創造系不動産、studio9X、NENGO 「名作」を次世代へ住み継ぐ 宮脇檀設計住宅の再生プロジェクト

「取り壊される運命」にあった家が、設計者の技術と熱意、そしてチームの連携によって蘇った。
東京都日野市「高幡鹿島台ガーデン」に佇む宮脇檀(みやわき まゆみ)[1936-1998]設計の住宅再生プロジェクトだ。

このプロジェクトの始まりは、日野市周辺で約1年半にわたり住宅探しをしていた30代の子育て家族だった。中古戸建を探しており、建築家によるリノベーションを希望していた。彼らに伴走していた不動産コンサルティング会社「創造系不動産」と建築設計事務所「studio9X」とが、有名建築家・宮脇檀氏が住宅地計画から深く関わった先進的住街区「高幡鹿島台ガーデン」の最奥に佇む中古住宅に巡り合った。1987年竣工の宮脇氏晩年の木造住宅であり、雑誌や作品集にも掲載されたことのない貴重な建物だった。しかし、築約30年が経過し、玄関周りを中心に30㎜以上の地盤沈下を起こしていたため、売主は解体前提の「土地売り(建物価値ゼロ)」として売り出していた。通常であれば取り壊される運命にあったが、現地を訪れたstudio9Xの設計者が、大学のゼミで宮脇氏を研究していたことから、この建物が宮脇氏設計の名作であると偶然気づいた。西洋美術の研究者だった元の居住者が宮脇氏と親交を持ち、建物を極めて大切に使っていたため、「なんとか残したい」という売主と買主の想いが一致し、中古住宅としての再生プロジェクトが動き出した。studio9X 共同主宰の野藤優氏は「優れた意匠と思想を持つ『建築の力』こそが、買い手に『住み継ぎたい』と思わせるストック活用の最大の価値源泉になる」と話す。

敷地の目の前には大きな公園が広がり、建物にはその緑へ向かって大きな開口部が設けられている
写真:AKIRA NAKAMURA


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