直売所から始まった廃校再生 構想から開業までに約5年の準備期間

和歌山県田辺市「秋津野ガルテン」①

 

人口減と少子化に伴う学校統廃合によって、全国で廃校活用が大きな課題になっている。文部科学省によると2002年から2020年までに発生した廃校は8580校、施設が現存は7612校。そのうち5661校(74・4%)が公共施設や交流施設などとして再利用されているという。しかし実際には活用が難しく、地域の負担になっているケースも少なくない。

そうした中で全国から視察が訪れているのが、和歌山県田辺市上秋津地区の「秋津野ガルテン(ドイツ語で庭の意味)」である。1953年に建設された旧上秋津小学校を改修し、2008年に開業した。木造2階建て。校舎の廊下、教室も、当時のままに活かされている。

現在は宿泊施設、農家レストラン、体験教室、会議室、サテライトオフィスなどを備えた複合施設として運営されている。開業から18年目を迎え、今も地域の交流拠点として機能している。今では年間12万人もの観光客が訪れ海外からの客もやってくる。

しかし、この取り組みは「廃校をどう使うか」から始まったものではない。地域再生の出発点となったのは、農産物直売所「きてら(方言で「きてね」の意味)」である。

中庭にはテーブルと椅子がありバイキングからの食事が外でも楽しめるようになっている

多くの農家の柑橘が並ぶ直売所「きてら」。売り上げの半分近くが通販で売れている

教室内に作られた体験教室。ここでジャムづくりなどを行っている

秋津野ガルテンの入口。左にスイーツ工房とカフェがある。観光用のレンタサイクルも用意してある

上秋津地区は梅や柑橘の産地で、農業が地域の基幹産業だった。しかし農業の将来に対する不安は大きかった。調査の中で、農家の親世代の約8割が「子どもには農業を継いでほしくない」と答えたという。人口減少の兆しも見え始めていた。


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