蓄電池の新商品発売相次ぐ いよいよ本格普及期を迎えるか!?
2026年度、蓄電池の市場が大きく拡大しそうだ。
(一社)日本電機工業会の「JEMA蓄電システム自主統計 2025年度上期出荷実績」によると、24年度の系統連携型定置用蓄電池システムのうち住宅用とみられる20kWh未満の出荷台数は、15万8735台、前年度比1.8%増で、5年前の19年度から1.5倍に増加している。こうした拡大がさらに加速しそうだ。
カーボンニュートラルの実現に向けて、国は再生可能エネルギーの導入拡大に力を入れる。なかでも太陽光発電が本命で、住宅分野においては新築住宅への設置6割を目標に掲げる。ただ、太陽光発電は日中しか発電しないことや、大量に発電した場合の出力抑制といった課題もある。太陽光発電で発電した電気を十二分に活用していくためには、余った電気を溜めて必要に応じて使うことができる蓄電池は必須と言っていい。
電気代が高騰するなか、生活者のエネルギーリスクに対する意識が高まっている。今後、長期的にEVが拡大していくとみられるなか、自宅での充電環境の整備が不可欠になる。また、自然災害が多発するなか停電時の備えが重要となる。
27年4月の導入が予定されているGX ZEHが大きなインパクトを持つ。断熱・創エネに加えて蓄エネが必須となる新たなZEHの推進は、住宅の姿を大きく変えていくことになろう。
蓄電池導入に強い追い風が吹くなか蓄電池メーカーの取り組みが活発化、今年に入り、新商品の発売が相次いでいる。蓄電池の広がりのなかで新たに生まれるであろうエンドユーザーや住宅事業者のニーズに応えるため、さまざまな商品が打ち出されている。
コンパクトニーズに応え容積を55%ダウン
設置場所を選ばず最適な導入を可能に
オムロン ソーシアルソリューションズ
住宅向け蓄電システムのマルチ蓄電プラットフォーム「KPBPAシリーズ」に、国内最小クラスの屋内外設置用蓄電池ユニット(13.0kWhタイプ)を追加した。
最も大きな特徴が、容積が約93ℓと、従来機種比で約55%も大幅に削減したこと。技術的な改善点は非公表だが、製品の設計の考え方を抜本的に見直し、モジュールの筐体を省くことなどで大幅な容積縮小を実現できたという。サイズは幅450㎜×奥行275㎜、高さ749㎜。設置面積も約45%削減でき、設置場所を選ばず、住環境に合わせて最適な導入が可能だ。概観はスタイリッシュで、住宅に溶け込むデザインとしている。また、屋内・屋外の双方に設置可能なこともポイントだ。
蓄電池の設置が広がるなか、特に都市部の狭小住宅などでは設置場所に制約がある。また、屋内に設置せざるを得ないケースもある。小さく・薄くといったニーズは強い。同シリーズの6.5kWhモデル、9.7kWhモデルも、コンパクト化・デザイン性向上を図った商品で、例えば、薄型の6.5kWhタイプは容積を従来比で27%ダウンしている。
マルチ蓄電プラットフォーム「KPBP-Aシリーズ」は、さまざまなニーズにあわせて設置が可能な蓄電池シリーズ。マルチ蓄電パワーコンディショナ「KPBP-A」を中心に、機器の組み合わせで「単機能蓄電システム」(蓄電池のみが接続されたシステム)、「ハイブリッド蓄電システム」(太陽光発電と蓄電池のパワーコンディショナを一つにまとめたシステム)、「全負荷型ハイブリッド蓄電システム」(停電時でも家中まるごとバックアップできるハイブリッド蓄電システム)を選ぶことができる。
さらに蓄電容量もラインアップを揃えていることから、設置環境や設置ニーズ、生活スタイルにあわせて対応できる。住宅用蓄電池の市場は大容量化が進んでおり、同社でも13.0kWhと9.7kWhが主力。13.0kWhの新商品は3月発売であるが、約55%というコンパクト性が非常に高い評価を受けているという。希望小売価格は単機能システムが430万円から、ハイブリッド蓄電システムが492万円から、全負荷型ハイブリッド蓄電システムが575万円からだ。
太陽光発電システム所有者のニーズに応える
単機能型、高出力の充電で発電電力を活かす
ニチコン
単機能蓄電システム「ESS-U5シリーズ」を2026年春に発売すると発表した。
単機能蓄電システム「U5シリーズ」は、すでに太陽光発電システムを所有しており、蓄電池のみを導入したいというニーズに応えるもの。既設の太陽光発電システムにそのまま設置することができる。パワーコンディショナと蓄電池ユニット部のセパレートタイプで、タイプMが蓄電池容量7.7kWh、系統連系出力4.0kW、タイプLが同9.7kWh、同5.9kWの2ラインアップ。
希望小売価格はパワーコンディショナとセットでタイプMが240万円、タイプLが300万円で、初年度4700台の販売を計画している。
高出力が大きな特長で、これまでの単機能型の連系出力3.0kWからほぼ倍となった。「太陽光発電の自家消費を進めるために、蓄電容量だけでなく出力を上げることが重要」(NECST事業本部 エネルギーソリューショングループ 商品企画部 末沢悠課長)と、太陽光発電システムの発電電力をしっかりと活かすことを重視している。レジリエンス性も高く、停電時でも太陽光発電システムの自立運転への切り替えが不要でそのまま充電ができる。また、停電時に住宅全体で使える「全負荷」と、必要なところのみに使える「特定負荷」を配線で選択が可能だ。設置のしやすさもポイントで、セパレートタイプとすることで設置自由度を高めた。また、通常の全負荷対応分電盤よりもコンパクトなサイズの自動切換開閉器により省スペースでの設置が可能だ。
今、蓄電池市場はマルチタイプ(トライブリッド、ハイブリッド)がメインとなっている。
こうしたなかでの単機能型の投入は「どのようなお客様のニーズにもしっかり対応していきたい」(末沢課長)という考え方がある。「U5シリーズ」の発売により、蓄電システムの幅広いラインアップが揃った。全シリーズでJC-STAR(IoT製品のセキュリティ要件適合評価・ラベリング)の認証を取得済み。「フラッグシップのトライブリッドからハイブリッド、単機能まで、すべてのユーザーが安心して使え、満足いただけるフルラインアップが完成した」(末沢課長)と、幅広いニーズに応える。
パワコン3種で柔軟にシステム構築が可能
最大5.5kW出力で電気を最大限活用
ダイヤゼブラ電機
今年2月、住宅向け蓄電ハイブリッドシステム「EIBS No.8」(恵比寿八=エビハチ)の受注を開始した。販売台数15万台のヒット製品「EIBS 7」の特徴を継承しつつ、さらなる機能を追加したモデルだ。
ラインアップは、ハイブリッドパワーコンディショナが5.5kW、8.0kW、9.9kWの3ラインアップ、蓄電池は7.7kWh。蓄電池は最大2台(15.4kWh)まで設置が可能だ。ユーザーニーズにあわせて柔軟にシステムを構築することができる。
高電流パネルに対応、1回路あたりの入力電流値を10.3Aから13.5Aに引上げた。5.5kWモデルは、1回路あたり4000W入力可能で、太陽光発電で発電した電気を最大12kW(4kW×3回路)まで入力できることから、最大AC5.5kW出力・最大5.5kW蓄電へ充電することができる。8.0kWモデルは16kW(4kW×4回路)、9.9kWモデルは20kW(4kW×5回路)入力が可能で、ともに最大5.5kWの充電が可能となっている。
入力が大きいことから、ゆとりを持って貯めることができるとともに、最大出力5.5kWで一度に多くの機器を使うことができる。
蓄電池は、その容量を「EIBS 7」から10%アップ、製品サイズは体積比で55%減、質量35%減と大きくコンパクト化を図った。奥行き寸法も10㎝スリム化し、これまで設置が難しかった狭いスペースなどにも設置することができる。また、動作温度範囲はマイナス20℃~50℃と従来機よりも広がり、寒冷地の屋外設置も可能とした。
機能面では、デマンドレスポンスに対応し蓄電池から電力系統へ逆潮流機能を追加した。また、パワーコンディショナ内に搭載したネットワーク機能で、インターネットに接続することで、スマートフォンやタブレット端末と連携、専用アプリによりモードの設定や発電状況の確認、蓄電池の運転状況などを確認することができる。災害などの停電時は自動的に自立運転に切り替わり、オプションの音声モニタを設置することで音声で停電を報らせることもできる。
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