歴史的建造物を飲食店として積極的に活用 「トライアル・サウンディング」で事業者を選定

佐倉市 旧今井家住宅①

 

千葉県の北部中央にある佐倉市。城下町の新町通りにある旧今井家住宅は国登録有形文化財の古民家。それが飲食店「むぎとろ寿るがや」として蘇り新たな活用事例として注目となっている。もともとの屋号は「駿河屋(するがや)」。明治中頃から呉服商を営んだ商家。現在の店名「寿るがや」は、この“駿河屋”の屋号を継承している。

市内に現存する武家屋敷などの見学施設とは一線を画し、歴史的建造物を保存対象ではなく、飲食店として積極的に活用する方針へと舵を切った。この背景には、市の「観光グランドデザイン」策定時に明らかになった地域経済の課題認識がある。市内外から観光客が訪れても、市内で消費活動が行われず経済循環率の低さが問題視されていた。例えば、チューリップを見に佐倉を訪れた観光客が、食事は成田で済ませて帰ってしまうといった状況が指摘されていた。佐倉から成田まで電車で13分、車でも30分という近さだ。

この課題を解決するため、市は観光振興と地域活性化を目的に飲食や宿泊といった消費に直結する施設の整備を検討。その一環として、活用を前提に個人が所有していた旧今井家住宅を購入し、文化財に指定した上で民間に貸し出すというスキームを構築した。この活用方針は、外から人を呼び込むだけでなく、地域住民にも地元の歴史や文化の魅力を再発見・体感してもらう重要な拠点とすることを目的としている。市の担当者は、行政が所有する古民家を民間事業者が利用する事例はまだ少ないとしながらも、「建物は使われることでその魅力が最大限に引き出される」との信念のもと、保存に留まらない積極的な活用に踏み切ったという。

運営を担う寺尾卓也さん(右)、古民家再生のプロジェクトを手掛けた向後貴大さん(左・佐倉市魅力推進部・佐倉の魅力推進課・主査補

新町通り(旧・成田街道)商家建築で平屋建て。主屋・土蔵などが現存し江戸時代以来の敷地形状が保持されている


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