食育白書 コロナ収束も“食事は自宅”で

デジタル化など食育施策にも変化が

コロナ禍で定着した「新たな日常」なかで食事のあり方が変化、コロナ収束後も「外食控え」や「共食控え」は引き続いている。暮らしの重要な要素の一つである“食”のニーズの変化はキッチン・ダイニング空間をはじめ、住まいづくりにも変化をもたらしそうだ。

新型コロナウイルスの蔓延により、私たちの行動や意識、価値観は著しい影響を受け、社会の常識や生活の様相は瞬く間に変化した。なかでも大きく変化したものの一つが食生活だろう。感染拡大初期には緊急事態宣言が発出され、外出制限が敷かれたことで飲食業界は大きな損害を受け、農林水産業や食品産業にも深刻な影響が及んだ。

一方、コロナ禍でテレワークが普及・定着し、在宅時間が増加すると、自宅で食事を摂る機会や、家族で食事を摂る機会が増加し、「食」を改めて見つめ直す契機となった。農林水産省がまとめた2022年度「食育に関する意識調査」を見ても、コロナ禍以前(19年11月頃)と22年11月時点の食生活を比較して「増えた」と回答した人が最も多かったのは「自宅で食事を食べる回数」で38.5%、次いで「自宅で料理を作る回数」の27.9%となった。「家族で食事を食べる回数」も20.8%で4番目に多かった。

また、「減った」と回答した人の割合が最も高かったのは「家族以外の誰かと食事を食べる回数」で67.0%だった。同調査における「地域等で共食したいと思う人の割合の推移」を見ると、「地域やコミュニティでの食事会等の機会があれば参加したいと思う」(とてもそう思う+そう思う)と回答した人の割合は、19年度の43.3%から20年度には30.8%まで急減した。21年度は36.7%、22年度は36.9%と次第に回復基調を見せているが、コロナ禍前の水準には戻り切っていないのが現状だ。コロナ禍において、感染などの懸念から家族以外との共食に対する考え方、行動が大きな変化を起こし、控える人が増えていると見られる。

ポストコロナ時代に食育への関心が高まる?

こうしたコロナ禍での食生活の変化に対して、「令和4年度 食育推進施策(食育白書)」では「家庭での食育の重要性が高まっている。また、自宅での食事の機会が増えたことを契機に幅広い世代が食育に関心を持ち、食生活の改善等に自ら取り組むきっかけになることが期待される」と指摘している。


この記事はプレミアム会員限定記事です。
プレミアム会員になると続きをお読みいただけます。

新規会員登録

(無料会員登録後にプレミアム会員へのアップグレードが可能になります)

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。