林野庁「森林・林業白書」 再造林と木材利用を両輪で進め 森林資源循環の確立へ

建築物LCC評価の制度開始も大きな後押し

 

「令和7年度 森林・林業白書」では、「森林資源の循環利用の確立に向けて~木材利用と再造林をつなぐ~」を特集テーマに掲げている。人工林の約6割が51年生以上の本格的な利用期を迎える今、伐採後の確実な「再造林」と、川下である「住宅・非住宅分野の木材利用」をビジネスとして強固に結びつけるための取り組みが重視されている。

再造林を進める上での最大のボトルネックは、苗木代や植栽、下刈りなどの「造林初期費用」が、立ち木を売った際の販売収入を上回ってしまう収益性の低さである。育林経費の約7割を占めるこの初期費用を抑えるため、白書では以下の取り組みの重要性を指摘している。

一つは「省力・低コスト造林の推進」だ。白書では、伐採と植栽を同時に行う「伐採・造林の一貫作業」の導入や、成長が早く下刈り回数を減らせる「エリートツリー(特定苗木)」の活用などの先進事例を挙げている。もう一つは「スマート林業の現場実装」。これまでの属人的な手法を脱し、ドローンによる苗木運搬やロボット技術、デジタルデータを活用した路網整備、経営体の集積・集約化など、異業種企業が持つ自動化技術やデータ解析技術を林業分野へ横展開するビジネスチャンスが拡大している。

一方で、木材の需要を安定的に創出し、川上の再造林へ資金を還元するためには、建築物への木材利用拡大も不可欠だ。白書では、「建築基準の合理化と技術の活用」をさらに進めていくことが重要と指摘。CLTや木質耐火部材などの技術の進展により、従来は困難であった中高層建築物や非住宅建築物の木造化をさらに進めることができる。

また、2028年度をめどに、建築物の「ライフサイクルカーボン(LCC)評価」の制度が開始される予定だ。建築物の製造から廃棄までの二酸化炭素排出量を定量化することで、木材利用による「炭素貯蔵効果」を企業価値に直結させる効果が期待されている。


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