2023.8.30

一般社団法人板硝子協会/機能ガラス普及推進協議会、防災安全合わせガラスで災害時の暮らしを守る

防災の鍵となるガラス 飛散せず飛来物にも強い合わせガラスを

甚大化する自然災害から暮らしを守るには、地震の揺れや台風による飛来物に強いガラスを使うことが大切だ。一般社団法人板硝子協会と機能ガラス普及推進協議会は、災害に強い「防災安全合わせガラス」の避難所となりえる施設への採用の重要性を伝えている。

日本は地形的にも台風の直撃や地震が起こりやすい。毎年のように発生する大型台風は、全国各地に甚大な被害を及ぼしている。直近では2019年に発生した台風19号が、住家全壊・流失3144棟、半壊2万8836棟などの大きな被害を出したことが記憶に新しい。また、今年は関東大震災から100年目を迎えるが、今後数十年以内の首都直下型地震や南海トラフ地震などの大規模な地震の発生も予想されており、地震や台風といった自然災害への対策が迫られている。

地震の揺れや、台風の暴風雨、また、飛来物に対し建物の弱点となるのが開口部のガラスである。
こうしたなか、一般社団法人板硝子協会および機能ガラス普及推進協議会が普及を進めているのが「防災安全合わせガラス」だ。

2枚の板ガラスの間に合成樹脂の中間膜をはさみ、熱と圧力で圧着することで耐貫通性に優れており、万一破損しても破片の飛散率は1%とほとんど飛び散ることはない。20年10月に中間膜の厚みが60mil以上のものを「防災安全合わせガラス」とし、(一財)ベターリビングの優良住宅部品「BL‐bs部品」の認定を受けた。

避難所としての機能を保つためにガラスの見直しが急務

安全性を有した避難所を確保するためには、今ある施設がきちんと機能することも大切になってくる。

国の指定避難所は、22年時点で全国に8万2184か所あり、約3分の1が公立の小中学校だ。文部科学省の避難所となる公立学校施設の防災機能に関する調査資料によると、避難所に指定されている学校数は22年時点で2万9856件、その内、公立小中学校は2万6504件となっている。調査対象の学校の91.5%が避難所に指定されており、公立小中学校に関しては94.6%に上る。一方で、学校施設の多くが昭和40年代後半から50年代に建てられたもので、老朽化が進んでいる。また、学校施設の窓ガラスには、割れた際、破片が粒状になる強化ガラスを多く採用しているが、破片の飛散や脱落を防止することはできない。台風の際の飛来物の衝突や、地震の際の家具の衝突、窓枠の変形により窓ガラスが破損したり脱落したりすると、破片によるけがなどの二次災害が生じたり、風雨をしのぐことができず、避難所としての機能を十分に満たすことができない。

内閣府は、災害に強い国づくりのため、14年に「国土強靭化計画」を閣議決定し、23年7月28日に新たな国土強靭化基本計画が閣議決定された。

項目のなかには、避難所としても活用される学校施設等の環境改善・防災機能の強化や、学校施設・社会福祉施設の耐震化・防災機能強化を進めていく方針を掲げている。

防災安全合わせガラスは割れにくく割れても破片が飛び散らない

災害時に、避難所としての役割を果たすためにも「防災安全合わせガラス」の導入は欠かせないものと言えそうだが、高い安全性が求められる小中高等学校において「防災安全合わせガラス」の導入率は、安全合わせガラス、合わせガラスを含めてもわずか2.6%にとどまる。防災安全合わせガラスの重要性を周知していく活動のひとつとして、機能ガラス普及推進協議会による防災安全合わせガラスの寄贈を避難所に指定されている学校施設などに行うと同時に、生徒や地域住民を対象として、防災・省エネをテーマとするガラスの出張授業を開催。建物におけるガラスの重要性について発信し、今年も実施が決定している。

文部科学省では学校の耐震化や長寿命化などの改修について費用の約3分の1から2分の1を補助する事業を行っている。

学校単体での改修には3分の1の補助、複合化を伴う改修については2分の1の補助が出されるため、これを契機とした防災安全合わせガラスの普及を促す。

避難所に指定されている学校施設などへ寄贈活動

機能ガラス普及推進協議会は、防災安全合わせガラスの普及活動を推進する一環として学校施設への防災安全合わせガラスの採用を目指す自治体に対し、避難所に指定されている学校などへの「防災安全合わせガラス」を寄贈している。

また、学生などに向けた出張授業において、実際に様々な種類のガラスを割り性能の違いを比較するなど、ガラスの安全性について改めて考える機会を提供している。

一般社団法人板硝子協会
機能ガラス普及推進協議会
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