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2018.9.19

各省庁の予算概算要求・税制改正要望 どうなる2019年度の住宅施策

各省庁から2019年度の予算概算要求と税制改正要望が公表

各省庁から2019年度の予算概算要求と税制改正要望が公表された。
住宅関連では、生産性向上やストック活用、省エネ住宅のさらなる推進、度重なる災害への対応、消費税増税対策といったキーワードを軸に、新たな住宅施策の推進を図る。

【概算要求】国土交通省
生産性の向上やストック関連で新施策目立つBIMや建築確認申請の電子化を推進

国土交通省の2019年度予算の概算要求において、住宅関係では職人不足や働き方改革に対応するため、生産性向上に関する項目で新規事業が目立った。中でも、15億円の大きな予算を要求したのが「住宅・建築生産性向上促進事業」。同事業では、住宅・建築分野における業務効率化や生産性向上を進めるため、住宅・建築物の設計・施工・維持管理などで生産性を向上させる新技術・サービスの開発・実証に対して支援を行う。

「これまでは新技術に対しての支援にとどまっていたが、来年度からサービスの開発・実証に対しても支援していく」(国土交通省)としている。具体的な支援対象のサービスの要件については未定だが、最近はスマートフォンなどで施工管理を行えるサービスも出てきているだけに、同事業を通じた市場活性化に期待が持てそうだ。

新たに、「建築物の生産・維持管理の高度化推進経費」も1.2億円要求した。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の普及に向けて、国と民間事業者が連携し検討を行う。BIMとは、コンピューター上で、部屋の面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げなどの属性情報を建物の3Dモデルに組み込める仕組み。BIMにより、建物の新築、メンテナンス、リフォームなどにおいて、生産性の向上を図れる。だが、まだ一般的には、まだ普及していないため、公共だけでなく民間の建築工事も含めて、設計・施工・維持管理の各段階におけるBIM活用の可能性と課題抽出を行っていきたい考えだ。

BIMのイメージ。画像は長谷工コーポレーションの「長谷工版BIM」

「建築情報システム高度化促進事業」への予算も新たに4500万円要求した。同事業を通じて、オンラインによる建築確認申請を推進し、建築手続の一層の簡素化を図る。オンラインによる建築確認申請は全体の建築確認申請のうち3.6%と少ない。指定確認検査機関で対応しているところは14機関にとどまり、環境整備が遅れていることが背景にある。指定確認検査機関でも大きなところはシステムを作る余裕があるが、中小の機関では難しいところも多い。このため、国土交通省では同事業を通じて、規模の大小に関わらず、指定検査機関全体で利用できるオンライン建築確認申請建築確認申請のシステムを作っていきたい考えだ。

生産性の向上という点では、多能工の推進と経営効率化についても、合わせて7000万円の予算を要求している。多能工の推進については、「多能工化モデル事業」を実施。中小・中堅建設企業が連携し、多能工の育成と活用を図るための取り組みを支援する。また、経営者が多能工化に取り組むための先進的取組事例を示した手引きを作成し、中小・中堅建設企業に幅広く周知・啓発する。

マンションのスラム化にメス
所有者不明土地問題にも着手

予算概算要求では、ストック活用についても71億円(前年度比1.35倍)という大きな予算を要求した。新たな住宅循環システム構築に向けて、既存ストックの質の向上と既存住宅流通・リフォーム市場の環境整備を図る。

なかでも、「マンション管理適正化・再生推進事業」に昨年度の倍となる2.6億円の予算を要求した。今後、マンションの老朽化が進むことで、共用部が維持管理不全に陥りスラム化したマンションが大量に出てくることが予想される。このため、国土交通省は同事業で自治体等が実施する管理が不十分なマンションの実態調査等を支援する。また、マンション管理組合が実施するマンションの管理・再生に関するモデル的な取組に対する支援も行う。例えば、修繕積立金を徴収しやすいようにマニュアルづくりを行っている事例などを想定している。「今後、マンションのスラム化対策は深刻化していく可能性があるので、先手を打っていきたい」(同)。

空き家対策についても、既存事業で要求額を増額しさらに推進していく。「空き家対策総合支援事業」では前年度の1.48倍となる40億円を要求。自治体の「空家等対策計画」に基づいて実施される空き家の除却や利活用等の支援を強化する。また、「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」については、同1.67倍となる5億円を要求。空き家対策についてのモデル的な取り組みへの支援を推進していく。

空き家問題とセットであるとも言えるのが、「所有者不明土地」の問題だ。この問題に対処するため、本年6月「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が成立。所有者不明土地について、所有者の探索を合理化し、円滑に利用し、適切に管理するための下地づくりが行われた。このため、国土交通省では9800万円の予算を要求し、市町村が同法の積極的な活用を図っていくための支援を行う。

具体的には、所有者不明土地の権利者探索の手引きの作成を実施。地域住民の福祉・利便に資する場合、所有者不明土地に利用権(上限10年間)を設定できる「地域福利増進事業」に関する先進的な取組への支援とノウハウの他地域への普及を促進する。また、市町村による空き地関連情報の民間への提供、適正な管理を促進させるためのマニュアルの作成なども推進する。

既存住宅流通市場の活性化に向け、不動産関連情報の環境整備も推進。新たに1億4000万円の予算を要求した。不動産の売買価格、賃料、取引量などについては、国と民間がそれぞれ独自に保有しているが、両社の情報を連携させることで、より正確で多角的に不動産市場の動向を把握できるようにしていく。

また、不動産の売買情報やリフォーム・メンテナンスといった維持管理情報を統合的に扱えるようにするための環境整備も推進。不動産にIDを付与し、REINSに蓄積された過去の不動産売買データや、いえかるてなどの住宅履歴情報を相互に連携させることで、宅建業者が不動産の売買時に参照できるような仕組みの構築を目指す。

(注1)全体戸数及び築40年以下・築40年超の戸数は国土交通省の公表資料を参照したもの。
(注2)年間の修繕工事金額(7,076億円(税抜き))は(一社)マンション管理業協会の公表資料(試算値)を参照したもの。
(注3)年間のローン利用金額(500億円)は複数の市場関係者へのヒアリングに基づき(独)住宅金融支援機構が試算したもの。
(注4)築40年超に係る工事費単価とローン利用率を築40年以下に係る数値の2倍と仮定して(独)住宅金融支援機構が試算したもの。

中小工務店の省エネ対応を推進

住宅・建築物の省エネ化についても、574億円(同1.9倍)の予算を要求し、引き続き取り組みを進めていく。「地域型住宅グリーン化事業」、「スマートウェルネス住宅等推進事業」、「環境・ストック活用推進事業」、「省エネ住宅・建築物の整備に向けた体制整備事業」、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」といった既存事業について、2019年度も予算を微増させて継続して実施する。

加えて、「省エネ住宅・建築物の整備に向けた体制整備事業」に新たに11.5億円要求した。住宅の省エネ基準の義務化が2020年に実施されるかは不透明な状況になってきているが、パリ協定を踏まえ住宅分野の省エネ化が一層求められている。このため、同事業では、特に中小工務店による住宅の省エネ化に向けた取り組みを支援する。そうすることで、大手ハウスメーカーだけでなく、中小工務店でも高い省エネ性能の住宅を供給できる体制を整備し、住宅の省エネ化の裾野を広げていきたい考えだ。具体的には、住宅の省エネ化を推進するための説明会の開催などの普及啓発活動を予定。

不動産情報の環境整備のイメージ

災害対策、国際展開、増税対策なども重視

このほか、今年6月に発生した大阪府北部を震源とする地震による被害を踏まえ、ブロック塀等の安全性を確保するため、危険なブロック塀等の除却、改修等を支援する。現在は住宅・建築物の改修と併せて行うブロックの除去・改修へ補助を行う仕組みはあるが、2019年度からはブロック塀の除却・改修費用単体への支援を新たに行っていく方針だ。

また、「住宅建築技術国際展開支援事業」には1.2億円(同1.26倍)、「住宅建築基準・制度に関する国際分析調査」には1800万円(同1.0倍)の予算を付け、住宅・建築産業の海外進出を支援していく。ミャンマーなどの新興国への建築基準や住宅融資の仕組みの輸出に向けた取り組みを推進。これにより、日本のハウスメーカーが海外の新興国でも事業を行いやすくする下地作りに取り組む。

「重層的住宅セーフティネット構築支援事業」については、昨年度の倍となる12.37億円を要求。住宅セーフティネット法に基づく住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅について、子育て世帯対応やバリアフリー化等の改修、入居者負担の軽減への支援を実施。2019年度は子育て世帯対応のリフォームについて、支援メニューの拡大も検討している。

2019年10月に消費税率が引上げられることを受け、需要を平準化するための措置にも予算を要求する。具体的な内容については、今後検討していくが、過去に講じた措置の効果も踏まえて措置を講じる。ちなみに、住宅について前回の消費税率引上げに関連して実施した予算措置には、すまい給付金や省エネや耐震化に資するポイント制度、住宅金融支援機構の金利優遇などがある。

ブロック塀の点検のチェックポイント

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特集:

2030年住宅への設置率6割は可能か
初期費用、条件不利地域へのソリューション

国は2030年に住宅での太陽光発電の設置率6割を目標とする考えを示した。
現状の設置率は1~2割とみられ、非常に高い目標と言える。
100万円以上を必要とする「高額な初期費用」や、十分な発電効率を得るのが難しい「条件不利地域」といった課題があるなか、住宅事業者は設置率6割に向けてどのように取り組んでいけば良いのか──。
住宅太陽光発電マーケットの最前線を追う。

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