来年度、環境省と経済産業省、国土交通省は3省連携でZEHの普及を図っていく。なかでも、これまで経産省が実施してきた「ZEH支援事業」を来年度から環境省が実施。戸建住宅だけでなく集合・賃貸住宅のZEH化も支援する。一方、経産省はZEHでも、太陽光発電のより効率的な運用により電力の自家消費率を高める取り組みなどを支援していく方針だ。

2019年度からは環境省、経済産業省、国土交通省の3省連携でZEHの支援を行っていくことになる。このうち国土交通省は今年度に引き続き、「地域型住宅グリーン化事業」のなかで、中小木造住宅事業者のZEHの取り組みを支援する。

環境省は戸建・集合・賃貸住宅のZEH化を支援する「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等による住宅における低炭素化促進事業」を来年度創設する。来年度の予算概算要求に62億円を要求した。

戸建住宅のZEH化を支援する事業については、これまで経済産業省が実施してきたが、来年度からは環境省が新事業の中で、経産省のZEH支援事業を引き継いで実施していく。ただし、実施期間は再来年度までとしており、それ以降はZEHへの補助を行わない方針で、事業者による自立した市場形成を目指す。

環境省が来年度から実施予定のZEH支援事業では、戸建てだけでなく、賃貸や 集合住宅のZEH化なども補助対象とする

集合・賃貸住宅も補助

来年度から環境省が実施する戸建住宅のZEHへの補助については、従来の経産省の事業内容から大きく変えない方針。ZEHビルダー登録を受けている事業者が設計・建築したZEHに補助する点も変わらない。

ただ、補助金額については、戸あたり70万円と今年度より5万円ほど下げる予定。また、戸建住宅でZEH要件を満たしたものについては、新たにCLT(クロスラミネーティッドティンバー)やCNF(セルロースナノファイバー)といった省エネ化に効果のある素材・建材や、先進的な再生エネルギー熱利用技術(太陽光・太陽熱を利用したハイブリッド設備や地熱発電設備などを想定)を導入する場合、戸当たり90万円の追加補助を行う。さらに、蓄電池を導入する際にも、kWhあたり3万円を追加で補助する。

環境省が来年度から実施するZEH支援事業では、戸建住宅に加えて、新たに集合住宅と賃貸住宅にも補助を行っていく。補助金額は戸建住宅への補助と同様。実施期間は戸建よりも3年長い2022年度までとしている。

集合住宅と賃貸住宅については、現状ではZEHの要件が整備されていないため、戸建住宅の要件をもとに、制度の開始までに整備する予定。補助対象とする集合住宅・賃貸住宅については低階層のものとする方針だ。

経産省は新たなZEH支援事業を創設

一方、経産省は現行のZEHより優れた省エネ性能を備えたZEHなどの普及を支援していく方針。

同省がZEHビルダーを通じてZEHの課題を抽出したところ、これまで供給されたZEHの多くがFITで売電することを前提に太陽光発電(PV)を導入していたことが判明している。そのため、屋根面積をいっぱいに使った大容量のPVを採用するケースも多かった。ただ、FITの買取価格は年々低下しており、高い初期コストを掛けて大容量のPVを導入するメリットは薄くなっている。

「今後はPVで発電した電力をなるべく自家消費していく方向へ促す必要がある」(資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課)としている

そこで、住宅の省エネ性をより深掘りするとともに、PVの効率的な運用などにより電力の自家消費率を高める取り組みに対し、支援していく。PVの初期コストを抑えるためにも創意工夫により省エネ性能を高め、少ないPVでもネット・ゼロを達成できるZEHや、断熱性能を強化したり、電気自動車(EV)との連携やエネルギーマネジメントの導入などにより、PVの効率的な運用を図るZEHに対し補助する。環境省のZEH支援事業と同様にZEHビルダー登録を受けている事業者が設計・建築したZEHに補助する。つまり、来年度からは環境省と経産省のどちらの補助金を受けるか、事業者が選ぶことになる。

補助金額は未定。ちなみにZEBの実証支援や住宅の断熱改修による省エネ化の支援なども含めた「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」としては今年度の672・6億円から来年度は733・5億円へ増額要求している。

蓄電池・エコキュートへの補助も

PVの自家消費を促すという意味では、環境省も経産省と連携し「太陽光発電の自立化に向けた家庭用蓄電・蓄熱導入事業」(要求額84億円)の創設を来年度の予算概算要求に盛り込んだ。住宅用のPVについては、2019年からFITの買取期間が終了するものが出てくる。FITの買取期間終了後の対応策は現状ではっきりしておらず、従来のように電力会社が買い取る保証もない。このため、PVで発電した電力を売電ではなく自家消費するよう促したい考え。例えば、昼間にPVで発電した電力を家庭用蓄電池に貯めて夜間に利用すれば、自家消費を行いやすくなる。そこで、同事業ではPV(10kWh未満)が設置されている新築・既築住宅で、家庭用蓄電池を設置する際に設備費と工事費を支援する。設備費については、費用の3分の1を上限にkWhあたり3万円を、工事費については、1台あたり5万円を補助。また、家庭用蓄電池に加えて家庭用蓄熱設備(エコキュートを想定)を導入する際にも追加で戸あたり5万円を上限に補助を行う。

補助対象とする家庭用蓄電池については、HEMSなどで採用されている通信規格「ECHONET Lite」への対応とAIF認証を取得していることが必要。家庭用蓄電池と家電などが連携し効率的にエネルギーを利用する住環境の構築を促す。また、自家消費を促す狙いから、補助対象とする蓄電池については、売電を行えない仕様のものに限定する方針だ。

今後、PVによる発電は自家消費していく時代になりそうだ。

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