Lib Work、土で出来た3Dプリンター住宅を開発
25年の一般発売を目指し、今年中にも住宅向けモデル完成へ
国内初の土を主原料とした3Dプリンター住宅「Lib Earth House “model A”」の建築に成功、一般住宅用としての発売に向けてさらなる技術開発を進めている。
Lib Work(熊本県山鹿市、瀬口力 代表取締役社長)が開発した3Dプリンター住宅「Lib Earth House “model A”」は国内で初めて土を主原料としていることがポイント。ほかに、石灰、もみ殻、藁などを利用している。同社は、デジタルマーケティングに強みを持つ会社で、以前からWEB集客やプラン提案などの場面でDXを活用してきた。しかしながら、住宅建築自体でのDX活用が行われていなかったとして3Dプリンター住宅の検討を開始した。「住宅商品が飽和するなか、住宅産業界にイノベーションを起こしたい」(瀬口社長)という思いのもと、“サステナブル”に軸足を置いて、2年ほど前から開発を進めた。そうした中でたどり着いたのが、主原料に土を使うこと。数値としては統計を取れていないが、コンクリートでの建設に比べ5分の1程度にCO₂排出量を抑えられているのではないかとする。
ただ、土を主原料に3Dプリンター住宅を建てるというのは容易ではなかった。最も苦労したのが、水やほかの材料との配合量の調整だったそうで、地道な調整を重ねる根気が必要だったとする。また、強度や耐震性についてもシミュレーションを重ねたのちにモデルハウスの建設に至ったが、今回のモデルハウスが完成品ではなく、強度などをモニタリングしながら改善・改良を続けていくという。
将来的には各地域の土で3Dプリンター住宅を
火星での住宅づくりにも挑戦したい
住宅の主原料に土を使うメリットはCO₂削減だけではない。土は資源として入手が容易であるため、住宅を建てる際に運搬作業をカットすることも期待でき、最終的には自然に帰すことができる。今回のモデルハウスには淡路土を使用しているが、土の分析や技術研究を重ね、将来的には日本を6つ程度のエリアに分割し、それぞれのエリアの土で地産地消を行い、持続可能な住まいの仕組みづくりをしたいという。
また、火星での住宅建築も視野に入れる。「火星現地にある土を使って3Dプリンター住宅を建てる」(瀬口社長)ため、今後様々な企業とアライアンスを組んで研究を行いたい考えだ。
今回完成した“model A”は15㎡だが、2024年中には一般住宅用として、国内初の広さ100㎡でトイレ、バスなどを設けた「Lib Earth House “model B”」のモデルハウスを建設する予定。25年の一般発売を目指し、設計及び建築物の確認申請の取得へ動いていく。構造は木造金物工法で建築基準法に則った設計を行っているものの、今までにない取り組みのため行政も慎重な対応を取ることが考えられ、しっかりとしたエビデンスを取って説明していく姿勢だ。販売にあたっては全国のハウスメーカーおよび工務店へFC事業としての展開を計画しており、エリア単位で3Dプリンター住宅の加盟店を募集している。また、認知度拡大のために、ショッピングモールなどの多くの人が訪れる場所へのモデルハウス建設も想定している。
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