「間伐材」ブランドから卒業しよう 林業生産の実態が理解されていない

利用期を迎える国産材を活用して林業の成長産業化に導くにはどのような取り組みが求められているのか。林材ライターの赤堀楠雄氏が地域で芽生える国産材活用の事例をルポする。

間伐材の「エコ」イメージが定着

森を育てるには、木が成長するのに従って混み合ってくる密度を緩和するための間引き作業が必要になる。これが「間伐」であり、間伐で生産された木を「間伐材」と呼ぶ。

間伐が遅れると枝葉が重なり合って日光が遮られ、薄暗い森になる。地表では草が育たず土がむき出しになり、土壌が流失しやすくなって保水力も低下する。樹勢も衰え、枯死(こし)する木も出てくる。

戦後、大量に植林されたスギやヒノキの人工林は、林業の採算が悪化したために所有者の関心が低下し、放置されるケースが続出した。そこで、人工林の荒廃を食い止めようと間伐の必要性が強調され、間伐を後押しするために間伐材の利用が呼びかけられた。

間伐作業では、成長が悪い木や曲がった木、傷がある木など、質が劣る木を選んで抜き伐りするのが基本だ。そのため、間伐材を使えば森が守られるだけでなく、質が悪くて利用しづらい木を有効活用する意義もあると強調された。間伐材は「エコ素材」としての地位を確立した。

「間伐材」という商品はない


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