都市農地と住まい【後編】

東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 安藤光義

都市周辺部で宅地転用が加速する懸念も
面で居住環境向上を図る仕組みの構築を

国は都市の貴重な資源として、都市農地を保全・活用しやすくする制度改正を進める。都市農業・農地政策に詳しい東京大学大学院農学生命科学研究科の安藤光義教授は「東京都心部などと、都市の周辺部では、状況は異なっていく」と見る。都市農地の保全・活用に向け、どのような取り組みが求められているのか伺った。

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東京大学大学院農学生命科学研究科 安藤光義教授
1989年 東京大学農学部農業経済学科卒業、1994年、東京大学大学院農学系研究科博士課程を修了し、茨城大学農学部助手に就任。1997年、茨城大学農学部助教授、2006年、東京大学大学院農学生命科学研究科助教授などを経て、2015年から現職。主な著書に、『農業構造変動の地域分析―2010年センサス分析と地域の実態調査―』(農山漁村文化協会)、『日本農業の構造変動―2010 センサス分析―』(農林統計協会)などがある

──都市農地を保全・活用しやすくする一連の制度改正は、どのような影響をもたらすのでしょうか。

私は、東京都心部などと都市周辺部のエリアの生産緑地では、状況は異なってくると見ています。今回の制度改正では、地方公共団体が条例を定めることで、生産緑地面積の下限である500平方mを300平方mにまで引き下げることも可能になりました。それだけに都市農地の減少にどう歯止めをかけるかは、地方公共団体の方針にかかっており、それぞれの姿勢が問われることになると前回、話しました。

しかし、国土交通省の資料などをみると、地方公共団体は、生産緑地の面積要件を引き下げる動きが加速しているものの、それらは三大都市圏、とくに東京都内のエリアに集中していることがわかります。国土交通省の調査によると、引き下げのための条例を制定した都市は、2018年4月1日時点で50区市。2018年1月末の前回調査の25区市から倍増していますが、50区市のうち東京都が約6割を占めます。


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