宅需要の掘り起こしを目指す。

住宅資材全般の価格高騰が続く中で、住宅価格上昇の影響で住宅販売にブレーキがかかり、足元の新設住宅着工は伸び悩む。22年度の新設住宅着工戸数は前年度比0.6%減の86万828戸。内訳を見ると貸家は同5.0%増の34万7427戸、分譲住宅は同4.5%増の25万9549戸と好調に推移した一方で、同11.8%減の24万8132戸となった持家の不振が影響した。持家については、23年5月も同11.5%減の1万8853戸となり、21年12月から18カ月連続で減少する異常事態となっている。

注文住宅の受注失速の傾向は、(一社)住宅生産団体連合会の「経営者の住宅景況感調査」にも表れている。23年度第4四半期(23年1月~3月)の受注実績は、受注戸数54ポイント減、受注金額27ポイント減となり、金額・戸数ともに6期連続のマイナスとなった。

「棟当たり単価は引き続き増加傾向にあるが、新規集客の落ち込み継続により受注棟数が増えず、対前年マイナスとなった」、「物価上昇による消費マインドの低下が受注を押し下げた」、「一次取得客へ提案するための用地の不足」のようなマイナス面の声が目立った。

24年度第1四半期(23年4月~6月)の受注見通しは、受注戸数38ポイント減、受注金額25ポイント減となり、戸数で5期連続、金額で4期連続マイナスの見通しとなった。

「引き続き、資材高騰・物価上昇による消費マインドの低下が予想され、顧客計画変更が余儀なくされるなど、商談の長期化が懸念される」といった厳しい内容の見通しが多くみられた。

特にフルオーダーの注文住宅では、利益を確保しにくい状況が続いている。注文住宅は、契約から完成するまでに1年近くの期間を要するため、契約時に相応の利益を見込んでいても、資材高騰により完工時には利益は半減ということは少なくない。地域ビルダーのトップは「売り上げはあるが利益なしという状況が続いている」と話す。

注文不振が続く中で活路の一つとして注目を集めるのが分譲住宅だ。分譲住宅は、土地代、建物代など、初期投資はかかるが、完工から売上が立つまで期間が短いため、注文住宅に比べて利益を圧迫しにくい。回転率を上げることで成長戦略を描きやすい。

これまで注文住宅中心であったハウスメーカーの中にも、分譲住宅、特に建売住宅シフトを明確に打ち出す動きや、注文住宅重視を維持しつつも仕入れた土地を元に建築条件付きの売建住宅の販売を強化する動きが目立ち始めている。


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