朝日ウッドテック 国産広葉樹を活用したオール国産材フローリングを商品化

床から日本の山を変えていく

朝日ウッドテックは「Live Natural Premium(ライブナチュラルプレミアム) オール国産材」を2022年10月に発売し、国産広葉樹の用途拡大に向けた取り組みを加速させている。スギやヒノキのような針葉樹だけでなく、建材として活用することが難しいとされてきた広葉樹の有効活用を図ることで、床から日本の山を変えていこうとしている。

北海道の広葉樹林(ナラ)での調達の様子や、商品開発の背景、想いをまとめた「ライブナチュラルプレミアム オール国産材」紹介動画をYouTubeで公開中。

「ライブナチュラルプレミアム オール国産材」は製品を構成するすべての材料に国産材を使用した無垢材挽き板フローリングだ。これまでも製品の一部に国産材を使用することはあったが、同製品では基材から化粧材まで全てに国産材を使用しており、これは同社初となる。

基材には、国産ヒノキ合板と国産材単板を組み合わせたハイブリッド合板を採用している。また、表面化粧材には、国産広葉樹を中心に日本全国から厳選した、ナラ、セン、クリ、ヤマザクラ、ヒノキという5樹種の挽き板を使用しており、この点が「ライブナチュラルプレミアム オール国産材」の大きな特徴になっている。

表面化粧材に国産広葉樹を採用した無垢材挽き板フローリング「Live Natural Premium オール国産材」。ウッドデザイン賞2022も受賞した

独自の調達ルートと小径木なども活用できる技術で課題を克服

表面化粧材のうち、ヒノキ以外は広葉樹となっている。広葉樹は、針葉樹にはない意匠性をもたらすだけでなく、硬くて傷などが付きにくいといった長所も兼ね備えている。

一方、広葉樹はスギやヒノキなどの針葉樹と異なり、伐採量は非常に少なく、安定的に調達することが難しい。朝日ウッドテックでは、かねてから広葉樹の建材利用を図っており、独自の調達ルートを構築している。今回の床材も、この調達ルートがあったからこそ誕生したものだという。

加えて、市場などに出回る広葉樹の多くは、小径木がほとんどで、曲がりがあるものも多い。そのため、伐採された広葉樹の多くは燃料用のチップなどに加工されてしまう。

2020年度の統計資料によると、広葉樹の生産量の約94%がパルプまたは燃料用チップとして消費されており、住宅資材や家具などの用材として利用されたのはわずか6%に過ぎないという。何10年もかけてCO2を吸収しながら成長してきた広葉樹の多くが、燃料チップとして燃やされてしまい、長年かけて固定していたCO2を一瞬にして大気に排出してしまっているという実情があるのだ。

どのような広葉樹であっても、丁寧な選別が行われることなくチップになってしまうことで、山側に十分な利益を還元することも難しくなる。こうした状況が続けば、原木生産者の広葉樹活用のモチベーションも低下し、市場などへの供給量はますます減っていき、有効活用が進まないという悪循環が生まれてしまう。同社はこうした状況に一石を投じ、広葉樹のカスケード利用※を促すために、床材への利用を進めようとしている。

※付加価値の高いものから低いものへ、それぞれの質に応じて順番に利用すること

「ライブナチュラルプレミアム オール国産材」では、小径木や曲がりがある広葉樹からとれる幅の狭い材料でも化粧材に活用できる技術を採用している。1枚の床材を幅・長さの異なる8枚のピースで構成することで、木材の太さや曲がりの有無に関わらず活用できるようにしたのだ。

床材をオール国産材にする上で、床暖房への対応も課題となる。木材は湿度変化などによって変形・伸縮するが、広葉樹と針葉樹では比重が違うため、剛性が異なる。「ライブナチュラルプレミアム オール国産材」では、基材に針葉樹、化粧材に広葉樹を中心に利用しているため、従来のライブナチュラルプレミアム以上に、床暖房による床材の変形・伸縮、すなわち反りや隙の発生を抑えることが難しい。そこで、先述した基材に国産ヒノキ合板と国産材単板を組み合わせた同社独自設計のハイブリッド合板を採用することで、床暖房に対応可能な寸法安定性を12㎜という厚みの中で実現した。基材に使用したヒノキ合板と広葉樹の化粧材の間に国産材単板を挟むことで、挙動の違いのバランスをとる役割を果たし、湿度変化による変形・伸縮を抑制する仕組みになっている。

基材に国産ヒノキ合板と国産材単板を組み合わせた独自設計のハイブリッド合板を採用

展示会で今後の普及促進に手応え
商品を通じて日本の山への関心度を高める

2022年10月〜11月にかけて東京、大阪で創立70周年を記念した「WOODTECFAIR 2022」を開催し、発売に先駆けて「ライブナチュラルプレミアム オール国産材」を展示、来場者から予想以上の反響があったという。

同社取締役の山本健一郎マーケティング部長は「日本の森林蓄積量比率を見ると広葉樹がおよそ3割を占めているが、建材に使う国産材はスギ、ヒノキといった針葉樹であるという固定観念は非常に強い。我々が広葉樹の利用を率先して行うことで、その意義と良さをプロユーザーからエンドユーザーまで伝えていく。国産広葉樹の建材といえば朝日ウッドテックというイメージを確立し、日本の山全体を元気にしていきたい」と話す。

なお、北海道の広葉樹林(ナラ)の調達の様子や商品開発背景、想いなどをまとめた「ライブナチュラルプレミアム オール国産材」の紹介動画を現在、YouTube上で公開中だ。建材として活用することが難しかった広葉樹。床材を通して、その状況を変えることで、ひいては日本の山を守っていこうという同社の取り組みは、まさにSDGs時代の価値を具現化したものであり、建材商品の物語性を備えた付加価値戦略の可能性を示すことにもなりそうだ。

朝日ウッドテック

TEL.06-6245-9505
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