フレイル予防と住まい【後編】
東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢 教授
住民の手による、住民のためのフレイル予防が健康長寿のまちづくりに貢献する
東京大学 高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授は、住民が自身のフレイルに早目に気づき、自分事として捉えるためのツールとして「フレイルチェック」を考案し、自治体などに採用を促している。「 フレイル予防 」を通じた健康長寿のまちづくりのモデルを構築しようとしている。
——前回のお話では自らの「フレイル(虚弱)」に早目に気づき、対策を行うことで改善に向かわせることができるということでした。
また、「フレイル」とは単に身体の虚弱にとどまる問題ではなく、「こころや認知」「社会性」といった面でも人は虚弱すると申し上げました。そんな「フレイル」の多面性も考慮し、対策をとる必要があります。それが「フレイル予防」なのです。
とくに「フレイル」による最大のリスクと言われているのが「サルコペニア」です。加齢や疾患により筋肉が減少することで、60歳から70歳の高齢者は普通に暮らしているだけでも1年に1.5%ずつ筋力が低下すると言われています。また、高齢者の場合、2日間寝たきりの生活を送るだけで太ももの筋肉の1年分が減少し、さらに2週間を寝たきりで過ごすと実に7年分の筋肉を失ってしまうのです。筋肉は使わないと筋力を維持できません。事故などで2週間入院したら、それがきっかけで寝たきりになる可能性もあるのです。
「サルコペニア」により口の機能も低下します。口や舌、喉にも筋肉があるので筋力が低下すると噛む力や飲み込む力が衰えます。歳をとると歯も衰えます。そのため、次第に食が細っていき、体力や身体の筋力が落ちて要介護になってしまう。このような口腔機能の虚弱を「オーラルフレイル」と呼んでいます。「オーラルフレイル」の場合、気づいたらすぐに歯医者などに行って硬いものでも食べられるように処置しないといけません。
「フレイル対策」は早目に自身の「フレイル」に気づき、自分事として捉えて対策をとることが大切です。初期の段階で対策をとることで改善の幅も大きくなります。
——早目に気づくためには何をしたらいいのでしょう。
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