2023.7.3

ワークマンに聞いた 『衣』から考える建設現場の暑さ対策

いよいよ夏本番!!

職場で熱中症になってしまうリスクが高まる中、とくに建設業での暑さ対策が重要視されている。そこで、ワークマンに暑さ対策に貢献する作業着などの最新商品について聞いてみた。

厚生労働省の資料によると、2022年の職場における熱中症による死傷者数は、前年の561人から827人に急増している。このうち死亡者数は30人で、前年の20人から10人も増加している。

死傷者数を業種別に見ていくと、建設業は179人(このうち死亡者数は14人)で、全業種のなかでも最も多い。ただでさえ過酷な労働環境を強いられる建設業だが、最近では作業者の高齢化なども進んできており、建設現場での熱中対策は現場管理者の責務になっている。

建設現場の熱中症対策としては、快適な休憩施設の設置やスポーツドリンクなどの対策用品のこまめな摂取、暑さ指数(WBGT)の測定と見える化などが挙げられる。また、服装などを見直すことで、暑さ対策を行うことも求められる。様々な機能を備えた作業着も登場してきており、こうしたアイテムを上手に活用することも重要になってきている。

通気性が14倍向上した作業着

最近ではアウトドアやスポーツ用の衣類などを充実させているワークマンだが、「今でも作業者の方々へのウエアが中核にあることは変わっていません。作業着で培ってきたノウハウがあるからこそ、一般のアパレル分野でも機能性や価格に優れた商品を提供できています」と、広報部の鈴木悠耶チーフは話す。

建設現場の暑さ対策に貢献する作業着なども数多く取り揃えており、例えば遮熱ダブルメッシュ機能を備えた作業着は、同社の従来品に比べて14倍もの通気性を実現したものだ。また、特殊鉱石をナノレベルで練り込んだ糸を使用することで、優れた遮熱効果ももたらすという。

ダブルメッシュなどによって従来品よりも通気性を14倍もアップした作業着

人気のファン付きウエアも充実 一歩進んだ水冷服も新発売

ここ最近、建設現場で一般化してきているのがファン付きの作業着。バッテリーによって作業着に装着したファンを動かすことで暑さ対策に貢献する。

ワークマンでも様々なファン付きウエアを展開しており、最近では作業者以外にも人気のアイテムになっているという。

高耐久性のものや制菌機能を備えたものなどを取り揃えている。ファンを収納できるウエアと、ファン、バッテリーが別売りになっており、おおよそ1万8000円~1万9000円ほどで全てを揃えることができる。

人気のファン付きウエアだが、「気温が35℃を超えるような酷暑になってくると、さすがにファンからの風が生ぬるくなってしまうという声も増えています」(鈴木チーフ)という。

そこで、ワークマンが今年から発売したのが水冷服。ベストの背中側にタンクがあり、冷水約150㎖を入れることができる。その水をバッテリーで背中部分のチューブに循環させるというものだ。

冷水と一緒に氷や凍ったペットボトルをタンクに入れることも可能で、涼しさを長時間にわたり持続させることができるという。

接触冷感素材で体感温度を下げる

接触冷感素材を活用したインナーウエアも豊富に取り揃えている。作業時の使用にも耐えるために、耐久性のあるCORDURA生地を使用したものや、吸汗速乾機能、遮熱、UVカット機能など備えてものなどを用意しており、使用用途などに応じて選ぶことができる。

その他、鈴木チーフによるとメリノウールを利用した下着などもおススメだという。メリノウールと聞くと、保温性の高さから冬用の衣類で利用されている印象があるが、吸湿性・調温性を備えており、夏場の利用にも適しているそうだ。

「ワークマンでは、ヘルメットの下にかぶるキャップやアームカバーなど、様々なアイテムで接触冷感タイプのものを取り揃えています。是非とも暑さ対策に活用してください」(鈴木チーフ)。

接触冷感素材を活用したインナーウエアも豊富に取り揃えている

2023年の夏は、全国的に平年よりも気温が高くなることが予想されている。熱中症対策が建設現場の安全管理を推進する上でも非常に重要な要素になってきているだけに、あらためて「衣」から作業者の安全確保を検討する必要がありそうだ。